はじめに・サマリー・インデックス

INTRODUCTION

はじめに ~世界が目指すネットゼロおよびネイチャーポジティブ~

気候変動や自然の損失など、地球環境をめぐる問題は年々深刻化しており、社会・経済にとって重大なリスクとして認識されるようになっています※1。気候変動については、2015年に「パリ協定」が採択され、国際的にネットゼロ・脱炭素社会に向けた移行が進んでいます。また生物多様性に関しては、2022年に「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」が採択され、2050年ビジョン「Living in harmony with nature(自然と共生する社会)」のもと、2030年までに「生物多様性の損失を止め反転させ、自然を回復軌道に乗せるための緊急的な行動をとる」という「ネイチャーポジティブ※2」を目指すミッションや、23の具体的なターゲットが定められました。
このような社会動向を踏まえ、当社グループは、世界が目指す「ネットゼロ」および「ネイチャーポジティブ」に向けて事業を通じた取り組みを着実に進めるとともに、当社グループにおける気候・自然関連の重要課題の把握と、情報開示を積極的に行っています。

※1 世界経済フォーラム1)参考文献より抜粋

今後10年間のリスクの深刻度ランキング
1 異常気象
2 生物多様性の損失・生態系の崩壊
3 地球のシステムの危機的変化
4 誤報と偽情報
5 AI技術がもたらす悪影響
6 天然資源不足
7 不平等
8 サイバー不安全リスク
9 社会の分断
10 汚染(大気、土壌、水)

※2 2030年までのネイチャー・ポジティブに向けた自然のための測定可能な世界目標

出典:WWF

生物多様性の損失と回復に関するグラフ。2020年を基準に損失が続き、2030年までに損失の反転を目指し、2050年までに完全回復することを示している。グラフにはゾウ、サメ、カエル、ワニ、植物など多様な生物が描かれており、回復に向けて生き物が増えていく様子が表現されている。

東急不動産ホールディングスの環境経営

  • 当社グループは、社会課題を踏まえたマテリアリティを設定し、「環境経営」を全社方針とする長期経営方針を定めています。長期経営方針を推進し、ありたい姿を実現します。
    マテリアリティ、長期経営方針、ありたい姿を横並びで示した図。左側は『マテリアリティ』として、ライフスタイル、街と暮らし、環境、デジタル、人財、ガバナンスの6分野をアイコンで表現。中央は『長期経営方針』で、『強固で独自性のある事業ポートフォリオの構築』を掲げ、全社方針として『環境経営』と『DX』、事業方針として『知的資産活用』『パートナー共創』、経営基盤の強化として『財務資本戦略』『人財・組織風土』『ガバナンス』を配置。右側は『ありたい姿』として、『価値を創造し続ける企業グループへ』『誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来』と記載。
  • また当社グループは、創業時より様々な事業活動を通じて、持続可能な社会の実現と環境課題に取り組んでいます。2021年5月には、環境に寄与するライフスタイル創造などのマテリアリティに基づき、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」※1を策定しました。
  • 長期ビジョンでは、環境経営を大きな柱としており、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」などへの取り組みを通じ、環境を起点とした事業機会の拡大を目指しています。
  • 本レポートでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)およびTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークや、移行計画に関する各種ガイダンスを参考に、当社グループの気候・自然関連課題および、その対応について説明しています。また、SSBJ基準に準拠した開示を進めることを見据えて、同基準の求める開示内容も一部取り入れています。なお、気候・自然関連全般でMS&ADインターリスク総研株式会社と、自然関連課題については株式会社シンク・ネイチャーと協働して、検討・分析しています。
  1. ※1詳細は長期ビジョン

★ :「用語と解説」参照

当社グループの環境経営の歩み

東急不動産ホールディングスの環境経営と国内外の動向を、1998年から2026年以降まで示した年表。1998年の環境理念策定、2011年の生物多様性方針、2014年の再生可能エネルギー事業参入、2019年のTCFD提言への賛同とRE100参加、2021年のSBT1.5℃目標認定、2022年の再エネ100%切替、2023年のTNFD対応、2024年のSBTネットゼロ認定、2026年のTCFD・TNFDレポート発行を、パリ協定、SDGs、IPCC特別報告書、COP15、SSBJ基準などの動向と並べている。下部には気候・自然関連のシナリオ分析とレポート発行の進展、左下には環境ビジョンの3つの視点と、気候変動、生物多様性、汚染と資源、水使用、サプライチェーンの5つの課題を掲載。太陽光発電施設とNearly ZEB取得施設の写真を添えている。

★ :「用語と解説」参照

脱炭素・ネイチャーポジティブに向けた数字で見るハイライト

東急不動産ホールディングスの環境実績を、上段の「脱炭素に関する実績」と下段の「ネイチャーポジティブに関する実績」に分けたインフォグラフィック。脱炭素分野では、Scope1・2排出量77%削減(2025年度、2022年度に50%目標達成済み)、CASBEE・DBJなどの環境認証取得率97.3%(2025年度)、気候変動と水セキュリティのCDP 'Aリスト' 6年連続選定(2025年度)、再生可能エネルギー事業301件・定格容量2,693MW(2026年3月)、東急不動産による国内事業会社初のRE100達成(2024年4月認定)、ZEB・ZEH水準100%(2024・2025年度)、事業を通じた環境取り組み累計132件(2025年度)、社内炭素税ICPの導入(2021年度)と経営会議での見える化(2022年度)を掲載。太陽光発電設備、環境配慮型建物、屋上緑化、海岸沿いの風力発電設備の写真を添えている。ネイチャーポジティブ分野では、国内不動産業初のTCFD・TNFD統合レポート開示(2024年度)、'みどりをつなぐプロジェクト'の森林保全面積2,425ヘクタール(2025年度)、型枠木材のサステナブル調達率18.8%(2025年度)、屋上や壁面などの建物緑化100%(2024年度、2025年度は対象物件なし)、'30 by 30'自然共生サイト認定をリゾート2件、オフィスビル3件で取得(2025年度までの累計)と記載。樹木の多い広場、自然保全の循環を示すイラスト、木質建築、段状の屋上緑化、都市部での稲刈り活動の写真が並び、主要な数値は赤字で強調されている。
  1. ※1速報値
  2. ※2共同事業など一部を除く
  3. ※3非住宅の大型保有物件(延床面積10,000m²以上)を対象。共同事業など一部除く
  4. ※4ZEB/ZEH Oriented相当以上の建物性能を有する東急不動産(株)の分譲マンション・オフィス等の施設件数割合(着工ベース)
  5. ※5再生可能エネルギー:以下「再エネ」
  6. ※6持分換算前(開発中プロジェクトを含む)
  7. ※7東急不動産(株)のオフィスビル・商業施設の新築大型物件

★ :「用語と解説」参照

エグゼクティブサマリー

【サマリー】気候・自然関連課題の統合的な開示

当社グループは、事業を通じて、気候・自然関連課題の解決に貢献すべく取り組みを進めています。気候変動の緩和・適応に向けては、温室効果ガス(GHG)の吸収源や、災害および極端な気象を緩和するものとして、豊かな自然が不可欠です。一方、気候変動は自然・生物多様性の損失の重要な要因の一つであるため、ネイチャーポジティブに向けても、気候変動の抑制が不可欠です。
このように自然関連課題と気候関連課題は相互に密接に関連していることから、TNFDで推奨されているとおり、当社グループは気候・自然の一体的な検討・取り組みを進めるとともに、フレームワークに沿った情報開示を行っています。
本レポートでは、気候・自然関連課題について効率的にご理解いただけるよう、これまでのTCFD提言に基づく開示、脱炭素社会への移行計画、TNFD提言に基づく開示、3つの開示内容を下図のとおり統合・集約しています。

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  TCFD提言に基づく開示 脱炭素社会への移行計画 TNFD提言に基づく開示
(TNFDレポート)
改訂履歴
  • 2019.3 TCFD提言に賛同
    TCFD開示
  • 2023.3 シナリオ分析対象拡大
  • 2023.7 レポート発行
  • 2023.8 第1版発行 全体概観および広域渋谷圏の分析結果
  • 2024.1 第2版発行 TNFD最終提言を受けた更新
  • 2024.7 第3版発行 東急リゾートタウン蓼科の分析結果の追加
開示内容
  • 気候関連のガバナンス
  • 戦略(気候関連のリスク・機会/シナリオ分析など)
  • 気候関連のリスク管理
  • 気候変動に関する目標、KPI
  • 移行計画に関するガバナンス
  • 脱炭素社会実現に向けたロードマップ
  • 実現に向けた施策、取り組み
  • 資金調達方針
  • ステークホルダーエンゲージメント
  • 技能・人材開発
  • 一般要件
  • 自然関連ガバナンス
  • 戦略(自然関連の依存・インパクト・リスク・機会/優先地域)
  • 自然関連のリスク・インパクト管理
  • 自然に関する測定指標・ターゲット
  • 自然関連の取り組み

↓ 統合

  • 2024年度 TCFD/TNFDレポート第1版 発行(2025.2)
  • 2025年度 TCFD/TNFDレポート第2版 発行(2025.12)
    (パラオ パシフィック リゾートの分析結果の追加)
  • 2026年度 TCFD/TNFDレポート第3版 発行(2026.7)
    (気候・自然の統合シナリオ分析結果の追加)

気候・自然に関するガバナンス/戦略/リスク・インパクト管理/測定指標・ターゲット/脱炭素社会への移行計画

本レポートでは、分かりやすさのために、「気候」「自然」のいずれのテーマに直接対応するか、そして「ガバナンス」「戦略」「リスク・インパクト管理」「測定指標・ターゲット」のどの項目に該当するか等を、各項の右上にアイコンで示しています。

【サマリー】本レポートでの開示内容の全体像

本レポートでは、具体的に以下の内容を開示しています。TCFD・TNFD提言の推奨内容はAppendixを参照ください。

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開示の柱 開示が推奨される主な内容 気候関連開示 自然関連開示
ガバナンス
  • 気候・自然関連課題(依存・インパクト、リスク・機会)に関する取締役会の監督体制、経営者の役割等のガバナンス体制
  • 自然関連のステークホルダーエンゲージメント
  • 代表取締役社長(委員長)・執行役員を構成メンバーとするサステナビリティ委員会を設置。年に2回「リスクマネジメント委員会」と共に定例会議を開催し、気候・自然関連課題を含む環境経営やサステナビリティの重要課題について計画立案・実績確認を実施しています。
  • 取締役会は、当該重要課題や審議結果についてサステナビリティ委員会から報告を受け、進捗状況の監督・定期的なレビューを実施しています。
  • 人権方針を策定し、地域コミュニティとのエンゲージメントを実施しています。
戦略
  • 特定した気候・自然関連課題
  • リスク・機会が事業・戦略・財務計画に与える影響
  • シナリオを考慮した戦略のレジリエンス
  • 自然関連の優先地域
  • 2050年ネットゼロエミッションを目指し、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」を策定するとともに、GHG排出量削減の長期目標を設定しています。同目標は、2024年7月に、SBTネットゼロ認定を取得しました。
  • 上記目標の達成に向けた移行計画を、本レポート内で説明しています。
TNFDのLEAPアプローチを踏まえ、以下の通り、当社グループの事業における、自然関連課題(依存・インパクト・リスク・機会)を特定しました。
  • 事業別の依存・インパクトの概観の検討
  • 指標に基づく評価を踏まえ、当社グループにとっての優先地域を「広域渋谷圏および、「東急リゾートタウン蓼科」「パラオ パシフィック リゾート」を中心とした「リゾート施設等13地域」に設定
  • 「広域渋谷圏」「東急リゾートタウン蓼科」「パラオ パシフィック リゾート」でのマテリアルな自然関連課題の検討
気候・自然に関する3つのシナリオに基づき、シナリオ分析を実施し気候・自然関連のリスク・機会を特定、財務影響を評価のうえ、戦略に反映しています。
リスク・
インパクト管理
  • 気候・自然関連課題を特定・評価・管理するためのプロセス
  • 上記の全社的リスク管理プロセスへの統合
  • 気候関連リスクについては、シナリオ分析を踏まえて特定・評価しています。
  • 自然関連の依存・インパクト・リスク・機会は、事業・バリューチェーン全体での概観の検討および、優先地域での詳細評価により特定・評価しました。
  • 特定した課題はサステナビリティ委員会を中心とした体制で管理するとともに、全社的リスク管理にも統合しています。
測定指標・
ターゲット
  • 気候・自然関連課題を評価・管理するための測定指標やターゲット、パフォーマンス
  • 各項目について実績管理。詳細は、「測定指標・ターゲット」パートを参照ください。
  • 広域渋谷圏とは、東急グループの渋谷まちづくり戦略において定めた、渋谷駅半径2.5kmのエリアのことを指します。

★ :「用語と解説」参照

【サマリー】気候・自然関連のシナリオの全体像

当社グループの事業を対象に気候・自然を統合したシナリオ分析を実施し、財務影響を踏まえて重要なリスク・機会を特定、戦略に反映しています。

ネイチャーポジティブへの社会移行と、自然資本・生態系サービスの劣化度を組み合わせた4つのシナリオを示すマトリクス。縦軸は市場や政策などの移行ドライバーの整合性で、上ほどネイチャーポジティブへの移行が進み、下ほど停滞する。横軸は自然資本・生態系サービスの劣化で、左の穏やかな状態から右の深刻な状態へ進む。重要なリスクと機会について、全社の業績・戦略・ビジネスモデルに与える財務影響を大・中・小で示し、中期と長期に分けて評価している。左上のシナリオ1は、1.5℃目標を達成し、ネイチャーポジティブへの社会移行も進むケース。リスクは、ZEB・ZEHなどの脱炭素規制強化が中期で大、長期で中、自然保護のための開発・資源採取規制の強化が中長期とも大。機会は、再生可能エネルギー市場の拡大が中長期とも大、ZEB・ZEHや脱炭素物件の需要拡大が中期で大、長期で中、自然と調和した不動産・サービスの需要拡大が中期で小、長期で大。右上のシナリオ2は、気候変動を含む自然損失が深刻化し、自然関連の社会移行が強化される一方、気候変動対策は3℃シナリオ水準で進むケース。リスクは、脱炭素規制強化が中長期とも中、自然保護規制の強化が中長期とも大。機会は、再生可能エネルギー市場の拡大が中長期とも大、ZEB・ZEHや脱炭素物件の需要拡大が中長期とも中、自然と調和した不動産・サービスの需要拡大が中期で小、長期で大。左下のシナリオ4は現状維持で、自然資本の損失による影響が少なく、自然関連対策や社会移行も進まないケース。重要な自然関連リスク・機会が想定されないため、詳細検討の対象外としている。右下のシナリオ3は、4℃の気候変動と自然損失の深刻化が進む一方、気候・自然の対策や社会移行が進まないケース。社会移行がないため移行リスクや移行による事業機会は生じない。災害などの物理的リスクは想定されるが、対策や事業ポートフォリオ、不動産資産の分散により、対象期間の影響は中程度以下と評価している。

【サマリー】自然へのインパクト・依存の概観および優先地域の設定

ステップ1)当社グループ全体の自然へのインパクト・依存の内容・重要性の把握

ENCORE等のツールも踏まえ、全事業を通じた依存やインパクトの概観を把握しました。

当社グループ全体の自然へのインパクト・依存 表

インパクト

不動産開発・運営時の土地改変・占有など陸域生態系の利用

依存

資源等の供給サービス、自然による癒し・景観などの文化的サービス

事業規模(売上規模)

ステップ2)各物件所在地における自然の観点での重要性の分析

当社グループの保有・運営する物件所在地について、自然の十全性・重要性、水ストレスに関連する各指標を分析し、「広域渋谷圏」と「リゾート施設等13地域」を優先地域としました。

生物多様性の重要性と生態系の十全性を軸に、優先地域の考え方を示した図。縦軸は生物多様性の重要性、横軸は生態系の十全性を表す。左側の都市では、優先地域として広域渋谷圏の39拠点を示し、都市部のオフィス、商業施設、ホテルなどが対象。右側の地方では、リゾート施設等を中心に、陸域と海洋を含む優先地域13地域を示す。中央には再生可能エネルギー施設等が位置づけられている。

以下の場所での詳細分析を実施

  1. 広域渋谷圏
    (2023年度開示)
  2. 東急リゾートタウン蓼科
    (2024年度開示)
  3. パラオ パシフィック リゾート
    (2025年度開示)

★ :「用語と解説」参照

【サマリー】広域渋谷圏の都市開発事業におけるネイチャーポジティブへの貢献

広域渋谷圏における依存・インパクト

優先地域の一つである「広域渋谷圏」の事業では、土地改変や占有などのインパクトを与えるとともに、浸水やヒートアイランド現象の緩和、自然による癒しや美しさなど、様々な面で自然に依存していることが分かりました。
このうち、土地利用・建物緑化による自然へのインパクトを(株)シンク・ネイチャーの分析ツールを用いて定量分析した結果、当社グループの広域渋谷圏における物件建設前後の生物多様性再生効果が、2012年度以降の物件からプラスとなっていることが分かりました。近年竣工の物件における、都市開発諸制度等による緑地面積の確保や、植栽樹種での在来種選定など、緑化の量と質の確保に向けた取り組みの成果が表れ、当社グループのまちづくりが、ネイチャーポジティブに貢献していると評価されています。
特に再開発事業の対象となっている物件は、緑地の量や質がこれまでの施設と比べ高い傾向にあり、今後も自然と共生したまちづくりを推進していきます。

左に緑地面積割合の推移、右に生物多様性再生効果を示した図。左図は1975年から2020年代までの折れ線グラフで、当社グループ39物件合計の緑地面積割合(青)が、広域渋谷圏の商業地域全体(灰)と比較して示され、2000年代以降は低下後に横ばいからやや回復する傾向が強調表示されている。右図は建設前後の生物多様性再生効果を示す棒グラフで、複数の個別物件ごとに再生効果の大きさが示され、一部物件で高い効果が確認できる。

【サマリー】東急リゾートタウン蓼科におけるネイチャーポジティブへの貢献

東急リゾートタウン蓼科における依存・インパクト

優先地域として分析した「東急リゾートタウン蓼科」の事業では、観光資源やレクリエーション機能、気候調整・災害緩和などの様々な面で自然に依存しています。またバリューチェーンを通じ、土地改変・占有をはじめとしたネガティブインパクトを与える可能性がある一方、森林管理などの取り組みによりポジティブなインパクトも与えています。このうち重要なインパクトの一つである施設開発・運営を通じた土地改変・占有の影響を測る指標として、開発開始以降の森林面積の割合の変化を(株)シンク・ネイチャーと協働で、定量評価しました。
空中写真・衛星画像からの森林面積の分析の結果、森林面積はゴルフ場や別荘建設等による落ち込みを挟みつつも、全体の推移としては回復傾向にあり、現在は最も回復した水準となっていること、森林を維持・回復しながらの事業運営により当社グループのリゾート開発・運営がネイチャーポジティブに貢献していることが評価されました(下図)。
また「東急リゾートタウン蓼科」では、森林経営計画を策定の上、間伐などの森林管理に取り組んでいます。現在、森林を構成する樹木が高齢化していることから、今後は間伐を継続しつつ、老齢化したカラマツ林の一部皆伐と植林を含む森林管理も検討していきます。
森林管理のあり方が生物多様性にもたらしうるインパクトについても定量評価を実施、「年間2ヘクタールずつ皆伐および植林する管理方法」を行う場合は、森林管理を行わず自然遷移に任せる場合と比べ、森林での生物種数の低下を大きく抑制できることが分かりました(下図) 。こうした結果も参考に、引き続き適切な森林管理で、生物多様性の保全に努めていきます。

空中写真・衛生画像から評価した森林面積割合の変化を示す折れ線グラフ。横軸は1970年から2025年、縦軸は森林面積割合(%)。緑の菱形は東急リゾートタウン蓼科、青の三角は茅野市全域を示す。1970年代半ば時点で、東急リゾートタウン蓼科は約61.3%、茅野市全域は約58.5%。以降、両者とも概ね増加傾向を示し、2020年代には東急リゾートタウン蓼科が約75.7%、茅野市全域が約66.6%となっている。
カラマツ林における生物種数の変化を示す折れ線グラフ。横軸は1970年から2070年、縦軸は平均生物種数。黒線は森林管理を行わない場合(パターン2)で、1970年頃の約64種から将来に向けて一貫して減少し、2070年頃には約53種まで低下する。橙色の線は森林管理を行う場合(パターン1)で、2020年以降は減少幅が抑えられ、2070年頃でも約57種を維持している。森林管理により種数低下を抑制できることを示している。

★ :「用語と解説」参照

【サマリー】パラオ パシフィック リゾートにおけるネイチャーポジティブへの貢献

パラオ パシフィック リゾートにおける依存・インパクト

優先地域として分析した「パラオ パシフィック リゾート」(Palau Pacific Resort、以下「PPR」)では、様々な観点で自然に依存するとともに、インパクトを与えています。
事業を通じたインパクトを評価した結果、開発コンセプトである「自然保護と開発の両立」「地元への貢献」のもと、陸域・海洋を保全しながら事業を継続してきたことにより、ネイチャーポジティブに貢献していると評価されました。
例えば、敷地内の緑地面積の推移の評価からは、開発に伴い増えた建物用地を大きく上回る規模の天然林が再生・維持されていることが分かりました【図1】。
また、サンゴに関する評価では、海洋保護区指定などの取り組みを通じ、前面海域でサンゴ被度が安定的に増加してきたこと、台風や生物の食害などの近年の外部環境の悪化にもかかわらず、サンゴの新たな個体の定着が増加傾向にあることが分かりました【図2】。さらに、サンゴ礁に生息する絶滅危惧種のオオシャコガイを含む大型無脊椎動物も増加しており、「PPR」による保護・再生の取り組みが効果的に働いている可能性が確認されました【図3】。

【図1】敷地内の森林面積の変化を示す積み上げ棒グラフ。縦軸は面積(千平方メートル)、横軸は1976年と2023年。区分は森林、草地、その他。1976年は森林面積が約145千平方メートル、草地が多くを占めている。2023年は森林面積が約200千平方メートルに増加し、森林面積が約1.4倍に拡大していることを矢印と注記で示している。草地は減少し、その他の面積は大きく変化していない。出典はシンク・ネイチャー。
【図3】大型無脊椎動物の個体数密度の変化を示す棒グラフ。縦軸は60平方メートルあたりの大型無脊椎動物の数(個)、横軸は2015年、2016年、2019年、2024年。2015年は約27個体、2016年は約19個体と一時的に減少するが、2019年には約30個体、2024年には約35個体まで増加している。矢印と注記により、経年的に個体数が増加している傾向を示している。
【図2】サンゴ被度とサンゴ幼生加入密度の変化を示す複合グラフ。横軸は1994年から2024年、左縦軸はサンゴ被度(%)、右縦軸はサンゴ幼生加入密度(3平方メートルあたりの個体数)。緑の折れ線はPPRのサンゴ被度、灰色の折れ線は世界平均を示す。PPRでは長期的にサンゴ被度が増加傾向にあり、注記で『サンゴ被度が増加』と示されている。棒グラフはサンゴ幼生加入密度を表し、近年は新個体の定着が回復傾向にあることを示す。図中には、1984年のPPR開業と開発時の海浜改修・サンゴ移植、2002年の海洋保護区指定と保全啓発活動といった取り組みの説明が記載されている。
  • 出典および用語詳細は本文中を参照ください

【サマリー】リスク・機会の把握、サプライチェーン協働、取り組み/今後の方針

気候・自然関連のリスク・機会

シナリオ分析および依存・インパクト分析を踏まえ、当社の事業上、特に重要と考えられる気候・自然関連の移行リスク・物理的リスクおよび機会を整理しました。
様々な気候・自然関連リスクが想定される一方で、事業機会の獲得も多く期待できることが分かりました。

サプライチェーンにおけるリスク・機会、依存・インパクトへの取り組み

当社グループが関わる不動産業においては、開発から運営は長期間にわたること、かつ多くの関係者が関わるため、ステークホルダーと協働してサプライチェーン全体で気候・自然関連の課題に取り組む必要があると考えています。

サステナブル調達方針
「気候変動への対応」「生物多様性の保全」など、「人権や労働に関する国際的な基準の順守・尊重」に加えて、環境への配慮を含めた「サステナブル調達方針」を定め、サプライチェーン全体で取り組みを推進しています。
森林破壊ゼロの取り組み
建設時に使用されるコンクリート型枠用合板パネルは、原産林における環境破壊や先住民からの土地収奪などの可能性が指摘される場合があります。当社グループでは、建設会社と連携し、コンクリート型枠用合板の持続可能性配慮木材(FSCおよびPEFC認証材並びに国産材等)利用率を2030年度までに100%とする目標を定め、分譲マンション等での認証材や国産材の利用を進めています。

気候・自然関連の当社の具体的取り組み

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項目 主な取り組み内容
気候関連 再生可能エネルギー事業、再エネ電力の導入・提供
ZEB・ZEH、環境認証の取得
自然関連 都市開発事業 まちづくり、都市緑化、緑化技術、植栽管理など
ホテル・レジャー事業 森林経営、希少生物の保護、海洋保全、など
その他 外来生物対策、汚染・廃棄物削減、資源循環、水利用削減

今後に向けて

今後も引き続き、国際動向を踏まえた自然関連の指標・目標のあり方など、当社グループの気候・自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の検討を深めていく予定です。また、SSBJ基準*に準拠した開示を進めることを見据えて、同基準の求める開示内容も一部取り入れており、今後も同基準に準拠した開示に合わせて開示内容を充実させてまいります。

【サマリー】脱炭素社会への移行計画

当社グループは、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」を策定し、2050年ネットゼロエミッションを掲げ、GHG排出量削減の長期目標を設定しています。同目標は、2024年7月に「SBTネットゼロ認定」を取得しました。
上記目標の達成に向けて、TCFDなどで提示されたガイダンスに沿った移行計画を、本レポート内で説明しています。
移行計画に基づき、再生可能エネルギー事業や、建物のZEB/ZEH化など、脱炭素化に向けた取り組みを推進しています。

自社とサプライチェーンの温室効果ガス排出量、および削減貢献量の実績と目標を示すグラフ。単位は千t-CO₂。積み上げ棒は、黄緑がScope3のカテゴリ1・2・11、濃緑がScope1・2を表す。2019年度はScope3が1,793、Scope1・2が283。2024年度はそれぞれ1,255と64。2030年度目標は964と57で、2019年度比でScope3を46.2%削減するSBT認定目標と、Scope1・2を80%削減する自社目標を示す。緑の矢印は2050年のネットゼロエミッション達成に向かう経路を表す。薄緑の削減貢献量は、2024年度に自社排出量の3倍、2030年度に10倍を目指す。

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移行計画の要素 開示内容
ガバナンス体制
  • 移行計画に関する取締役会や委員会の役割、マネジメント体制
  • 報酬・インセンティブ
  • スキル・能力・トレーニング
ロードマップ・施策
  • 脱炭素社会に向けたロードマップ、施策、資金調達方針
リスク・機会
  • シナリオ分析、リスク・機会
指標・目標
  • 気候関連の指標・目標
ステークホルダーエンゲージメント
  • 移行計画に関するステークホルダーエンゲージメント

開示にあたっての考え方(一般要件)

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一般要件 当社グループの考え方
マテリアリティの適用
  • 本レポートでは、ステークホルダーや社会に与えるインパクトと、当社グループの経営に与えるインパクトの両面でマテリアルと判断された内容を開示しています。
開示のスコープ/
自然関連課題がある地域
  • 自然関連課題については、全事業分野/主要バリューチェーン段階における課題の概観を把握したうえで、優先地域である「広域渋谷圏」、「東急リゾートタウン蓼科」「パラオ パシフィック リゾート」において、地域の分析を踏まえた詳細な依存・インパクトやリスク・機会について説明しています。
  • 気候・自然双方の課題について、当社グループの4セグメント(都市開発事業、戦略投資事業、管理運営事業、不動産流通事業)をシナリオ分析を行いました。
他のサステナビリティ関連の開示との統合
  • 本レポートでは、気候関連課題と自然関連課題が密接に関連していることを踏まえ、統合的な情報開示を行っています。また、気候・自然の課題が、人権など他のサステナビリティ課題と関連していることを認識しています。
検討される対象期間
  • 短期および中長期の時間軸で、リスク・機会を検討しました。
    • 【短期】1~2年
    • 【中期】3~9年
    • 【長期】10~25年
先住民族・地域社会・
影響を受けるステークホルダー
とのエンゲージメント
  • 人権方針を策定し、先住民族を含む地域コミュニティの権利などサプライチェーンを含む重要な人権課題を特定したうえで、サプライヤーへのサステナブル調達方針の浸透により、人権に与える影響の未然防止や軽減に取り組んでいます。
  • 新規プロジェクト候補や既存事業において、事業活動に関係するステークホルダーの人権を尊重するように努めているほか、自然・気候関連の取り組みにおいて地域のステークホルダーとのエンゲージメントを行っています。
東急不動産ホールディングス(株)

ガバナンス

ガバナンス

「ガバナンス」では、気候・自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に関する取締役会の監視や経営層の役割、自然関連課題に関連するステークホルダーエンゲージメントについて説明することが推奨されています。
当社の気候・自然関連のガバナンス体制については以下のとおりですが、当社グループは、取締役会にて、気候・自然関連目標等を承認し、進捗状況を監督する体制を構築しています。

  • 取締役選任時は、取締役会全体で「環境・サステナビリティ」の専門性を具備することを意識しています。
  • 経営陣の役割・責任を明確化し、気候・自然関連の重要課題に対し、責任を持って取り組んでいます。

主な組織の役割

  • 代表取締役社長(委員長)および執行役員を構成メンバーとするサステナビリティ委員会を設置しています。年に2回「リスクマネジメント委員会」と共に定例会議を開催し、気候変動および自然関連課題を含む環境経営やサステナビリティの重要課題について計画立案・実績確認を実施しています。
  • 取締役会は、当該重要課題や審議結果についてサステナビリティ委員会から報告を受け、進捗状況の監督・定期的なレビューを実施しています。
  • 長期経営方針の中で「環境経営」を全社方針に掲げ、中期経営計画の中で3つの環境重点課題を設定し事業を通じて取り組んでいます。
    『環境経営』を見出しに、三つの柱を横並びで示した図。左から『脱炭素社会』『循環型社会』『生物多様性』の三つの項目が、緑色のボックスで配置されている。
  • 気候変動に関しては、2020年度には代表取締役社長の指示に基づき「2050年ネットゼロエミッション」目標を掲げました。2030年度の目標は、2021年度にSBT(1.5°C水準)認証を取得し、2050年までの長期目標は2024年にSBTネットゼロ認定を取得しました。
  • 自然に関しては、国際動向も踏まえ、2023年度に「生物多様性方針」を改訂し、生物多様性へのネガティブインパクトの回避・最小化、ポジティブインパクトを拡大することを掲げています。
  • 2021年度より役員報酬に気候・自然関連課題を含むESGの取り組みを勘案しています。

体制図

  • グループ経営会議、サステナビリティ委員会が連携し、環境経営に関する方針・目標(KPI)・行動計画を策定し、取締役会が監督しています。
  • KPIに対する進捗状況のモニタリング・実績管理はサステナビリティ委員会にて実施しています。
企業のガバナンス体制を示した組織図。最上位に『株主総会』があり、その下に『取締役会』を中心として、『監査役会/監査役』および『会計監査人』が連携しつつ監査を行う体制を示す。取締役会の下には『指名・報酬委員会』が配置され、業務執行側として『社長』のもとに『リスクマネジメント委員会』『サステナビリティ委員会』『情報セキュリティ委員会』および『グループ経営会議』が設置されている。さらに『グループ内部監査部』が各部門および各事業会社を監査し、全体としてグループマネジメントと監督・監査の関係を図示している。

人権・ステークホルダーエンゲージメント

TNFDでは、自然関連の依存・インパクト、リスク、機会の評価や管理において、自然との関連性が高い先住民族、地域コミュニティ、影響を受けるステークホルダーとの効果的かつ有意義なエンゲージメントが重要視されており、「ガバナンス」の側面で開示することが推奨されています。
また、当社グループが営む不動産事業で、住宅・オフィスビル・商業施設・レジャー施設などの開発から運営は長期間にわたり、多くの関係者が関わることから、脱炭素化やネイチャーポジティブに向けて適切な対応を行うためにはステークホルダー(設計会社・施工会社・お客さまなど)と協働してサプライチェーン全体で取り組む必要があると考えています。
以下で、当社の事業・サプライチェーンでの、人権尊重やステークホルダーエンゲージメントについて紹介します。

人権の尊重

  • 当社グループは、事業に関わるステークホルダーの人権を尊重することは事業を行ううえで不可欠であるとの考えのもと、「東急不動産ホールディングスグループ人権方針」を策定しています。「世界人権宣言」などの国際的な人権基準を支持し、サプライヤーと共に人権を尊重した事業活動を行っています。
  • 人権に関する重要課題として、地域住民・先住民族の権利や、サプライチェーンを含めた強制労働・児童労働などの複数の課題を特定したうえで、人権デューデリジェンスの仕組みの構築や、人権リスクの未然防止・軽減に向けた取り組みを行っています。
  • 新規プロジェクト候補もしくは既存事業においては、当社のリスク管理プロセスに則り人権尊重に関するリスクを継続的に評価することで、そのプロジェクト自体もしくは地域社会における事業活動に関係するステークホルダーの人権を尊重するように努めています。

ステークホルダーエンゲージメント

  • 当社グループは、幅広い事業展開を通じた地域や関係者に与える影響が大きいため、さまざまなステークホルダーとの緊密な連携が必要と考え、従業員や地域社会、取引先、お客さまなどのステークホルダーとの対話を進めています。
  • 次項で、具体的なエンゲージメントの取り組みや事例を紹介します。

調達・サプライチェーンにおける対応

  • 調達・サプライチェーンにおいては、「人権や労働に関する国際的な基準の順守・尊重」に加えて、「気候変動への対応」「生物多様性の保全」「資源の有効利用」「適切な水利用」「適切な森林資源利用」という環境への配慮を含めた「サステナブル調達方針」を定め、サプライチェーン全体で気候変動対応・自然環境保全の取り組みを推進しています。

サステナブル調達方針

  • 「サステナブル調達方針」では、脱炭素の取り組みに関して、エネルギーの効率的な利用と再エネの利用を推進し、事業活動によるGHGの排出が気候変動に与えるインパクトを抑えるよう取り組むことを定めています。これらの取り組みを通じてCDPサプライヤー・エンゲージメント・リーダーに選定されました。(6年連続選定)(詳細は「サプライチェーン(環境)」参照)
  • また、自然環境保全に関しては、以下の取り組みを掲げています。
  • 資材調達・事業活動の際に、周辺環境や生物多様性、生態系への負荷の低減に取り組む
  • 資源保存や再生産確保のための措置を講じていない絶滅危惧種の動植物に由来する原材料の不使用
  • 事業に使用する資源の有効利用する
  • 生物多様性や保護価値の高い森林の保全、森林と共存する地域の文化、伝統、経済を尊重し、伐採国・地域における法令を遵守し、再生材、認証材など持続可能な方法で生産された森林資源を活用する
「CDP サプライヤー・エンゲージメント・リーダー 2025」のロゴマーク。左上に「Supplier Engagement Leader」、中央に「CDP」のロゴ、下に「2025」と記載され、右上はオレンジ色の三角形で彩られている。

サプライチェーン・デューディリジェンス

サプライヤーである建設会社には、建設工事の発注時に当社のサステナブル調達方針の順守を条件とし、定期的にデューディリジェンスアンケートを実施し、各社の状況を確認しています。課題がある場合には、建設会社と連携して対応することにより、責任あるサプライチェーンの構築を目指します。2025年度は、毎年建設会社を中心に実施している自己評価アンケート調査において、123社を評価しました。そのうち、3社にエンゲージとして個別ミーティングを行い、課題点の改善や先進事例の共有等を実施しています。(詳細は「サプライチェーン(社会)」参照)

縦長な机を挟んでミーティングを行っている
サプライヤーに対するエンゲージメント実施

森林破壊ゼロの取り組み

建設時に使用されるコンクリート型枠用合板パネルは、その多くが南洋材を原材料としており、原産林における環境破壊や先住民からの土地収奪などの可能性が指摘されています。当社グループでは、1次サプライヤーである建設会社と連携した対応により、建物の建設に使用するコンクリート型枠用合板の原料材における持続可能性に配慮した木材(FSCおよびPEFC認証材並びに国産材等)利用率を、2030年度までに100%とする目標を定め、以下のような取り組みを進めました。

住宅の事例

  • 「ブランズ千代田富士見(2025年1月竣工)」では、型枠合板にPEFC認証材を使用しています。内装材等で使用する認証材以外の木材製品についても、建材メーカーへのヒアリングにより可能な範囲で原産地および合法性を確認しています。また「コンフォリア芝浦Moku(2024年10月竣工)」では型枠木材はもちろん、サステナブルな素材である木材(国産またはPEFC認証材)をRC構造の中に組み込んだ木造ハイブリッド構造建築としています。

オフィスビル・商業施設の事例

  • 広域渋谷圏に位置する Coeru Shibuya(2022年6月竣工)において、SGEC認証を取得した長野県産のカラマツ材を木質ハイブリッド耐火集成材として使用し、木鋼組子(耐震ブレース)にフィンランド産の合法木材を使用しました。
  • Coeru渋谷道玄坂(2024年6月竣工)は再生建築の手法を用いた複合用途のビルで、オフィスの内装や什器に長野県・茅野市の当社管理森林の間伐材を、エレベーターホール内やオフィスフロアに設置する什器には木材をフロアカーペットには再生材を利用しています。
  • 「Forestgate Daikanyama(フォレストゲート代官山)」のTenoha棟は、サーキュラーエコノミー活動を行う事業者や行政と連携し、地域と都市をつなぐ活動拠点です。建物はその活動拠点にふさわしく、当社グループの保全対象森林、岡山県西粟倉村の間伐材を構造材として活用しています。
ブランズ千代田富士見
コンフォリア芝浦Moku ラウンジ
Coeru 渋谷道玄坂
Tenoha 代官山

地域社会におけるステークホルダーエンゲージメント

都市でのエンゲージメント

  • 東急不動産(株)は広域渋谷圏において、官民で構成される渋谷駅エリアマネジメント協議会の事務局として、防災・防犯対策、屋外広告物地域ルールの策定、情報発信、賑わい創出などまちづくりに関するルールづくりやまちづくり活動を行っています。
  • 特に自然災害の面では、渋谷駅周辺の地形の特徴も踏まえ、地下広場で官民関係者による浸水実働訓練を定期的に実施し有事の際のお客様の避難誘導や浸水対策の確認等を行うなど、自然災害時に備えた安心の体制とルールづくりに取り組んでいます。
  • また、東急不動産(株)は渋谷区と「渋谷区地域防災に関する包括連携協定」を締結し区の地域防災力向上に取り組んでいます。「災害に強い渋谷のまちづくり」を目指す渋谷区と、「サステナブルで多彩なまちづくり」を目指す東急不動産が、互いの掲げる目標の実現を目的として、官民連携で渋谷のまちの価値向上の取り組みを進めています。
「災害に強い街づくり」と書かれた横断幕を掲げた集合写真
豪雨災害対策として
浸水実働訓練の実施
渋谷駅周辺の一時滞在施設5つを表した地図
災害時のルールづくり
(帰宅困難者受入)
締結書を代表者2人で掲げた写真
渋谷区地域防災に関する
包括連携協定を締結
(東京都渋谷区)

地方でのエンゲージメント

  • 東急不動産(株) および東急リゾーツ&ステイ(株)では、東急リゾートタウン蓼科において、長野県茅野市および一般社団法人諏訪広域脱炭素イノベーション協会と、持続可能な循環共生型の脱炭素社会(地域循環共生圏)の創造を通じたカーボンニュートラルなまちづくりに資することを目的とした包括連携協定を締結し、地域とともに取り組みを推進しています。
  • また、再生可能エネルギーにおいて地域と連携して地域課題に取り組むべく、一般社団法人再生可能エネルギー地域活性化協会の代表理事を務め、市区町村協議会や県主催の研修会等で講演を行うなどの対話を積極的に行い、地域社会との長期的な関係性構築に努めています。
  • 東急不動産(株)は、町の沖合が洋上風力発電の一定の準備段階にある海域として整理されている北海道松前町と、松前さくら漁業協同組合(以下、「組合」)との間で「洋上風力発電と漁業の協調に係る協定書」を締結しています。当社は松前町で風力発電所を開発・運用しており、そのノウハウなどを元に、松前町の重要な産業である漁業分野における漁業の将来ビジョンの作成や、その具体的な施策の一部に協力しました。
  • 具体的な施策として、松前町及び組合が共同研究を行っているナマコの増養殖に関連し、漁礁の設置や海藻の移植など、ナマコの生育環境の整備に協力しました。
「地域循環共生圏に関する包括連携協定調印式」にて4人の写真
地域循環共生圏に関する包括連携協定を締結(長野県茅野市)
港の岸壁で、半球状のコンクリート製漁礁を設置する作業の様子。複数の漁礁が並べられ、作業者が準備や確認を行っており、背後には海と作業車両が見える。海上で小型船を使い、クレーンで半球状のコンクリート製漁礁を海中へ設置している様子。船上には作業者が立ち、背後には防波堤が見える。
漁礁設置の様子

海外でのエンゲージメント

  • 東急不動産(株)および子会社であるPacific Islands Development Corporationがパラオ共和国内で運営するパラオ パシフィック リゾート(PPR)は、2024年12月に開業40周年を迎え、記念レセプションを開催しました。
  • 開業40周年のレセプションにはパラオ共和国よりレイノルド・オイロウ副大統領を始めとする政府関係者なども出席され、長年にわたるパラオ経済への貢献やパラオ人に対する雇用・人材育成の実践、また環境保護を両立させた開発・運営により同国における観光業をリードし、同国の認知度向上に役割を果たしてきたことに対し、賛辞のお言葉を頂戴しました。
式典会場で撮影された記念写真。『Palau Pacific Resort 40th anniversary 2024』と書かれた横断幕の前で複数名が並び、中央でパラオ上院下院より授与された感謝状が掲げられている。
パラオ上院下院より授与された感謝状
東急不動産ホールディングス(株)

戦略 ~気候・自然関連のシナリオ分析~

戦略

気候・自然関連のシナリオ分析

気候・自然関連シナリオ分析のプロセス

当社グループでは2018年度より、気候変動リスク・機会の重要度に応じて順次対象事業を拡大しながら、シナリオ分析を実施してきました。今般、気候変動と自然の関連性が深いことから、気候・自然の課題を踏まえた統合的なシナリオ分析を行いました。

気候関連シナリオ分析
(2018年度~)
  • 2018年度:環境省支援事業として、「都市」「レジャー」事業を対象に、2°C・4°Cシナリオで気候変動のシナリオ分析を実施
  • 2020年度:対象事業分野を「都市」「住宅」「レジャー」「再エネ」に拡大
  • 2023年度:IEAのNZE2050シナリオ(1.5°Cシナリオ)を反映

気候・自然を統合したシナリオ分析を実施(今回)

気候・自然関連の
シナリオの設定
  • 近年の情勢を踏まえ、気候変動に関する将来シナリオを更新するとともに、TNFDのガイダンスを踏まえて、新たに自然関連の将来シナリオを設定しました。
  • 将来の気候変動・自然の変化や、気候・自然関連の移行の度合いが異なる、3つの統合シナリオを設定しました。
シナリオを踏まえた
リスク・機会の洗い出し
  • グループサステナビリティ推進部が事務局となり、シナリオを踏まえて、事業・財務に影響を与えうる気候・自然関連リスク・機会のロングリストを作成しました。
  • 既に実施していた気候シナリオ分析や自然関連のLEAP分析の結果もベースに、リスク・機会を検討しました。検討にあたっては、ISSBの産業別ガイダンス(不動産/太陽光技術及びプロジェクト開発業者/風力技術及びプロジェクト開発業者/ホテル及び宿泊施設/レジャー施設)における開示トピックを考慮しました。
部門との協議による
リスク・機会の重要性評価
  • 各部門と協議の上で、リスク・機会項目の妥当性を確認し、計155項目のリスク・機会を抽出しました。
  • 財務的影響度の重要性についても各部門との協議を踏まえて評価し、特に重要な項目を特定しました。
リスク・機会による
財務影響の定量評価
  • 一定の重要性があり、保有データや外部シナリオを踏まえて算定が可能なリスク・機会項目については、財務影響の定量評価を実施しました。算定の前提や算定結果についても各部門と協議を実施しています。
  • リスク・機会による財務影響の評価にあたっては、定量化可能な対象項目について、現状の利益構造を基礎に、将来のコストや収益の変動について一定の仮定を置いた上で、外部文献・内部資料を踏まえた変動率等のデータを加味した定量評価を行うと共に、定性的な影響度も総合的に判断したグループ全体及び事業別の評価を行っています。
対応戦略の確認
  • 想定されるリスク・機会に対する戦略について、サステナビリティ委員会において承認の上、取締役会に報告を行っています。

気候・自然関連シナリオ分析の前提条件

気候・自然関連のシナリオ分析の前提条件は以下のとおりです。

シナリオ分析の対象事業

以下の事業についてシナリオ分析を実施しました。

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セグメント 対象事業
都市開発事業 オフィス・商業施設事業/住宅事業
戦略投資事業 再生可能エネルギー事業/インダストリー事業戦略投資事業
管理運営事業 管理事業/ウェルネス事業/環境緑化事業
不動産流通事業 仲介・賃貸住宅サービス事業

(ただし、管理事業、環境緑化事業、仲介・賃貸住宅サービス事業では評価の結果、影響が大きいリスク・機会項目が確認されなかったため、事業別のリスク・機会の開示を省略しています。)

想定する時間軸

気候変動・自然関連のシナリオ分析、リスク・機会の検討、戦略の策定にあたり、短期・中期・長期の時間軸をの通り設定しています。

短期 1~2年
中期 3~9年
長期 10~25年

発生可能性・影響度の基準

リスク・機会を評価するための発生可能性・影響度の評価基準は以下の通り設定しています。

【発生可能性】
  • 高い確度で顕在化の可能性がある
  • 1年に数回程度発生する
  • 実現・顕在化の一定の可能性がある
  • 1年に1回程度発生する
  • 実現・顕在化の可能性は低い
  • 1年に1回未満
【影響度】
全社または当該事業の業績・戦略・ビジネスモデルに重大な正負の影響を与える(営業利益の10%以上の影響)
全社または当該事業の業績や戦略、ビジネスモデルに中程度の正負の影響を与える(営業利益の5~10%の影響)
全社または当該事業の業績や戦略、ビジネスモデルに与える影響は小さい(営業利益の5%未満の影響)

評価および開示に関する考え方

全社と各事業について、想定されるリスク・機会の発生可能性と影響度を評価し、両者が高い項目を開示対象としています。したがって、事業ごとに開示対象の項目が異なっています。
また、影響度の定量化のための前提条件の設定が困難な項目については、定性的な評価を実施しています。

気候関連のシナリオの前提

脱炭素社会に向けた社会の移行や気候変動の深刻化は将来の当社の事業に影響を与える可能性があることから、脱炭素社会への移行が最も急速に進む1.5°Cシナリオ、気候変動の影響が最も深刻化する4°Cシナリオ、その中間的・複合的な影響が生じる3°Cシナリオを含む、以下の3つのシナリオを対象にシナリオ分析を実施しました。

★ :「用語と解説」参照

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シナリオ 概要 参照シナリオ(移行シナリオ 参照シナリオ(物理的シナリオ
1.5°C
シナリオ
パリ協定の国際目標に整合するように、脱炭素社会に向けて政策・技術・市場などが着実に移行し、21世紀末の地球の平均気温上昇を産業革命前に比べて1.5°Cに抑えるシナリオ。
  • IEA(International Energy Agency: 国際エネルギー機関)のWorld Energy Outlookで採用されているNet Zero Emissions by 2050(NZE)シナリオ:2050年までにCO₂排出量のネットゼロを世界全体で達成し、長期の世界平均気温上昇を1.5°Cに抑制するシナリオ。
  • 日本のカーボンニュートラルに沿った各種政策や計画の想定
21世紀末の地球の気温上昇をおよそ1.5°Cないし2°C未満に抑える以下のシナリオを参照。
  • IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書のRCP(Representative Concentration Pathways:代表濃度経路シナリオ)2.6
  • IPCC第6次評価報告書のSSP(Shared Socio-economic Pathway:共有社会経済経路シナリオ)1-1.9および2.6
3°C
シナリオ
各国が国別目標(NDCs)に向けて排出削減を進めるものの、1.5°C目標の達成には及ばず、21世紀末の地球の平均気温上昇が産業革命前に比べて2.5~3°C程度となるシナリオ。
  • IEAのWorld Energy Outlookで採用されているSTEPS(Stated Policies Scenario:表明済み政策シナリオ)。各国が表明済みの気候関連の政策を反映したシナリオ。
中庸的なシナリオとして、気温上昇がおよそ3°Cとなる以下のシナリオを参照。
  • IPCC第5次評価報告書RCP6.0
  • IPCC第6次評価報告書SSP2-4.5
4°C
シナリオ
政策・技術・市場などが現在の傾向延長で拡大するため、21世紀末の地球の平均気温上昇が産業革命前に比べて4°C以上となり、気候変動による災害などの影響が増大するシナリオ。 脱炭素に向けた移行は想定しない。 気候政策を導入せず、気温上昇が4°Cを上回るシナリオとして、以下を参照。
  • IPCC第5次評価報告書RCP8.5
  • IPCC第6次評価報告書SSP5-8.5

気候関連のシナリオの前提

脱炭素社会に向けた社会の移行や気候変動の深刻化は将来の当社の事業に影響を与える可能性があることから、脱炭素社会への移行が最も急速に進む1.5°Cシナリオ、気候変動の影響が最も深刻化する4°Cシナリオ、その中間的・複合的な影響が生じる3°Cシナリオを含む、以下の3つのシナリオを対象にシナリオ分析を実施しました。

★ :「用語と解説」参照

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シナリオ 概要 参照シナリオ(移行シナリオ 参照シナリオ(物理的シナリオ
1.5°C
シナリオ
パリ協定の国際目標に整合するように、脱炭素社会に向けて政策・技術・市場などが着実に移行し、21世紀末の地球の平均気温上昇を産業革命前に比べて1.5°Cに抑えるシナリオ。
  • IEA(International Energy Agency: 国際エネルギー機関)のWorld Energy Outlookで採用されているNet Zero Emissions by 2050(NZE)シナリオ:2050年までにCO₂排出量のネットゼロを世界全体で達成し、長期の世界平均気温上昇を1.5°Cに抑制するシナリオ。
  • 日本のカーボンニュートラルに沿った各種政策や計画の想定
21世紀末の地球の気温上昇をおよそ1.5°Cないし2°C未満に抑える以下のシナリオを参照。
  • IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書のRCP(Representative Concentration Pathways:代表濃度経路シナリオ)2.6
  • IPCC第6次評価報告書のSSP(Shared Socio-economic Pathway:共有社会経済経路シナリオ)1-1.9および2.6
3°C
シナリオ
各国が国別目標(NDCs)に向けて排出削減を進めるものの、1.5°C目標の達成には及ばず、21世紀末の地球の平均気温上昇が産業革命前に比べて2.5~3°C程度となるシナリオ。
  • IEAのWorld Energy Outlookで採用されているSTEPS(Stated Policies Scenario:表明済み政策シナリオ)。各国が表明済みの気候関連の政策を反映したシナリオ。
中庸的なシナリオとして、気温上昇がおよそ3°Cとなる以下のシナリオを参照。
  • IPCC第5次評価報告書RCP6.0
  • IPCC第6次評価報告書SSP2-4.5
4°C
シナリオ
政策・技術・市場などが現在の傾向延長で拡大するため、21世紀末の地球の平均気温上昇が産業革命前に比べて4°C以上となり、気候変動による災害などの影響が増大するシナリオ。 脱炭素に向けた移行は想定しない。 気候政策を導入せず、気温上昇が4°Cを上回るシナリオとして、以下を参照。
  • IPCC第5次評価報告書RCP8.5
  • IPCC第6次評価報告書SSP5-8.5

自然関連のシナリオの前提

自然関連のリスク・機会については、TNFDのシナリオ分析ガイダンスで提示されている4つのシナリオを、当社グループの事業内容に合わせて具体化したうえで、枠内の3つのシナリオを対象にシナリオ分析を実施しました。シナリオDについては、自然関連の物理的リスク・移行リスクともに限定されることから、詳細検討の対象外としました。

★ :「用語と解説」参照

ネイチャーポジティブへの社会移行の進展度を縦軸、自然資本・生態系サービスの劣化の深刻度を横軸にした2×2のシナリオ図。左上Aは移行が進み損失が穏やかなネイチャーポジティブシナリオ、右上Bは損失が深刻でも移行が進む自然の損失による移行促進シナリオ、右下Cは損失が深刻で移行が停滞する自然の損失シナリオ、左下Dは損失が穏やかで移行も停滞する現状維持シナリオ。各象限に政策、顧客・投資家ニーズ、情報開示、技術進展、気候変動の影響が示されている。

気候変動・自然の統合的なシナリオの検討

  • 気候変動と自然は密接な関連があることから、当社グループのシナリオ分析においては、前述の気候・自然関連のシナリオを踏まえて、両シナリオを統合的に想定し、リスク・機会を検討しました。

★ :「用語と解説」参照

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シナリオ シナリオ①
1.5°C+ネイチャーポジティブ(A)
シナリオ②
3°C+自然の損失による移行強化(B)
シナリオ③
4°C+自然の損失深刻化(C)
概要
  • 気候変動における1.5°C目標達成と、ネイチャーポジティブの実現に向けグローバルに社会の移行が進む
  • 気候変動の影響、自然の損失の影響がともに抑えられている
  • 自然の損失の影響が深刻化することで、損失を食い止めるための迅速な社会の移行が進む
  • 気候変動対策も3°Cシナリオ相当で一定程度進む
  • 気候変動の影響、自然の損失の影響が激甚化する一方、気候・自然ともに抜本的な対策や、社会の移行が進まない
政策・
法規制
  • 電源構成・エネルギー供給で再生可能エネルギーが主流化、脱化石燃料化が進む
  • カーボンニュートラルに向け炭素価格導入、ZEB・ZEH促進などの政策が強化
  • GBFや生物多様性国家戦略に沿って、土地利用や資源利用、汚染など様々な自然関連の政策が強化
  • 再エネの促進、炭素価格導入、ZEB・ZEH促進などの政策は一定進むが、シナリオ①に比べ限定的
  • GBFや生物多様性国家戦略に沿って、土地利用や資源利用、汚染など様々な自然関連の政策が強化
  • 気候、自然ともに政策の導入・強化は進まない
  • 電源構成・エネルギー供給については化石燃料への依存が続く
市場・経済
社会・技術
  • 顧客、消費者、投資家、市民による脱炭素およびネイチャーポジティブへの関心・ニーズが強く、これらの要素で企業・商品・サービスが評価される
  • 政府のロードマップに沿って気候・自然関連の技術が進歩
  • 日本の実質GDPは横ばい、人口減少が進行
  • 顧客、消費者、投資家、市民によるネイチャーポジティブへの関心・ニーズが強く、これらの要素で企業・商品・サービスが評価される
  • 自然関連の技術が進歩
  • 気候関連はシナリオ①より限定的
  • 日本の実質GDPは横ばい、人口減少が進行
  • 顧客、消費者、投資家、市民による脱炭素およびネイチャーポジティブへの関心・ニーズは弱く、気候変動影響や自然の損失への適応のニーズが強い
  • 日本の実質GDPは横ばい、人口減少が進行
気候・
自然の状態
  • 気候変動による自然災害や異常気象などの影響は一定生じるものの、3°C・4°C上昇の場合に比べ抑制される
  • 自然や、水資源の供給、災害緩和などの生態系サービスが維持される
  • 気候変動による自然災害や異常気象などの影響は、4°C上昇と比べ抑えられるものの、深刻
  • 自然や、水資源の供給、災害緩和などの生態系サービスの損失も深刻
  • 気候変動による自然災害や異常気象などの影響が最も深刻化し、洪水頻度の増加や台風の激甚化などが発生
  • 自然や、水資源の供給、災害緩和などの生態系サービスの損失も深刻

当社グループ全体で特に重要なリスク・機会

シナリオ分析を踏まえて、当社グループ全体で特に重要なリスク・機会と、それによる当社グループへの影響は以下のとおり特定されました。

ネイチャーポジティブへの社会移行と、自然資本・生態系サービスの劣化度を組み合わせた4つのシナリオを示すマトリクス。縦軸は市場や政策などの移行ドライバーの整合性で、上ほどネイチャーポジティブへの移行が進み、下ほど停滞する。横軸は自然資本・生態系サービスの劣化で、左の穏やかな状態から右の深刻な状態へ進む。重要なリスクと機会について、全社の業績・戦略・ビジネスモデルに与える財務影響を大・中・小で示し、中期と長期に分けて評価している。左上のシナリオ1は、1.5°C目標を達成し、ネイチャーポジティブへの社会移行も進むケース。リスクは、ZEB・ZEHなどの脱炭素規制強化が中期で大、長期で中、自然保護のための開発・資源採取規制の強化が中長期とも大。機会は、再生可能エネルギー市場の拡大が中長期とも大、ZEB・ZEHや脱炭素物件の需要拡大が中期で大、長期で中、自然と調和した不動産・サービスの需要拡大が中期で小、長期で大。右上のシナリオ2は、気候変動を含む自然損失が深刻化し、自然関連の社会移行が強化される一方、気候変動対策は3°Cシナリオ水準で進むケース。リスクは、脱炭素規制強化が中長期とも中、自然保護規制の強化が中長期とも大。機会は、再生可能エネルギー市場の拡大が中長期とも大、ZEB・ZEHや脱炭素物件の需要拡大が中長期とも中、自然と調和した不動産・サービスの需要拡大が中期で小、長期で大。左下のシナリオ4は現状維持で、自然資本の損失による影響が少なく、自然関連対策や社会移行も進まないケース。重要な自然関連リスク・機会が想定されないため、詳細検討の対象外としている。右下のシナリオ3は、4°Cの気候変動と自然損失の深刻化が進む一方、気候・自然の対策や社会移行が進まないケース。社会移行がないため移行リスクや移行による事業機会は生じない。災害などの物理的リスクは想定されるが、対策や事業ポートフォリオ、不動産資産の分散により、対象期間の影響は中程度以下と評価している。

当社グループ全体で特に重要なリスク

  • シナリオ分析を踏まえて、当社グループ全体で特に重要なリスクと、それによる当社グループへの影響は以下のとおり特定されました。(全社及び各事業のリスク・機会項目について、定量評価の方法の概要はP.155を参照ください。)

この表は左右にスクロールできます

分類 リスクの内容 ビジネスモデル・
バリューチェーン
への影響
リスクが集中
している部分
気候 自然 時間軸 発生
可能性
シナリオ 財務影響
短期 中期 長期
移行リスク
  • ZEB・ZEH規制、省エネ基準、建物のライフサイクル排出量削減規制の強化や炭素価格強化によるコスト増加
  • テナントや顧客のZEBに対するニーズの高まりによる非ZEB施設の賃料低下・空室率上昇
  • シナリオ①では、ZEB・ZEH基準の強化や、炭素価格を含む将来の排出削減規制強化により、オフィス・商業施設や住宅、物流施設の建設・改修段階やホテル・レジャー施設の運営段階でコスト増のおそれがあります。
  • 同様に、建物の脱炭素性能に関する将来のテナントのニーズ変化により非ZEBの建物の賃料が低下、空室率が上昇し、利益減少のおそれがあります。
  • シナリオ②では影響が緩やかで、シナリオ③では影響は限定的です。
  • ZEB化コストは、アセットの中でも特にオフィス・商業施設で影響が大きくリスクが集中しています。炭素価格によるコスト増加の影響は、各施設の建設段階で集中しています。
  • 当社グループのアセットの大半が日本国内に所在しているため、日本の気候関連政策や市場動向がポートフォリオ全体に影響を及ぼす可能性があります。
  中期~
  • 自然保護のための新規開発時の土地改変、資源採取に関する規制強化
  • シナリオ①およびシナリオ②では、開発・建設段階で、将来の土地改変や開発規制の強化により、土地確保の困難化に伴う事業機会の減少や新規開発需要の低下のおそれがあります。
  • 同様に、鉄・アルミ、セメント等の鉱物や木材の調達段階での将来の自然関連規制強化により、オフィス・商業施設や住宅の建設段階でのコスト増加のおそれがあります。
  • シナリオ③の場合、これらリスクは想定されません。
  • 土地改変の規制強化については、大規模な土地を要する場合もある再エネ施設や物流施設において特に移行リスクが集中する可能性があります。当社グループのアセットは大部分が日本国内に所在しているため、日本の自然関連政策の動向によりポートフォリオ全体が影響を受ける可能性があります。
  中期~
  • 財務影響の大きさは、リスク・機会評価のためシナリオに基づき将来時点での利益への影響額を試算したもので、将来の業績を予測するものではありません。

当社グループ全体で特に重要な機会

  • シナリオ分析を踏まえて、当社グループ全体で特に重要な機会と、それによる当社グループへの影響は以下のとおり特定されました。

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分類 機会の内容 ビジネスモデル・
バリューチェーン
への影響
機会が集中
している部分
気候 自然 時間軸 発生
可能性
シナリオ 財務影響
短期 中期 長期
機会
  • 再生可能エネルギー市場の拡大による収益増加
  • 脱炭素に向けた再エネ市場の拡大により、当社の再生可能エネルギー事業の業績が既に拡大しています。シナリオ①およびシナリオ②の場合、将来さらなる市場拡大により、事業の利益が拡大する可能性がある一方、シナリオ③の場合、市場拡大の機会は限定的です。
  • 再生可能エネルギー事業で機会が生じる可能性があります。
  • 当社グループのアセットの大部分が日本国内に所在しているため、日本における再エネ推進政策の強化が事業機会につながる可能性があります。
  短期~
  • ZEB・ZEH・脱炭素性能の高い物件に対するテナントや顧客のニーズ増加による賃料増加・空室率低下、販売価格上昇
  • シナリオ①の場合、建物の脱炭素性能に関する将来の顧客のニーズ変化が、オフィス・商業施設、住宅、物流施設において賃料上昇や空室率低下、売却価格の上昇による利益増加をもたらす可能性があります。
  • シナリオ②の場合、これらの機会の影響は緩やかで、シナリオ③の場合には機会は限定的です。
  • 当社グループのアセットは大部分が日本国内に所在しているため、日本の気候関連政策強化やマーケット動向の変化がポートフォリオ全体の業績向上につながる可能性があります。
  中期~
  • 自然と調和した不動産やサービスへのニーズ増加による収益の増加
  • シナリオ①およびシナリオ②の場合、将来的に自然にポジティブなインパクトを与える施設やサービスについて、賃料上昇や空室率低下、販売価格上昇、サービス単価上昇などによる利益増加の可能性があります。
  • シナリオ③の場合、機会は限定的です。
  • 当社グループのアセットは大部分が日本国内に所在しているため、日本のネイチャーポジティブに向けた市場ニーズの変化がポートフォリオ全体の業績向上につながる可能性があります。
  中期~
  • 財務影響の大きさは、リスク・機会評価のためシナリオに基づき将来時点での利益への影響額を試算したもので、将来の業績を予測するものではありません。

気候・自然関連の特に重要なリスク・機会への対応

  • 特に重要なリスク・機会に対し、当社グループでは以下のように対応しています。
  • 対応や目標の進捗、必要な資源の確保については、「測定指標・ターゲット」および「脱炭素社会への移行計画」で説明しています。

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リスク・機会の内容 リスク・機会への対応
  • ZEB・ZEH規制、省エネ基準、建物のライフサイクル排出量削減規制の強化や炭素価格強化によるコスト増加(リスク)
  • ZEB・ZEHに対するテナントや顧客のニーズの高まりによる賃料・空室率、販売価格への影響(リスク・機会)
  • 次ページで記載のとおり、当社グループは従来から建物の省エネ性能向上やZEB/ZEHの推進に取り組んでおり、パートナー企業と連携し建設コストを抑えながら環境負荷低減を実現すべく取り組みを推進しています。また、オフィス・商業施設や物流施設において、自社事業の再生可能エネルギーを活用することで差別化を図っています。
  • 運営段階での炭素価格影響に対しては、内部カーボンプライシング導入により低炭素化を推進するとともに、次ページのとおり、保有・運営施設での再生可能エネルギー電力導入を早期に進めています。建設段階では、ゼネコンと協働で、建設段階までのCO₂排出量の削減に取り組んでいます。
  • ZEB・ZEH化で建物運用中のGHG排出量(オペレーショナルカーボン)を削減することが建物の建設段階や建材使用、建物解体時の廃棄物によるGHG排出量(エンボディ―ドカーボン)の増加につながるトレードオフが生じる可能性もあることから、ライフサイクル全体でのGHG排出が増加しないように考慮しながら取り組みを進めます。
  • 自然保護のための、新規開発時の土地改変、資源採取に関する規制強化(リスク)
  • 規制強化による資源の不足や価格高騰に対しては、再生建築・リノベーションにより資源使用量や廃棄物を削減することで対応します。
  • 規制強化による木材調達可能量の減少に対しては、ゼネコンと協働し、自然破壊につながらないサステナブル調達として、森林保全や認証材の活用等に取り組みます。
  • 再生可能エネルギー市場の拡大による収益増加(機会)
  • 東急不動産(株)は、政府の再生可能エネルギー推進策に対応して、2014年から再生可能エネルギー事業に進出し、再生可能エネルギー事業「ReENE」の拡大を気候関連の機会と位置付け、積極的な投資を行っています。太陽光発電、風力発電等を開発・運営しており、事業規模は国内トップクラスとなっております。
  • 気候変動対策のための再エネ拡大により地域社会・周辺の自然環境へ負の影響を及ぼすトレードオフが発生する可能性があることを認識したうえで、当社グループでは適切な環境アセスメントの実施により自然環境を守るとともに、住民説明会の開催や地域貢献活動の推進など、地域社会に貢献する事業を展開しています。
  • 例えば北海道・松前町では「風力と街づくりに関する協定」を締結し、官民・地域連携のもと、環境教育プログラムの支援や地域交流スペースである「TENOHA松前」の設置、再エネの地産地消の推進など、松前町の地域課題の解決に貢献するよう取り組みを推進しています。
  • 自然と調和した不動産やサービスへのニーズ増加による収益の増加(機会)
  • 当社グループは従来から生物多様性に配慮した都市緑化や自然と共生したリゾート開発などに取り組んできました。今後もオフィス・商業施設や住宅での生物多様性に配慮した緑化の推進や、リゾート開発・運営を通じた自然保全に取り組むとともに、「環境プレミアム」としての付加価値創出による収益力強化を推進します。

気候変動リスク・機会の事業戦略への影響

気候変動リスク・機会に対し、当社グループでは事業戦略において以下のように対応しています。

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区分 影響と対応
製品・サービス 気候変動リスク・機会に対し、当社グループでは従来から緩和策としての建物の省エネ性能向上、および適応策としての運営施設や分譲住宅のBCP強化に取り組んできました。2021年に策定した長期ビジョンではさらにZEB/ZEHの推進を掲げ、東急不動産(株)における導入率(ZEB/ZEH Oriented以上の建物性能を有する分譲マンション・運営施設の件数割合(着工ベース))を2030年度までに100%とするKPI設定に対して2024年度に100%を達成、東急リバブル(株)を始めとするグループ各社でもZEH標準化を進めています。
また東急不動産(株)および(株)リエネ・エナジーでは再生可能エネルギー事業「ReENE」の事業拡大・推進を目指しています。
サプライチェーン
バリューチェーン
上流については、2020年に策定した「サステナブル調達方針」では気候変動問題も課題に掲げ、さらにゼネコンとの協働による建物建設工程の低炭素化の検討を開始しました。
下流については、分譲住宅のGX-ZEH化・賃貸住宅のZEH化及び再生可能エネルギー電力導入を推進しています。
研究開発投資 (株)東急コミュニティーでは、技術研修センターを建設し、東京都内の事務所ビルで初のNearly ZEB認証を取得し、さらに修繕計画におけるZEB可提案サービスも開発しています。
東急不動産(株)でも新築に加えて既存のオフィスビルにおけるZEB化、屋上の芋緑化による空調費削減、屋外都市空間における暑熱対策などの検証を実施しています。また再エネ事業において営農型ソーラーシェアリングの実証も積極的に進めています。
施設の運用 東急不動産(株)では、自社事業の再生可能エネルギー電力の活用を図ることで、2050年に再エネ電力利用100%を目指す「RE100」を2019年に宣言しました。2022年12月には、国内の保有施設全244施設での電力の100%再エネ切り替えを完了し、2024年4月には国内事業会社で初めてRE100達成が認定されました。また東急リバブル(株)や東急住宅リース(株)が国内全拠点の再エネ100%化を図るなど、グループ各社でも事業拠点の再エネ化を進めています。

★ :「用語と解説」参照

気候変動リスク・機会の財務計画への影響

気候変動リスク・機会に対し、当社グループでは財務計画において以下のように対応しています。

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区分 影響と対応
間接費 東急不動産(株)は、シナリオ分析の結果に基づき、既存運営施設におけるCO₂排出量について、中期・長期の省エネ改修と運用改善により削減可能な限界値をシミュレーションしたところ、SBT水準のCO₂排出量の削減を実現するためには、速やかに再生可能エネルギー電力の購入に着手し、段階的に削減量を上積みしてゆく必要性を認識しました。そこで自社の再生可能エネルギー事業で発電した電力を活用することで運営施設の再生可能エネルギー電力導入を早期に進め、2023年度にRE100を達成しました。また東急リバブルが(株)が国内全拠点の再エネ100%化を図るなど、グループ各社でも事業拠点の再エネ化を進めています。
資本配分 東急不動産(株)は、政府の再生可能エネルギー推進策に対応して、2014年から再エネ事業に進出し、さらに2018年度から実施しているシナリオ分析の結果を受け、再エネ事業拡大を気候変動関連の機会と位置付け、積極的な投資を行っています。太陽光発電、風力発電所等を開発・運営しており、その事業規模は国内トップクラスとなっております。
またオフィスビル・商業施設の新築時にZEB水準を標準化し、さらに既存施設のZEB化改修にも取り組んでいます。併せてオンサイト再エネ施設や蓄電池の導入にも積極的に進めています。
負債 シナリオ分析の結果に基づき、環境関連課題に対する取り組みに対する評価を投資家から得ることを目的として、2019年度には100億円のグリーンボンドを発行しました。2021年度には、国内初となるESG債の長期発行に関する方針「”WE ARE GREEN”ボンドポリシー」を策定し、ESG債比率を、2025年度末に50%以上(達成済)、2030年度末に70%以上まで引き上げることを目指すこととしています。
資産 長期ビジョンに基づく事業ポートフォリオマネジメントにおいて、環境影響を評価指標の一つとし、運営施設のZEB化、再エネ発電所の積極的な展開を進めています。

気候・自然関連のリスク・機会に対するレジリエンス

  • 以上のとおり、当社グループでは、特に重要な気候・自然関連のリスク・機会に対し、リスクを低減・機会を最大化するための戦略的な対応および必要な資源の確保がなされており、気候・自然関連のレジリエンスを有していると評価しました。
  • なお将来については、以下のように一定の不確実性が存在することから、シナリオ分析においては国際機関のシナリオや政府のロードマップ等を基に、可能な限り不確実性を織り込んだ検討を実施しました。社会動向の変化に合わせ、今後も評価の見直しを行ってまいります。

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リスク・機会の内容 考慮した不確実性 不確実性の考慮方法
  • ZEB・ZEH規制、省エネ基準、建物のライフサイクル排出量削減規制の強化や炭素価格強化によるコスト増加(リスク)
  • ZEB・ZEHに対するテナントや顧客のニーズの高まりによる賃料・空室率、販売価格への影響(リスク・機会)
  • 炭素価格の水準
  • ZEB・ZEHに対する市場のニーズの変化の度合い
  • 脱炭素の度合いが異なる1.5°C・3°Cのシナリオを設定し、各シナリオ下で炭素価格水準やZEB・ZEHに対する賃料プレミアム・空室率などのパラメーターの想定を変え、複数シナリオでの財務影響の定量的な試算を実施することで、リスク・機会による影響を評価しました。
  • 再生可能エネルギー市場の拡大による収益増加(機会)
  • 再生可能エネルギー市場の拡大ペースや再生可能エネルギーの価格水準など
  • 脱炭素の度合いが異なる1.5°C・3°Cのシナリオを設定し、IEAのシナリオデータや日本のエネルギー基本計画等の政策を踏まえ、再エネの拡大率、再エネの単価想定等を複数パターン設定することで幅を持たせた財務影響を試算し、影響度を評価しました。
  • 自然保護のための、新規開発時の土地改変や資源採取の規制強化(リスク)
  • 土地改変や新規開発に関する規制の内容、規制の厳しさ
  • 資源価格の変化の度合い
  • 木材等の一部の資源価格については、国際的なシナリオデータを用いて、将来の価格変動を踏まえた定量的な試算を実施しました。定量的なデータが不足するものについては、不確実性がある前提で定性評価しました。
  • 自然と調和した不動産やサービスへのニーズ増加による収益の増加(機会)
  • 自然と調和した不動産やサービスに対する市場のニーズの変化の度合い
  • 外部の専門機関等のデータに基づき、自然と調和した不動産やサービスに対するプレミアムに関する複数パターンの仮定を置き、影響度を評価しました。

気候・自然関連の主なリスク・機会(オフィス・商業施設)

  • シナリオを踏まえて特定した気候・自然関連の主要なリスク・機会は下表のとおりです。
  • シナリオ①②においては、ZEB規制やライフサイクルカーボン・炭素価格などの排出削減政策強化、ネイチャーポジティブに向けた緑化規制への対応コスト増のリスクのほか、脱炭素・ネイチャーポジティブ性能に対するテナントのニーズの変化によるリスク・機会など、移行面の影響が大きくなる可能性があります。
  • シナリオ③においては、移行リスク・機会は想定されない一方、災害対策やBCPに関するテナントのニーズ変化といった物理的リスク・機会の影響が生じる可能性があります。
  • ただし、将来の規制の強度やテナントのニーズの変化、建物の環境性能や低炭素建材に関する社会の技術開発の程度には不確実性があります。

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分類 リスク・機会 事業への影響 気候 自然 時間軸 発生可能性 シナリオ 財務影響 対応戦略
短期 中期 長期
移行 リスク 政策・
法規制
市場

建物の省エネ基準やZEB基準の強化/
非ZEB・非認証物件・再エネ非対応物件のニーズ減少

炭素価格の導入/
ライフサイクルカーボン算定制度の導入

  • 新築・改修コストの増加
  • 賃料・空室率変動による収益減
  • ライフサイクルカーボン算定の対応コスト発生
  • 低炭素建材活用など、排出量低減のためのコスト増
  中期
  • 新築建物のZEB化、既存運営施設の設備更新の推進、再エネ電力の早期導入による差別化、環境認証の取得
  • ゼネコンとの協働による建設段階までのCO₂排出量の削減
  • 内部カーボンプライシング導入を通じた低炭素化推進による炭素価格の影響低減
政策・
法規制
緑化率向上規制の強化
  • 土地の有効面積の減少に伴う収益減少
  中期
  • 容積緩和などの制度活用、屋上・壁面緑化の活用
機会 市場
製品・
サービス
ZEB・認証物件・再エネ物件へのニーズ増加
  • 賃料上昇・空室率低下による収益増加
  中期
  • 新築建物のZEB化、既存運営施設の設備更新の推進、再エネ電力の早期導入による差別化、環境認証の取得
自然と調和したオフィス・商業施設に対するニーズの増大
  • 賃料上昇・空室率低下による収益増加
  中期
  • 生物多様性に配慮した都市緑化、エコロジカルネットワーク形成などの緑化取り組みの推進、環境認証の取得
資本
フロー
資金
調達
開発時の緑地の量・質に対する政策的支援の強化
  • 政策的インセンティブの享受
  中期
  • 生物多様性に配慮した緑化取り組みの推進
評判 都市の脱炭素化への貢献、自然と調和した都市開発による評判向上
  • 企業価値、ブランド力、エリアの価値向上
中期
  • 新築建物のZEB・ZEH化、既存運営施設の設備更新を推進し、再エネ電力の早期導入により差別化
  • 生物多様性に配慮した緑化の推進
物理 リスク 急性 災害リスクへの対応遅れによる建物のニーズ減少
  • 賃料・空室率の変動による収益減少
中期
  • 立地選定での災害リスク考慮
  • テナント連携によるBCP強化や防災対策・BCPに優れた施設開発
機会 市場
製品・
サービス
災害リスクを踏まえたビル選択やBCP・防災性能の高い建物のニーズ増加
  • 賃料・空室率の変動による収益増加
中期
  • 立地選定での災害リスク考慮
  • テナント連携によるBCP強化や防災対策・BCPに優れた施設開発

★ :「用語と解説」参照

気候・自然関連の主なリスク・機会(住宅)

  • シナリオを踏まえて特定した気候・自然関連の主要なリスク・機会は下表のとおりです。
  • シナリオ①②においては、ZEH規制やライフサイクルカーボン・炭素価格などの排出削減政策強化、ネイチャーポジティブに向けた資源価格変動等の移行リスク、脱炭素・ネイチャーポジティブに対する顧客のニーズ変化によるリスク・機会、リノベーション事業の拡大、緑化など自然と調和した住宅の需要増加による機会などの影響が大きくなる可能性があります。
  • シナリオ③においては、移行リスク・機会は想定されない一方、防災性能やLCP(Life Continuity Plan)に関する顧客のニーズ変化などの物理的リスク・機会の影響が生じる可能性があります。
  • ただし、将来の規制の強度や住宅マーケットの変化、建物の環境性能や低炭素建材に関する社会の技術開発の程度には不確実性があります。

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分類 リスク・機会 事業への影響 気候 自然 時間軸 発生可能性 シナリオ 財務影響 対応戦略
短期 中期 長期
移行 リスク 政策・
法規制
市場

省エネ・ZEH規制の強化/
ZEH・創エネ・省エネ・再エネに非対応の物件へのニーズ減少

炭素価格の導入/
ライフサイクルカーボン算定制度の導入

  • 新築・改修コストの増加
  • 価格変動による収益減
  • ライフサイクルカーボン算定の対応コスト発生
  • 低炭素建材活用など、排出量低減のためのコスト増
  中期
  • ZEH化の推進、再エネ電力の早期導入による差別化
  • ゼネコンとの協働による建設段階までのCO₂排出量の削減
  • 内部カーボンプライシング導入を通じた低炭素化推進による炭素価格の影響低減
政策・
法規制
新規開発時の土地改変・資源採取の規制強化
自然保護のためのリノベーション需要の増加による新築ニーズ低下
  • 建材の不足による調達コストの増加
  • 新築ニーズの低下
  中期
  • ゼネコンとの協働による建設時の資源利用の効率化
  • ニーズに応じたリノベーション事業の拡大
  • サステナブル調達の推進
市場 認証木材の需給ひっ迫による価格上昇
  • 調達コストの増加
  中期
  • ゼネコンとの協働による建設時の資源利用の効率化
  • サステナブル調達の推進
機会 市場
製品・
サービス
ZEH・創エネ・省エネ・再エネ物件へのニーズ増加/エネルギーマネジメントサービスの提供
  • 販売価格上昇等による収益増加
  • エネルギー管理サービス提供による収益増加
  中期
  • ZEH化の推進、再エネ電力の早期導入による差別化
  • エネルギー管理サービス提供
自然保護のための省資源を求めるニーズ高まり
  • リノベーション事業の拡大
  中期
  • ゼネコンとの協働による建設時の資源利用の効率化
  • ニーズに応じたリノベーション事業の拡大
自然と調和した住宅に対するニーズ増大や緑化規制による競争力強化
  • 販売価格上昇等による収益増加
  中期
  • 生物多様性に配慮した緑化等のGREEN AGENDA(景観管理計画)の推進
物理 リスク 急性 災害リスクへの対応遅れによる、住宅の競争力低下
  • 販売価格の低下等による収益減少
中期
  • 立地選定での災害リスク考慮
  • 防災対策・LCPに優れた住宅開発
慢性 気温上昇への対応遅れによる、住宅の競争力低下
  • 販売価格の低下等による収益減少
中期
  • ZEH化の推進による差別化
機会 市場
製品・
サービス
災害リスクを踏まえた住居選択、LCP・防災性能の高い建物のニーズ増加
  • 販売価格の上昇等による収益増加
中期
  • 立地選定での災害リスク考慮
  • 防災対策・LCPに優れた住宅開発
気温上昇に対応した高性能住宅のニーズ増大
  • 販売価格の上昇等による収益増加
中期
  • ZEH化の推進による差別化

★ :「用語と解説」参照

気候・自然関連の主なリスク・機会(物流施設)

  • シナリオを踏まえて特定した気候・自然関連の主要なリスク・機会は下表のとおりです。
  • シナリオ①②においては、再エネ市場の拡大の機会が大きくなる可能性がある一方、規制変更による事業リスクも想定されます。
  • シナリオ③においては、気温上昇による発電効率低下や屋外作業制限等の影響の可能性が想定されます。
  • ただし、将来の市場拡大や規制の内容・強度や気候変動影響の程度には不確実性があります。

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分類 リスク・機会 事業への影響 気候 自然 時間軸 発生可能性 シナリオ 財務影響 対応戦略
短期 中期 長期
移行 リスク 政策・
法規制

規制の変更・強化/
出力抑制の増加

  • 対応コストの増加
  • 出力抑制による収益の変動
  短期
  • 政策動向や国際ルールのモニタリング
  • 政府、業界団体とのエンゲージメント
  • 地域住民とのエンゲージメントと地域課題解決の推進
新規開発時の土地開発規制の強化や保護地域指定の拡大/環境影響評価・許認可の厳格化
地域との合意形成高度化
  • 土地確保の困難化による事業機会の減少
  • 環境影響評価や許認可のための対応コストの増加
  中期
市場 再エネ施設の増加による、保守・メンテナンス人材の不足、人件費の高騰、適地の不足
  • 保守・運用コストの増加
  • 用地の取得コストや設備設置コストの増大
  短期
  • 屋根置き・ソーラーシェアリングなど設置場所の多様化
  • ドローンモニタリング等の技術の活用
機会 市場
製品・
サービス
評判
再エネ市場の拡大/
設備・運営コストの低下、発電効率の向上
  • 収益の増加
  • 再エネ普及への貢献による評判や企業価値の向上
  短期
  • 市場ニーズに応じた事業拡大
  • 地域住民とのエンゲージメントを通じた地域共生による事業拡大
物理 リスク 慢性 太陽光発電パネルの高温化/熱波による屋外作業制限
  • 発電量低下による収益減少
  • 設備工事やメンテナンスの長期化によるコスト増加
短期
  • 高温耐性の高い設備の導入、立地選定での考慮

気候・自然関連の主なリスク・機会(物流施設)

  • シナリオを踏まえて特定した気候・自然関連の主要なリスク・機会は下表のとおりです。
  • シナリオ①②においては、GHG排出削減のための開発コスト増加や、ネイチャーポジティブに向けた土地開発規制強化などの移行リスク、脱炭素に対する顧客のニーズ変化による機会などが生じる可能性があります。
  • シナリオ③においては、災害の増加や気温上昇による顧客のニーズ変動によるリスク・機会が生じる可能性があります。
  • ただし、将来の規制の強度やマーケットの変化の程度には不確実性があります。

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分類 リスク・機会 事業への影響 気候 自然 時間軸 発生可能性 シナリオ 財務影響 対応戦略
短期 中期 長期
移行 リスク 政策・
法規制
技術

省エネ基準の強化/省エネ性能、断熱性能が高い建物の開発の必要性の増加

  • 開発・建設コストの増加
  中期
  • 最高レベルの省エネ基準対応、再エネ電力の早期導入による差別化・ブランディング
政策・
法規制
新規開発時の土地開発規制の強化や保護地域指定の拡大
  • 土地確保の困難化による事業機会の減少
  中期
  • 既開発の土地の再活用
機会 市場
製品・
サービス
再エネ導入、DX含む物流効率の向上などGHG排出削減性能が高い物流施設に対するニーズの増加
  • 賃料や売却収入増加による収益増加
  中期
  • 最高レベルの省エネ基準対応、再エネ電力の早期導入による差別化・ブランディング
物理 リスク 急性
市場
製品・
サービス
気象災害の激甚化に伴う、BCP対応が不十分な物流施設の競争力の低下
  • 賃料や売却収入減少による収益減少
中期
  • 立地選定での災害リスク考慮
  • 防災対策・BCPに優れた物流施設の開発
機会 市場
製品・
サービス
気象災害の激甚化に伴う、BCP対応が充実した物流施設へのニーズ増加
  • 賃料や売却収入増加による収益増加
中期
  • 立地選定での災害リスク考慮
  • 防災対策・BCPに優れた物流施設の開発
気温上昇に伴う冷凍・冷蔵倉庫事業のニーズの増加/
ECの増加による物流施設・倉庫のニーズの増加
  • 事業拡大による収益増加
  短期
  • 市場ニーズに応じた事業拡大

気候・自然関連の主なリスク・機会(ウェルネス)

  • シナリオを踏まえて特定した気候・自然関連の主要なリスク・機会は下表のとおりです。
  • シナリオ①②においては、GHG排出削減対応のためのコスト増加や、ネイチャーポジティブに向けた資源循環規制強化などの移行リスク、脱炭素・ネイチャーポジティブに対する顧客のニーズ変化による機会などが生じる可能性があります。
  • シナリオ③では、気候変動影響によるスキー場の降雪変化、リゾート地の魅力低下等の物理的リスク・機会の可能性があります。
  • ただし、将来の規制の強度や顧客ニーズの変化、気候変動による影響の深刻さには不確実性があります。

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分類 リスク・機会 事業への影響 気候 自然 時間軸 発生可能性 シナリオ 財務影響 対応戦略
短期 中期 長期
移行 リスク 政策・
法規制

建物の省エネ基準やZEB・ZEH基準の強化/
GHG削減の必要性の高まり/炭素価格の導入

  • 新築・設備更新、エネルギー転換等のコスト増加
  • 炭素価格による重油等の調達コストの上昇
  中期
  • 再エネ電力の早期導入
  • 内部カーボンプライシング導入を通じた低炭素化推進による炭素価格の影響低減
  • 建物の環境認証取得
廃棄物・資源循環に関する規制強化
  • 廃棄物削減やリユース・リサイクルにかかるコストの増加
中期
  • 代替素材への切り替え、資源利用の効率化
  • 顧客を巻き込んだ資源循環取り組みの推進
  • 建物の環境認証取得
機会 市場
製品・
サービス
評判
脱炭素やネイチャーポジティブに貢献する施設やサービスへのニーズ増加
  • 顧客増加やプレミアム増加による収益増加
中期
  • サステナブルなリゾート事業としてのブランディング、自然を活用した事業展開
  • 30by30、自然共生サイト取得
物理 リスク 慢性 降雪量・降雪日の減少によるスキー場への影響
  • スキー場の稼働日数短縮等による収益減少
  • 人工降雪機の導入によるコスト増加
長期
  • オフシーズンの施設利用
  • 降雪量が多いエリアのスキー場への集中投資
気温や海水温上昇による四季の景観や観光的価値の高い自然環境の損失
  • リゾート地の魅力低下による収益減少
中期
  • 多様な地域での施設運営によるリスクの分散
機会 市場
製品・
サービス
降雪機を導入しているスキー場の競争力強化
  • 競争力強化による収益の増加
短期
  • オフシーズンの施設利用
  • 降雪量が多いエリアのスキー場への集中投資
東急不動産ホールディングス(株)

戦略 ~自然関連のLEAPアプローチに基づく分析~

自然関連のLEAPアプローチに基づく分析

自然関連の「戦略」パートの開示の全体像

TNFDの「戦略」では、自社が特定した自然関連の依存・インパクトやリスク・機会、それらが自社の事業や戦略、財務計画に与える影響、シナリオを踏まえた戦略のレジリエンス、事業活動やバリューチェーン上の優先地域について説明することが推奨されています。本レポートでは、当社グループの事業について以下の内容を検討しています。

本レポートにおける自然関連課題の検討プロセスと開示推奨内容を示すフロー図。検討は、全事業の自然への依存・インパクトの概観把握、優先地域の特定、'広域渋谷圏'に焦点を当てたLEAP分析、'東急リゾートタウン蓼科'と'パラオ パシフィック リゾート'に焦点を当てたLEAP分析、シナリオ分析の順に進む。全事業ではENCOREなどを用いてバリューチェーン全体を把握し、自然の生息・重要性や水ストレスに基づき、'広域渋谷圏'とリゾート施設等13地域を優先地域に選定。都市開発事業とホテル・レジャー事業について依存・インパクト、リスク・機会を詳細分析し、気候・自然関連シナリオから財務影響を評価する。開示推奨内容は、自然への依存・インパクト、優先地域、自然関連の依存・インパクト・リスク・機会および財務影響の説明。

バリューチェーンの自然への依存とインパクトの概観

TNFDの分類を参照し、事業・バリューチェーン段階別に依存・インパクトの内容と定性的な重要性の概観を検討しました。UNEP(国連環境計画)が開発したツールであるENCOREやSBTs for Natureのツールにおける、セクター別レーティングを参考に※1、依存やインパクトの重要性をVery High~Lowの4段階で整理しました。結果は以下のとおりです※2

インパクト
依存
  • 不動産開発・運営時の土地改変・占有などの面で「陸域生態系の利用」が特に高い。
  • GHG排出や廃棄物排出、操業段階での水使用、外来種導入なども高い。
  • 不動産建設・運営時の水資源、建材などの供給サービスのほか、景観の向上・癒し等の文化的サービスが高い。
  • ホテルやレジャー事業の関連施設では、バリューチェーン上流の食材等の生産段階で、水供給や花粉媒介、気候調整などが特に高い。
事業セグメントごとに、自然へのインパクトと自然への依存の度合いを整理したマトリクス表。左からセグメント、事業内容、売上規模、バリューチェーンを示し、右側で陸域生態系や淡水・海洋生態系の利用、資源利用、水、GHG排出、汚染、廃棄物などの自然へのインパクト、ならびに供給サービス、調整・維持サービス、文化的サービスなどの自然への依存を評価している。各項目はVery High、High、Medium、Lowの4段階で色分け表示され、都市開発、再エネ施設、物流施設、マンション管理・環境緑化、ホテル・ゴルフ場・スキー場、ヘルスケアなどの事業特性に応じた影響と依存の強さを示している。
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  1. ※1全事業における建設・開発段階、再エネ・レジャー事業の施設以外の物件の運営・操業段階のレーティングは各ツールの「不動産」、再エネ施設の運営段階は「再生可能エネルギー」、レジャー事業の施設運営は「ホテル・リゾート・クルーズ」、バイオマス燃料や食材等の生産は「森林製品」「農業」のサブインダストリーをベースに、必要に応じ補完・調整して重要性を検討しました。
  2. ※2「不動産流通」については、直接の操業段階での依存・インパクトの重要性が高くないこと、間接的な依存・インパクトは他の不動産事業と同様であることから本表では割愛しています。

★ :「用語と解説」参照

当社グループの保有・運営物件における優先地域

バリューチェーンの中でも、当社グループ物件の開発~運営段階での自然のかかわりの重要性が特に高いと考えられるため、当社が保有・運営する主要267拠点(オフィス・商業施設、ホテル、レジャー事業の施設、再エネ施設等/2024年3月)を対象に、所在地を踏まえた優先地域の検討を行いました。TNFDが提示する、生態学的に影響を受けやすい地域等の視点を参照した下表の指標と、当社の依存・インパクト、リスク・機会面での重要性から、優先地域を検討しました。

「TNFDの優先地域」の図。「生態学的に影響を受けやすい地域」と「自社の依存・インパクト、リスク・機会の面で重要な地域」の円が少し交じり合っている。

評価に用いた指標と結果概要

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TNFDの
評価視点
参照した指標 結果概要
生態系の十全性 Biodiversity Intactness Index(生物多様性完全度指数)の高さによって評価 都市部にあるオフィス・商業施設・都市型ホテルの所在地は生態系の十全性が低く、地方のリゾートホテルやレジャー事業の施設、再生可能エネルギー施設の所在地は十全性が中程度~高い。
生物多様性の
重要性
以下の指標を総合して評価
  • 保護地域・生物多様性重要地域(KBA)との近接
  • STAR指標
  • 保全優先度
全体のうち114拠点(2024年3月)が保護地域と近接。
都市・地方問わず保全優先度が高い地域が多数ある。
拠点が多数あるため、指標に基づいてスコアリングを行い、当社内での相対的な優先度を検討。(次項)
水ストレス ベースライン水ストレス(Baseline Water Stress)の高さによって評価 水ストレスがかなり高い/高い地域に位置する物件はない。

★ :「用語と解説」参照

「生物多様性の重要性」「生態系の十全性」の評価結果をスコアリングすると、右図のような分布となりました。
この評価結果とともに、当社グループ全体の自然への依存・インパクトの検討結果も踏まえ、自然関連リスク・機会の観点で、特に優先的に検討すべき地域(優先地域)を表のとおり整理しました。
都市開発事業の「広域渋谷圏」と、ホテル・レジャー事業の代表として陸域について「東急リゾートタウン蓼科」、海洋について「パラオ パシフィック リゾート」を対象に、TNFDの提供するアプローチであるLEAPに沿って、自然への依存・インパクト、リスク・機会の検討を詳細に行いました。特に、PPRは当社の自然と共生する不動産開発・運営の原点・モデルとも言える地域と考えています。

生物多様性の重要性と生態系の十全性を軸に、優先地域を整理した概念図。縦軸は生物多様性の重要性、横軸は生態系の十全性を示す。左側の都市では、優先地域として広域渋谷圏の39拠点を示し、都市部のオフィス、商業施設、ホテルなどが対象。右側の地方では、陸域と海洋を含むリゾート施設等の優先地域13地域を示す。中央付近には再生可能エネルギー施設等が位置づけられている。

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優先地域①:
広域渋谷圏
(物件数:39)
  • 依存・インパクトの分析により、事業(売上)規模を踏まえると、都市開発事業での自然へのインパクトが特に大きい
  • 多数の当社物件が集積する注力エリアである
  • 生物多様性の重要性が都市部の中でも高い
  • 生態系に関する調査・研究を継続してきたことから、自然関連リスク・機会面で重要なエリアとして選定
広域渋谷圏
渋谷駅を中心とした、半径2.5km圏内の地域であり、当社グループは、駅周辺の回遊性を高める再開発事業のほか、様々な商業施設・オフィスビル等を開発・運営しています。
優先地域②:
リゾート施設
など13地域
  • 事業規模を踏まえた相対的なインパクトの重要性は都市開発事業に比べ高くないものの、生態系の十全性と生物多様性の重要性が高いため、「リゾート施設等13地域」を優先地域に選定
  • 代表として陸域・海洋それぞれ以下の事業を選定し、詳細評価
    • ホテル・ゴルフ場・スキー場・別荘等を含めた大規模・中核的なリゾート施設であり、当社グループの事業および自然への依存・インパクトの面で重要性が高い代表的な場所である「東急リゾートタウン蓼科」
    • 生物多様性の重要性が極めて高く、かつ当社グループにとっての自然環境の保護と開発の両立の原点であり、その後の事業にも影響を与えている「パラオ パシフィック リゾート」
東急リゾートタウン蓼科
長野県茅野市の北東部、蓼科高原のほぼ中央に位置する大型複合リゾートです。東急ハーヴェストクラブ蓼科をはじめ、ホテル約250室、ゴルフ場、スキー場、別荘約2,300区画、温泉施設、レストラン、店舗、地域共生施設などを備えています。
パラオ パシフィック リゾート
パラオ共和国で環境保全との調和を目指して開発した本格リゾートホテルです。パラオ国内最多の172の客室を有し、美しい白砂のプライベートビーチを持つ高級リゾートです。

優先地域におけるLEAPアプローチ

優先地域である、「広域渋谷圏」、「東急リゾートタウン蓼科」および「パラオ パシフィック リゾート」については、TNFDの提示するLEAPアプローチを踏まえ、自然への依存・インパクトと、それに伴う自然関連リスク・機会を、次ページ以降で、より詳しく検討しました。

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Locate
自然との接点の発見
Evaluate
依存・インパクトの診断
  • 「広域渋谷圏」の都市開発事業、「東急リゾートタウン蓼科」および「パラオ パシフィック リゾート」でのホテル・レジャー事業におけるバリューチェーンを通じた依存・インパクトの定性的な整理
  • シンク・ネイチャー社と連携した定量評価
Assess
リスク・機会の評価
  • リスク・機会の検討に必要な外部環境の整理
  • 「広域渋谷圏」を含む都市開発事業、「東急リゾートタウン蓼科」および「パラオ パシフィック リゾート」を含むホテル・レジャー事業でのリスク・機会の検討
Prepare
対応・報告の準備
  • リスク・機会に対する既存の取り組みの検討・整理

広域渋谷圏(東京都渋谷区)

Greater SHIBUYA MAPと題したイラストマップ。渋谷駅周辺を中心に、原宿、表参道、青山、松濤、代官山、恵比寿、中目黒、広尾などのエリアを示し、再開発事業、商業施設、オフィスビル、投資法人保有物件などがアイコンで配置されている。建物や街並み、人々の活動、緑地がイラストで表現され、広域渋谷圏における事業拠点の分布と街のにぎわいを視覚的に示している。

「東急リゾートタウン蓼科」(長野県茅野市)

長野県茅野市にある東急リゾートタウン蓼科を上空から捉えた景観。山々に囲まれた広大な森林の中に、建物や道路、池が点在し、自然と共生するリゾートエリアの全体像が広がっている。

パラオ パシフィック リゾート(パラオ共和国)

透き通った青い海に囲まれたパラオ パシフィック リゾートの上空からの写真。海上に建つ水上コテージと白い砂浜、背後の緑豊かな島の森が広がり、自然と調和した南国リゾートの景観を示している。

広域渋谷圏の都市開発事業での主な依存・インパクト

後述する、広域渋谷圏の自然の状態を踏まえた詳細検討に基づき、広域渋谷圏の都市開発事業における、バリューチェーンを通じた主な依存・インパクトの全体像を下図のとおり特定しました。
自然に対しネガティブ・ポジティブ双方のインパクトを与える可能性がある一方、様々な面で自然に依存もしています。

バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト ※太字は特に重要と考えられる依存・インパクト

建設資材の調達から開発・運営に至るバリューチェーンにおける、自然への依存とインパクトを整理した図。左から、建設資材の調達段階では建材・木材などの資源利用によるネガティブインパクトと、供給サービスへの依存を示す。開発・運営段階では、土地改変や土壌汚染、大気汚染、GHG排出、廃棄物排出、外来種導入などのネガティブインパクト、ならびに建物緑化などによる生息地提供やエコロジカルネットワーク形成といったポジティブインパクトを示す。右側には、気候調整や災害緩和、汚染緩和といった調整・維持サービス、レクリエーションや景観、ウェルネスなどの文化的サービスへの依存を記載。下部には、鉱物・エネルギー資源、土地、陸上生態系、大気システム、水資源といった関わりを持つ自然資本(TNFDの環境資産)が示され、太字は特に重要と考えられる依存・インパクトを表している。
  1. ※1調整・維持サービス:気候調整や局所災害の緩和、土壌侵食の抑制、有害生物や病気を生態系内で抑制する効果など、生物多様性により環境を制御・維持するサービス。
  2. ※2文化的サービス:人間が自然にふれることで得られる、審美的、精神的、心理的な面などで影響を受ける文化的なサービス。

広域渋谷圏における自然の状態と重要性

生態系の十全性

広域渋谷圏は「都市・産業」を中心とした生態系タイプであり、生態系の十全性が高い地域ではありません。
一方、1980年代以降、広域渋谷圏の商業地域全体の緑地面積割合は継続して減少しており(航空写真より算出)、生態系の十全性がさらに低下傾向にあると考えられます。

広域渋谷圏の商業地域全体の緑地面積割合

緑地面積割合が1980年~1990年までは16%程度で横ばいであるが、その後2020年の13%程度まで下がり続けている折れ線グラフ(株)シンク・ネイチャーによる分析

生物多様性の重要性

東京都市大学、当社グループの(株)石勝エクステリアおよび(株)東急不動産R&Dセンターの3者で、2016~2018年度に、広域渋谷圏の生態系の共同調査・研究2)を実施しました。広域渋谷圏は、明治神宮・代々木公園、新宿御苑・赤坂御用地などの大規模緑地に囲まれ、一方で大規模緑地に囲まれた市街地においては、小規模な緑が広く点在しているなど、都心でも稀有な自然と共存するエリアです。
こうした大規模な緑地には新種・絶滅危惧種や都内では珍しい動植物も生息するとされており、広域渋谷圏は、このような大規模緑地をつなぐエコロジカル(生態系)ネットワークを形成する上で重要な地域と考えられます。

代々木公園、明治神宮、新宿御苑、赤坂御用地、神宮外苑、青山霊園などの大規模緑地は濃い緑で示され、周辺の市街地では緑被が点在している様子が分かる。
広域渋谷圏の緑被面積の分布
(正規化植生指数NDVI>=0.25にて緑被を抽出し、その面積の対数値(Log10)を示したもの)

エコロジカルネットワーク

優れた自然条件を有している地域を核として、これらを有機的につなぐこと。採餌・営巣・繁殖などの生息のステージを地域の中で行えることで、個体群の絶滅や遺伝的な多様性の低下を防ぐことに寄与したり、多様な種間の関係性を構築することで地域全体の種の多様性の回復につながるといった効果がある。

生息地の提供によるポジティブインパクト

広域渋谷圏での生育・生息地サービスに関する調査

東京都市大学、(株)東急不動産R&Dセンターおよび(株)石勝エクステリアによる共同研究3)の中で、広域渋谷圏において、屋上庭園を設置して生物多様性を考慮した3つの物件とその周辺地域を対象に、蝶類の調査を行いました。その結果、各物件の屋上緑地でチョウ類の存在が確認されており、特に明治神宮から原宿、表参道につながる生態系ネットワークの一部として当社グループの建物緑化が機能し、生息地の提供により周辺生態系へポジティブインパクトを与えている可能性が明らかになりました。

蝶(チョウ)類が確認されたエリア

「おもはらの森」での生物モニタリングの継続的実施

調査方法

  • 鳥類調査(観察調査・定点撮影調査)
    • 6月、9月、1月の計3回、任意に踏査し、目視観察及び鳴き声等で確認された鳥類の種名、個体数、行動等を記録。
    • 鳥の利用頻度の高いバードバスを焦点とし、2か所で、感知式カメラおよび感知式ビデオカメラにて飛来時に自動撮影。
  • 昆虫類調査(任意観察調査)
    • 6月、8月、9月の計3回、任意に踏査し、目視観察及び鳴き声等で確認された昆虫類の種名、個体数の概数等を記録。

東急プラザ表参道『オモカド』では、2012年度から毎年(コロナ過等一部期間除く)、屋上庭園「おもはらの森」におけるモニタリング調査を実施し、生き物の生息・飛来状況の変化を把握しています4)

広域渋谷圏での生物モニタリングの継続的実施

鳥類については、2012~2019年度において、毎年10~16種、累計22種が確認されています。
例えば、スズメのつがいやシジュウカラなどが巣箱で営巣する様子、ツグミなどの様々な鳥類がバードバスでの飲水、植栽での採餌・探餌、休息などを行う様子が確認されており、様々の鳥類が「おもはらの森」を生息環境として恒常的に利用していることが分かっています。
昆虫類については、2012~2019年度において、毎年40~64種、累計151種が確認されています。
特に、移動能力が高いナミアゲハや、屋上緑地内に餌資源があるミンミンゼミ、アオスジアゲハなど9種が8か年で継続的に確認されています。
モニタリング結果からも、「おもはらの森」を中心とした建物緑化が、広域渋谷圏における生き物の生息地の提供により、生態系にポジティブインパクトを与えている可能性が示唆されます。
今後もモニタリングを継続して自然の状態を把握していく予定です。

木々に囲まれた屋上庭園で人々がくつろいでいる
おもはらの森

経年の鳥類リストと観察写真(確認調査)

経年の鳥類リストで、7目16科22種が記載されている
鳥・蝶・昆虫などの観察写真

建物緑化によるポジティブインパクトの定量評価(手法)

重要性が高い自然へのインパクトのうち、当社グループの物件の土地占有および建物緑化による生態系へのインパクトを、(株)シンク・ネイチャーの協力のもと定量的に分析しました。

  • 対象:当社グループの広域渋谷圏のオフィス・商業施設39物件
  • 方法:空中写真から定量化した建設前の植栽状況(樹種・本数)と、現在の各物件における植栽状況(樹種・本数)を踏まえ、(株)シンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータに基づき、建設前後での植栽による生物多様性再生効果を定量的に分析
渋谷ソラスタ
生物多様性再生効果

植栽樹種とそれを利用する鳥・蝶の関係に基づき、建設地点の1kmグリッド内に生息する生物が、建設前後でどれだけ増減するかの割合を、3分類群の種数と個体数でそれぞれ算出し、計6つの値の平均を結果に採用。

下図は、(株)シンク・ネイチャーの分析手法の考え方を示したイメージです

①樹木種②鳥類③蝶類の再生効果を並べた図

出典:(株)シンク・ネイチャー

建物緑化によるポジティブインパクトの定量評価(結果)

広域渋谷圏におけるネイチャーポジティブへの貢献

1980年代から、特に1990~2000年代にかけて、緑地面積割合は建設前後で減少傾向にありますが、当社グループ39物件全体では、商業地域全体の平均を上回って推移していました。さらに、COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催されるなど世界的なターニングポイントとなった2010年以降、生物多様性の損失から反転し、回復傾向(ネイチャーポジティブ)となっています。

生物多様性再生効果については、全39物件のうち15物件で建設前後の再生効果がプラスとなりました。特に、2012年度以降竣工の物件は生物多様性再生効果が高く、広域渋谷圏全体の生物多様性の回復に貢献していると考えています。
都市再開発事業の対象施設等を中心に、当社グループが得意とする地域共生のまちづくりにおいて、緑の量・質の確保と来街者・施設利用者の快適性を調和させた開発・運営を行っていることが、近年の生物多様性再生効果の高さに結びついていると考えられます。

左に緑地面積割合の推移、右に生物多様性再生効果を示した図。左図は1975年から2020年代までの折れ線グラフで、当社グループ39物件合計の緑地面積割合(青)が、広域渋谷圏の商業地域全体(灰)と比較して示され、2000年代以降は低下後に横ばいからやや回復する傾向が強調表示されている。右図は建設前後の生物多様性再生効果を示す棒グラフで、複数の個別物件ごとに再生効果の大きさが示され、一部物件で高い効果が確認できる。

広域渋谷圏を生物多様性の面でも環境先進都市へ

全39物件での植栽による種の捕捉率(広域渋谷圏全体に生息する種のうち、当社グループ物件の緑地で呼び込むことが可能な種の割合)を、(株)シンク・ネイチャーにて分析した結果、鳥類では約6割、蝶類では約9割の種を呼び込むことができる植栽であることが分かりました。特に在来樹木に基づく植栽を行っている物件が、高い捕捉率を示し、緑の質も生物多様性再生効果のアップに寄与しています。
例えば「Shibuya Sakura Stage」では、国や地域、東京都の在来種を含めた多くの樹種を多数植栽することによって、多くの種の鳥や蝶を呼び込める可能性があり、このことが種の捕捉率と再生効果の高さ(7.2%)につながっています。
近年の物件を中心に、在来種植栽などを含む緑化が生物多様性の再生に貢献していることが分かったため、今後も緑地の質に配慮した緑化に取り組むことが重要と考えています。

(株)シンク・ネイチャーが分析した種リスト

Shibuya Sakura Stage(2023年11月竣工)

渋谷駅に隣接する桜丘では、渋谷の新たなランドマークとなる大型複合施設「Shibuya Sakura Stage」の開発を手がけました。
本物件では、憩いの空間となる緑豊かな空間「はぐくみSTAGE」を整備し、ヒートアイランド対策にも寄与する地上、屋上、壁面等を活⽤した立体的な緑化を推進するとともに、太陽光発電等の再生可能エネルギー利⽤や次世代技術導入等による環境負荷低減にも取り組みます。

Shibuya Sakura Stage遠景
はぐぐみSTAGE

エコロジカルネットワーク形成によるポジティブインパクト

エコロジカルネットワーク形成に関する評価

生物多様性の取り組みをサポートする環境コンサルティング会社 株式会社地域環境計画の協力のもと、広域渋谷圏でのエコロジカルネットワーク形成の現状と方向性について分析しました。
地形や緑地の現状の分析から、広域渋谷圏は、武蔵野台地に渋谷川および目黒川の谷の低地が入り組んだ地形であり、谷地形や谷部に面した斜面に残存する緑地が多いことが確認されました。
また、当社の物件は、右図の赤○の位置にあり、物件同士が近接・集中している箇所もあります。

今後のエコロジカルネットワークをより充実させるためには、次の3つの場所の着目点が有益と考えられることが分かりました。

  1. 緑量が多い場所同士が近接している
  2. 谷や谷沿いの斜面など地形的につながりがある
  3. 対象物件が近接・集中している

今後もサイトの特性に応じた緑地整備に配慮し、生物モニタリング調査も継続して実施する予定です。

広域渋谷圏における谷地形のつながりとエコロジカルネットワーク形成の方向性

渋谷駅周辺を中心に、谷部や斜面に位置する主要な緑地が円や点線で示され、谷地形のつながりを示す軸と、生物多様性の向上に向けてエコロジカルネットワークを強化・充実させる方向が矢印で表現されている。

調整・維持サービスへの依存

気候調整・災害緩和など(都市における調整・維持サービス)の重要性

国の生物多様性国家戦略やまちづくりGX戦略、東京都の生物多様性地域戦略において、都市の重要な生態系サービスとして、自然によるヒートアイランド現象の緩和、洪水被害の軽減などの機能が重視されており、依存の観点では、これらの災害緩和・気候調整の生態系サービスが重要と考えられます。国土交通省によると、広域渋谷圏周辺(図の○で囲まれたエリア)は熱の発生源である一方、緑地保全や緑化施策を総合的に講じた場合に気温低下が期待できる地域と考えられます。
また、渋谷区の「みどりの整備方針」では、建物緑化などによって大規模緑地とのつながりを形成することは、都市のヒートアイランド現象の緩和に貢献するクールスポットの創出に寄与するとされており、依存の面だけでなく、こうした調整サービスに対するポジティブインパクトを与える面での重要性も高いと考えられます。

都市部における昼間の熱の発生源と、緑地保全・緑化施策による気温低減効果を対比して示した図。左図は昼間に高温となる市街地分布を赤色で示し、ヒートアイランド現象の発生源が集中している様子を表している。右図は緑地を保全・整備した場合に想定される気温差を示し、0.3℃以上および0.5℃以上気温が低下する区域が色分けと円で示されている。矢印により、緑化施策による気温低減効果の方向性を示している。

文化的サービスへの依存

自然によるストレス緩和・癒し(文化的サービス)の機能

当社グループでは、オフィスビルで提案する新しい働き方「GREEN WORK STYLE」の一環として、緑(植物や自然)が人に与える影響や効果を科学的に検証しました。例えば、緑のある屋上スペースでの休憩による効果を検証した結果、緑のある休憩後のほうが緑のない屋内と比べてストレス度が6.0ポイント低く、集中度の上昇は高い、ということが分かりました。
この結果からも、広域渋谷圏を含む都市においては、景観の改善、ストレス緩和・癒しといったウェルネスへの効果、働く人のひらめきやコミュニケーション活性化、モチベーションアップなどの生産性向上、そして、オフィス・商業施設などの魅力や資産価値向上といった面で、文化的サービスの重要性が高いと考えられます。

実証実験概要

  • 目的:植物のあるスペースで休憩することが、休憩後のストレスや知的生産性に与える影響の検証
  • 対象者:14人(男性 30代4人/40代3人、女性 30代4人/40代3人)/日時:2018年6月2日(土)
  • 実施場所:日比谷パークフロント(会議室/屋上テラス)
  • 収集データ:脳波、作業用タスクの回答数や正答率、主観評価
  • 利用機器:感性アナライザ(©電通サイエンスジャム)
  • 詳細:作業用タスク実施後、①<植物のあるスペース>または②<植物のないスペース>で休憩。休憩後にもう一度作業用タスクを行い、①と②で感性アナライザから得られたストレス値やタスクの作業効率に与える影響に違いがみられるか検証。
建物の上に芽が伸びるアイコンと、下部に『GREEN WORK STYLE』の文字を配置したロゴ。環境配慮やサステナブルな働き方を象徴するデザイン。
休憩前後のストレス度を比較した棒グラフ。縦軸はストレス度、横軸は休憩場所の違いを示す。屋内休憩後はストレスがプラス3.5ポイント増加している一方、屋外休憩後はマイナス2.5ポイント低下している。屋内休憩と比べて屋外休憩ではストレスが6.0ポイント低いことが強調表示されている。※0は休憩前のストレス度。
作業後の集中度とマインドマップ作成時の集中度を、屋内休憩と屋外休憩で比較した2つの棒グラフ。左の作業後集中度では、屋内休憩後が約38%、屋外休憩後が49%となり、休憩後の集中度が34.6%向上したことを示す。右のマインドマップ集中度では、屋内休憩後が45.6%、屋外休憩後が52.3%で、回答数が約15%向上したことを示している。
日比谷パークフロントの屋上休憩スペース。ベンチでくつろぐ人やストレッチをする人の姿があり、下の画像には色とりどりの草花が植えられた花壇が広がっている。都心の景色を望みながら、緑に囲まれて休憩できる空間を示している。
日比谷パークフロント

都市開発事業における重要なリスク・機会

当社グループの自然への依存・インパクトに基づき、関連する社会動向・政策の方向性など外部環境の情報も参照したうえで、都市開発事業において想定されるリスク・機会を検討しました。当社グループの事業にとっての重要性を定性的に検討した結果、重要と考えられるリスク・機会は以下のとおりです。
依存している生態系サービスの劣化による景観・快適性の悪化などの物理的リスクや、規制、市場環境の変化による移行リスクなどのリスクが想定される一方で、多くの自然関連機会も生じうることが分かりました。

この表は左右にスクロールできます

分類 主な依存・インパクト 都市開発事業におけるリスク・機会の内容
移行 リスク 政策・
法規制
建材・木材などの資源調達
(自然へのインパクト)
  • 自然保護のための、新規開発時の土地改変や資源採取関連の規制強化による、建材・木材等の不足、調達コストの増加
オフィス・商業施設等の物件の開発・運営による土地改変・占有
(陸域生態系へのインパクト)
  • 緑化率向上規制の強化による土地の有効面積の減少に伴う収益減少
  • エコロジカルネットワーク形成への配慮や、在来種植栽など、みどりの質の向上を求める規制/政策の導入・強化による対応コストの増加
市場
  • 自然へのネガティブインパクトの低減やポジティブインパクトの拡大に向けた取り組みが不十分なオフィス・商業施設の競争力低下(リスク)
技術 水や建材などの利用
(資源利用によるインパクト)
  • 資源・エネルギー効率が高く環境負荷の低い建設技術の導入のためのコスト増加
評判 土地改変・占有、汚染、廃棄物排出、外来種導入等のネガティブインパクト
  • 地域の生態系や景観、自然の文化的サービスにネガティブインパクトをもたらす開発・操業に対する批判や訴訟
機会 市場
製品・
サービス

土地改変・占有、汚染、廃棄物排出などネガティブインパクトの低減

緑地による生息地の提供、エコロジカルネットワーク形成など生態系(および生態系サービス)へのポジティブインパクト

  • 自然と調和した(自然へのネガティブインパクトが少ない/みどりの量・質の向上、緑化技術の進展、エコロジカルネットワーク形成等により自然にポジティブインパクトを与える)オフィス・商業施設に対するニーズ増大(機会)
資本フロー
資金調達
  • 開発時の緑地の量・質に対する政策的支援の強化による、政策的インセンティブの享受
  • 自然へのネガティブインパクトが少ない/みどりの質等の向上、緑化技術の進展、エコロジカルネットワーク形成等により自然にポジティブインパクトを与える不動産に対する投資の増加
評判
  • 生態系に配慮した不動産開発、持続可能な資源調達、汚染削減などを通じて、自然へのネガティブインパクトを低減し、ポジティブインパクトを与える事業活動による、自社の評判や企業価値の向上
  • 自然へのネガティブインパクトが少ない開発・操業や、みどりの量・質の向上、緑化技術の進展、エコロジカルネットワーク形成等により自然にポジティブインパクトを与える開発・操業による、地域コミュニティとの関係性の向上
  • 地域の自然の魅力を引き出す事業運営や自然と調和した土地開発による企業価値やブランド力、エリアの価値向上
物理 リスク 急性・
慢性
ヒートアイランド現象の緩和
(調整・維持サービスへの依存)
  • 自社および他ステークホルダーの土地開発に伴うヒートアイランド現象の悪化による空調コスト等の増加、都市の生活・滞在環境の悪化
レクリエーション、視覚的アメニティ
(文化的サービスへの依存)
  • 自社および他ステークホルダーの土地開発に伴う自然の劣化による景観の悪化など、まちの魅力の低下、資産価値の低下

東急リゾートタウン蓼科について

「東急リゾートタウン蓼科」は、長野県茅野市の北東部、蓼科高原のほぼ中央に位置し、標高1,100mから1,800mに立地する、総敷地面積約660ha(東京ドーム約140個分)の大型複合リゾートです。会員制リゾートホテルである東急ハーヴェストクラブ蓼科をはじめ、ホテル約250室、ゴルフ場(18ホール)、スキー場、別荘(戸建て、保養所、ヴィラ)約2,300区画、温泉施設、レストラン、店舗などを備えています。1974年に着工し、1978年には蓼科東急ゴルフコース開業、別荘地第1次販売を開始し、以後スキー場、テニスコート、ホテル等を開業、多彩なアクティビティや癒し、ワーケーションも含め、お客様が快適に豊かな自然を楽しむことができる、様々な施設・サービスを展開しています。
タウン内からは八ヶ岳連峰を望み、7月から8月でも最低気温は10°Cを下回ることもあるほど夏は過ごしやすく、湿度が低い爽やかな気候により、避暑地として優れた自然環境を有しています。

『MORIGURASHI(もりぐらし)』のタウンエリアマップ(センター地区)を示したイラストマップ。森に囲まれたエリア内に、宿泊施設、レストラン、温泉、テニスコート、スキーセンター、ドッグラン、キャンプ場、散策路、トレッキングコースなどの施設やアクティビティがアイコンで配置されている。道路や駐車場、川や池の位置も描かれ、自然の中での滞在や体験の全体像が分かる構成になっている。
東急リゾートタウン蓼科|自然の中に憩い楽しむ(長野・蓼科)

東急リゾートタウン蓼科での事業での主な依存・インパクト

「東急リゾートタウン蓼科」の事業は、下図のように、様々な面で自然や生態系サービスに依存しており、事業を営む上で、自然や自然のもたらす恵みが特に重要であると考えられます。また、ネガティブ・ポジティブ双方の自然へのインパクトも与えています。

自然と事業活動の関係を、生態系サービスの観点から示した概念図。中央に当社事業が配置され、周囲に供給サービス、調整・維持サービス、文化的サービスが広がる構成。供給サービスとして建材や農畜水産物、水資源などを示し、調整・維持サービスとして気候調整、水源涵養、土砂災害防止、温室効果ガス吸収などを表現。文化的サービスとして、自然を生かしたレジャーや癒し、景観の美しさを示している。矢印の色で、自然への依存、ポジティブインパクト、ネガティブインパクトの関係性を示し、最終的に地域貢献や地域経済・住民への価値創出につながることを示している。

後述する、東急リゾートタウン蓼科の自然の状態を踏まえた検討に基づき、事業・バリューチェーンを通じた主な依存・インパクトを下図のとおり特定しました。
自然に対しネガティブ・ポジティブ双方のインパクトを与える可能性がある一方、様々な面で自然に依存もしています。

バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト ※太字は特に重要と考えられる依存・インパクト

バリューチェーンにおける自然への依存とインパクトを整理した図。原材料・資材の調達から開発・運営までの各段階について、ネガティブインパクト、依存、ポジティブインパクトを区分して示している。依存には供給サービスや調整・維持サービス、文化的サービスが含まれ、ネガティブインパクトとして土地改変、資源利用、GHG排出、廃棄物排出などを記載。ポジティブインパクトとして、森林の適切な管理による炭素吸収、水源涵養、生物多様性保全、GHG削減、汚染低減などを示している。下部には、鉱物・エネルギー資源、土地、陸上・淡水生態系、大気システム、水資源といった関わりを持つ自然資本(TNFDの環境資産)が示されている。太字は特に重要と考えられる依存・インパクトを表す。

東急リゾートタウン蓼科の自然の特徴

「東急リゾートタウン蓼科」は、ホテル・ゴルフ場・スキー場・別荘などを備えた大規模な複合リゾートであり、敷地には約588ヘクタールの広大な森林を有しています。そのうち約3割以上と多くを占めるのが戦後に木材利用のために植林されたカラマツ林であり、そのほかミズナラなどのナラ類も多く見られるのが特徴です。

長野県の地図に茅野市があり、右に東急リゾートタウン蓼科の拡大地図

「東急リゾートタウン蓼科」の森林の構成

森林の構成比を示した円グラフ。その他広葉樹(コブシ、ダケカンバ、ケヤキ、サクラなど)が53.8%で最も多く、次いでカラマツが35.1%を占める。ナラ類は8.0%、サワラは1.6%、アカマツは1.1%、その他針葉樹は0.3%となっている。
構成樹種 面積
ヘクタール 割合
針葉樹 カラマツ 207 35.1%
アカマツ 6 1.1%
サワラ 9 1.6%
その他針葉樹 2 0.3%
広葉樹 ナラ類 47 8.0%
その他広葉樹 317 53.8%

森林の面積、構成は当社が保有、または長野県が公開している森林簿から集計。

観光資源としての自然への依存に関する評価(手法)

豊かな自然に囲まれた「東急リゾートタウン蓼科」は、観光資源として様々な自然資源に依存しています。
そこで(株)シンク・ネイチャーと連携し、生物種の分析を軸に、「東急リゾートタウン蓼科」の観光資源としての自然への依存について、詳細分析しました。

  • 観光資源としての特徴
    • タウン内の森林に多く存在しているカラマツの黄金色の紅葉を表す「カラマツゴールド」をはじめとして、秋の紅葉や春~初夏の新緑を楽しむお客様が多い。
    • 八ヶ岳連峰のふもとにある立地を活かし、登山やトレッキングを目的とした来訪が年間を通して多い。
  • 特色ある植生
    • カラマツ林地域で特色のある植生であり、「カラマツゴールド」として紅葉の美しさも評判が高い。
    • ミズナラ群落地域でよく見られる植生であり、紅葉に優れた種を多く含んでいる。
    • コケモモ-ハイマツ群集地域で多い高山植生であり、登山利用のニーズにマッチする。
  • 依存に関する定量評価
    • これらの特色のある植生が、全国と比較しても豊富なのかを定量的に把握するため、(株)シンク・ネイチャーの生物分布ビッグデータに基づき、上記植生を中心に、「東急リゾートタウン蓼科」内および周辺で特徴的(=豊富に生息している)な生物種を分析しました。具体的には右記の「リフト値」を算定しました。

出典:(株)シンク・ネイチャー

  • リフト値による特徴的な生物種の把握
    • ある生物種について、分析対象の地域(「東急リゾートタウン蓼科」や茅野市)での生息割合が、全国での生息割合の何倍か、を表したもの。
    • 1よりも大きいと、日本全国と比較して生息に適した地域が多いことを表す。
和名 東急リゾート
タウン蓼科
茅野市
カラマツ 14.2 11.2
ノリウツギ 4.1 4.0
ヤマブドウ 3.7 3.0
アキノキリンソウ 3.4 3.2
ミズナラ 1.5 0.8
ウリハダカエデ 4.2 3.8
ハイマツ 10.2 9.7
コケモモ 9.8 10.1
ナナカマド 12.6 11.8
ダケカンバ 5.7 4.6

観光資源としての自然への依存に関する評価(結果)

分析の結果(カラマツ林)

「東急リゾートタウン蓼科」は全国的にみても、カラマツ分布の中心部とも呼べるほどカラマツが豊富であることが分かりました。カラマツは日本固有種で、針葉樹で唯一の落葉樹であるため、春は新緑、秋は紅葉を楽しむことができます。また、カラマツ林で特徴的な植物として、ノリウツギやヤマブドウなど山裾に色合いをもたらす植物、美しい花を咲かせるアキノキリンソウなどが豊富であることも分かりました。これらの豊かな植生と、それによる美しい景観が、「東急リゾートタウン蓼科」の観光地としての魅力を高め、来訪客等の交流人口や関係人口の維持・増加などの側面で、事業を支えているといえます。

カラマツ林と生物多様性の分布を示した説明図。左にはカラマツ林の写真と、日本地図上に示したカラマツの予測分布域(緑色)があり、『東急リゾートタウン蓼科』がカラマツ分布の中心部といえる地域であることが吹き出しで示されている。右上には秋に黄葉したカラマツ林の景観写真、下部にはノリウツギ、ヤマブドウ、アキノキリンソウなど、周辺に見られる植物種の写真が配置されている。

出典:(株)シンク・ネイチャー

ミズナラ、ハイマツについても、以下の特徴が分かり、これらの豊かな植生とそれによる美しい景観が、「東急リゾートタウン蓼科」の観光地としての魅力を高め、来訪客等の交流人口や関係人口の維持・増加などの側面で、事業を支えているといえます。

ミズナラ

ミズナラについては、茅野市では必ずしも卓越して多くない一方、「東急リゾートタウン蓼科」では卓越して生息が多いことが分かりました。ミズナラ群落では、ウリハダカエデなどのカエデ科の植物やナラ類など、紅葉に富んだ植物の生息が豊富であることも分かりました。

ミズナラ
(出典:シンク・ネイチャー)
東急リゾートタウン蓼科の紅葉
ウリハダカエデ

ハイマツ

八ヶ岳連峰の稜線と同期するように「東急リゾートタウン蓼科」の東方に生息適地適性度の高い地域が分布していること、茅野市では高山植生であるハイマツの生息が全国的に見ても多いことが分かりました。また、コケモモ-ハイマツ群集に関連する植生として、コケモモのほか、ダケカンバなど紅葉性にも優れた植物の生息が豊富であることが分かりました。これらの高山植生は、登山客にとっての魅力の一つとなっていると考えられます。

ハイマツ
(©Σ64/Licensed under CC BY-SA 3.0)
コケモモ
(出典:地域環境計画)
ダケカンバ
(©Agnes Monkelbaan/Licensed under CC BY-SA 4.0)
ダケカンバの紅葉
(©Sten Porse/Licensed under CC BY-SA 3.0)

土地利用によるインパクトの定量評価(手法)

事業によるインパクトのうち、生態系サービスや森林生態系、景観の変化などに影響を及ぼす可能性のある重要なインパクトとして、施設の開発や運営による土地改変・占有によるインパクトを詳細に評価しました。
具体的には、当社の開発開始以降の森林面積の変化を、(株)シンク・ネイチャーの協力のもと、定量的に分析しました。

  • 対象:東急リゾートタウン蓼科
  • 方法:1973年・1975年の空中写真/1985年以降の精度の高い衛星画像を用いて、AIなどでの機械学習も用いながら森林/非森林の区別を推定し、森林面積の変化傾向を定量的に分析しました。

出典:(株)シンク・ネイチャー

衛星画像を用いて森林地域を推定した地図の比較図。左は2023年時点の茅野市全体における森林分布を示し、緑が森林、黄が草地、橙が市街地・宅地、水色が水域やその他を表す。東急リゾートタウン蓼科の位置が強調表示されている。右は2023年時点の東急リゾートタウン蓼科の敷地を拡大した図で、敷地内の大部分が森林に覆われていることが分かる。

機械学習:データ解析の方法の一つで、大量のデータからコンピューターが自らルールを学習し、その結果をもとに予測・判断を実施するもの。

土地利用によるインパクトの定量評価(結果)

経年における森林の変化は下図の通りです。用地取得前後の1975年頃は、敷地北部を中心に非森林地域が多い状態でした。森林の状態は、これら地域の森林の回復と、施設・別荘などの開発により変動していることが分かりました。

1975年から2023年までの衛星画像を用いて、森林と非森林の変化を時系列で示した比較図。各年ごとに森林(緑)と非森林(草地、市街地・宅地、水域など)が色分けされ、丸枠で変化の大きいエリアが強調されている。1975年は戦前・戦中の草刈りや戦後の植林により森林が広がっていたが、1980年代から1990年代にかけて別荘建築やゴルフ場開発により一部で森林が減少。2000年以降は建築が続く一方で、森林回復の傾向が見られ、2023年には森林が再び広く分布している様子が示されている。

出典:(株)シンク・ネイチャー

森林の状態を分析した結果、東急リゾートタウン蓼科における森林面積割合の変化は以下となりました。森林面積はゴルフ場や別荘・ヴィラの建設等による落ち込みを挟みつつも、全体の推移としては回復傾向にあり、現在は最も回復した水準となっていることが分かりました。森林を維持・回復をしながらの事業運営により、当社のリゾート開発・運営がネイチャーポジティブに貢献していると評価されています。

森林面積割合の変化(空中写真・衛星画像から評価)

東急リゾートタウン蓼科と茅野市全域の森林面積割合の推移を比較した折れ線グラフ。横軸は1970年から2025年、縦軸は森林面積割合(%)。緑の線は東急リゾートタウン蓼科、青の線は茅野市全域を示す。1970年代には東急リゾートタウン蓼科が約61.3%、茅野市全域が約58.5%で、その後、東急リゾートタウン蓼科は長期的に増加し、2020年代には約75.7%に達している。矢印と『ネイチャーポジティブへ』の注記により、森林を保全しながら事業成長を進めてきた流れを示している。下部には、着工、別荘地開発、ゴルフ場開業、森林経営計画策定などの主な出来事が年表形式で記載されている。

出典:(株)シンク・ネイチャー

森林管理によるポジティブインパクトの定量評価(手法)

当社グループでは、茅野市の森林整備計画に基づき2018年に東急リゾートタウン蓼科における森林経営計画を策定し、間伐・植林による森林管理に取り組んでいます。一方で、森林を構成する樹木の樹齢が高齢化していることから、間伐・植林に加え、今後は老齢化したカラマツ林の一部皆伐と植林を含む森林管理を検討しています。そこで、今後の森林管理のあり方が生物多様性にもたらしうるインパクトを定量的に評価しました。
具体的には、(株)シンク・ネイチャーの協力のもと、森林の植生状況や管理状況を踏まえ、森林の生物多様性の状態を表す指標の一つである「生物種数」を対象に、過去からの推移と、森林管理のあり方が生物種数に与える影響を定量的に分析しました。
森林のうち、カラマツ林について、毎年2ヘクタールずつ老齢林を皆伐し植林する森林保全活動を行っていくと仮定したパターンと、間伐や皆伐を行わずに自然遷移に任せたパターンを比較分析しました。

★ :「用語と解説」参照

定量分析の概要

カラマツ林を対象に、(株)シンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータに基づき、以下の2パターンの管理方法により、生物種数が将来どのように変化するかを分析しました。

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パターン 将来の管理想定 何が分かるか
1. 森林管理を行う場合:
老齢林の一部を皆伐・植林し、広葉樹林が混ざり合った森林とする
毎年2ヘクタールずつ老齢林(80年生以上)を皆伐し、広葉樹を植林して混ざり合った森林に少しずつ遷移させる 小規模皆伐および植林を長期的に行った場合の生物多様性への影響
2. 森林管理を行わない場合:
自然遷移に任せる(放置)
森林管理を行わず(間伐・皆伐をしない)、自然遷移に任せる 人の手を加えずに森林をそのまま残した場合の生物多様性への影響
  • 伐採:不要な樹木を切り倒すこと。
  • 間伐:育てようとする樹木どうしの競争を軽減するため、樹木の混雑度に応じて一部の樹木を伐採すること。
  • 皆伐:森林を構成する林木の一定のまとまりを一度に全部伐採すること。

森林管理によるポジティブインパクトの定量評価(結果)

森林管理による生物多様性インパクトの評価

通常、経年すると森林樹木の高齢化に伴い、森林の生物種数は減少します。分析の結果、当社は開発開始以来、森林伐採を抑えた開発とカラマツ林の植栽・保全管理によって、紅葉性に富み景観に優れた森づくりを行っている一方、平均樹齢は80年以上と、森林の高齢化が進み、生物種数が減少するフェーズにあることが分かりました(下図、2023年まで)。
一方で下図のとおり、カラマツ林においては、老齢林の一部を皆伐・植林し、広葉樹林が混ざり合った森林に誘導していく管理方法(パターン1)は、森林管理を行わず自然遷移に任せる方法(パターン2)と比べて、生物種数の低下度合いを抑制できることが分かりました(下図、2023年以降)。こうした結果も参考に、今後も間伐の継続や、一部の皆伐・植林を含め、適切な森林管理により、生物多様性の保全に努めてまいります。

生物種数の変化(カラマツ林において)

出典:(株)シンク・ネイチャー

カラマツ林における生物種数の変化を示す折れ線グラフ。横軸は1970年から2070年、縦軸は平均生物種数。黒線は森林管理を行わない場合で、1970年頃の約64種から将来に向けて一貫して減少し、2070年頃には約53種まで低下する。橙色の線は森林管理を行う場合で、2023年以降は減少幅が抑えられ、将来にわたって約57種前後を維持する傾向を示す。森林管理により生物種数の低下を抑制できることが示されている。

平均生物種数:カラマツ林を30m四方のグリッド(枠)で分割し、各グリッド内に含まれる生物種数をデータ分析したのち、全グリッドで単純平均を算出したもの。

森林の多面的機能へのポジティブインパクト(炭素吸収機能)

依存する自然の機能の一つである「森林の炭素吸収機能」について、「東急リゾートタウン蓼科」の森林によるCO₂吸収量を算定しました。

  • 対象:「東急リゾートタウン蓼科」の森林(森林面積 約588ヘクタール)
  • 方法:林野庁の「二酸化炭素の吸収・固定量『見える化』計算シート」を利用
  • データ出典:当社が保有、または長野県が公開している森林簿および森林計画図

森林の構成

森林の構成比を示した円グラフ。その他広葉樹(コブシ、ダケカンバ、ケヤキ、サクラなど)が53.8%で最も多く、次いでカラマツが35.1%を占める。ナラ類は8.0%、サワラは1.6%、アカマツは1.1%、その他針葉樹は0.3%となっている。

見える化シートの概要

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項目 詳細
作成・公開 林野庁
特徴
  • J-クレジット制度や都道府県認証といった森林保全によるCO₂吸収量を算出・表示
  • 所在地、樹種、齢級(林齢:5年単位)、面積などを入力することで、CO₂吸収量を計算
計算式 1haあたりの年間CO₂吸収量
1haあたりの年間幹成長量×拡大係数×(1+地下部比率)×容積密度×炭素含有率×44/12
係数の定義
  1. 1haあたりの年間幹成長量:樹木の幹が1年間で成長する1haあたりの容積(m³/ha)
  2. 拡大係数:樹木の枝部分の容積を付加するための係数
  3. 地下部比率:樹木の地上部(幹+枝)の容積に対する根の容積の割合
  4. 容積密度:木材の容積を重量に変換する係数(t/m³)
  5. 炭素含有率:木材の重量1t当りの炭素含有量を示す割合
  6. 44/12:炭素量を二酸化炭素量へ換算する係数

森林によるCO₂吸収量(単年)

分析の結果、「東急リゾートタウン蓼科」の森林全体では、1年あたり892tのCO₂を吸収していることが分かりました。これは一般家庭約240世帯分の年間世帯排出量に相当します。

CO₂吸収量 樹種別の吸収量 合計
カラマツ その他樹種
年間推定値
(t-CO₂/年)
340 552 892
1ヘクタールあたりの年間推定値
(t-CO₂/ha/年)
1.6 1.4 1.5

CO₂吸収量(区域ごと)

「東急リゾートタウン蓼科」における区域ごとのCO₂吸収量を示した地図。色の濃淡で年間の吸収量(トン/年)を表し、薄色は約30トン、濃色ほど多く、最大で180トン以上の区域が示されている。
各区域で樹種や樹齢の構成が異なるため、場所によっても吸収量に違いがある。

「日本国温室効果ガスインベントリ(2021年度)」データの世帯あたりCO₂排出量から算定。

森林によるCO₂吸収量(累計)

過去50年間で、森林の面積や構成樹種は変化せず、樹齢は経年変化しているという仮定のもと、過去の森林の状態を推定し、開発(1974年頃)以来、2023年までの累積のCO₂吸収量を計算しました。
計算の結果、「東急リゾートタウン蓼科」の森林全体では、累積で約7.4万tのCO₂を吸収していることが分かりました。
単年平均すると約1,480tのCO₂となり、約400世帯分の年間排出量に相当します。

累積CO₂吸収量 樹種別の吸収量 累計
カラマツ その他樹種
1974~2023年の累積推定値
(t-CO₂)
3.1万 4.3万 7.4万

CO₂吸収量(累計)

1975年から2023年までのCO₂吸収量の累計を示した棒グラフ。横軸は年、縦軸はCO₂吸収量(千トン)。年を追うごとに棒が積み上がり、森林によるCO₂吸収量が長期的に継続して増加していることを示している。

森林の多面的機能へのポジティブインパクト(概要)

東急リゾートタウン蓼科では必要な水を、川や地下水から取水していますが、この水は森林によって守られています。森林は、炭素吸収はもちろん、水源涵養(かんよう)、土壌流出抑制などの多面的機能を持っており、50年以上にわたって東急リゾートタウン蓼科の持続的な発展を支えてきました。東急リゾートタウン蓼科は、利用した水の浄化はもちろん、間伐など森林の適切な管理を行い育成することによって森や水資源を保全しています。このような森林との依存・インパクトの関係の中で、東急リゾートタウン蓼科は大切な水循環の一端を担っています。

東急リゾートタウン蓼科を含めたの水循環

森林の多面的機能へのポジティブインパクト(水源涵養機能)

東急リゾートタウン蓼科は、独自の上水場を完備し、タウン内の複数の天然の水源から取水して、タウン全体の水道水をまかなっている自給型のリゾート施設です。持続可能な水源の確保と水道供給のためには、タウンの森林の水源涵養機能が重要な役割を担っています。
タウン内の森林を対象に、森林の水源涵養機能とタウン全体の取水量との関係性について、総合的な流域水循環解析を行い水問題の科学的ソリューションを提供する企業である、(株)地圏環境テクノロジーの協力のもと、水循環に関するシミュレータ「GETFLOWS」を用いて、定量的に評価しました。

水源
  • タウン内の湧水や表流水3ヶ所より取水し、ろ過、滅菌した後、1日約800t~900t、トップシーズンには2,200tもの水を供給。
  • 年3回、川の上流清掃と、ろ過池の清掃を行い、6ヶ所ある配水池の点検整備を毎日実施。

※水源涵養

森林の土壌により、降水が地中に染み込み、保持されること。森林に降った雨は、一度森林や土壌を経由して、土壌の隙間に蓄えられ、ゆっくり時間をかけて河川に流出するため、「洪水の緩和」や「水資源の貯留」に寄与する。また地中を通った水は濾過され「水質浄化」も期待される。

定量分析

  • (株)地圏環境テクノロジーにて、東急リゾートタウン蓼科を含む周辺地域の気象条件(降水量など)や地形、土地利用、地質、森林条件(樹木の樹種や樹高、立木密度など)を反映した「水循環モデル」を構築。
  • 構築したシミュレーションモデルにより、対象地域における地表水・地下水の流れる経路や、水の涵養量(地面に染み込む水量で、降水量や地質の状態、樹種ごとの森林の蒸発散量を考慮して算出)を定量分析。
モデル鳥瞰図(標高で色分けしたもの)

分析による結果

  • 対象地域の水源涵養量は、地形の違いや降水量、樹種などの森林条件(蒸発散量)の違いで、水源涵養量の分布差があります。
  • 分析の結果、タウン内の森林全体での水源涵養量は年間532万m³と算出されました。東急リゾートタウン蓼科での年間水使用量は約16万m³(2023年度実績)であり、水源涵養量全体の3.1%にとどまることが分かり、タウン内の水使用量の全てが、タウン内の水源涵養量によりまかなうことができていることを確認でき、持続可能性が高いと評価されました。
  • 森林が減少した場合、降った雨は地表を一気に流れてしまうため、水資源の涵養機能(貯留力)が低下する可能性があります。また間伐することにより土壌を適切に保たれることで雨水の浸透を促します。タウンの森林を適切に管理しながら守りつつ、事業活動を行っていることにより、タウン内での涵養と水使用が持続可能な状態となっているといえます。水源涵養機能は、洪水緩和や地下水資源の貯留、水質浄化などの多面的機能にも寄与し、リスク低減につながっていると考えられます。
東急リゾートタウン蓼科の森林を対象に、水源涵養量の分布を示した地図。黒線で対象森林の範囲が示され、内部を1日あたりの涵養量(ミリメートル/日)を色分けで表示している。青から緑、黄色、橙へと色が変化するにつれて涵養量が大きくなり、谷筋や斜面ごとの水源涵養機能の違いが分かる。周囲には河川や地形の起伏も示されている。
東急リゾートタウン蓼科の水源涵養量の分布
林班ごとの水源涵養量を示した棒グラフ。横軸は林班番号、縦軸は水源涵養量(万立方メートル/年)。各林班の涵養量が比較され、林班106が約94.2万立方メートル/年で最も多い。全体の合計は年間約532万立方メートルであることが示されている。
林班別の水源涵養量

出典)地圏環境テクノロジー

森林の多面的機能へのポジティブインパクト(土壌流出抑制機能)

森林の土壌は、水源涵養や森林生態系の保全に重要な役割を担っているため、土壌流出は水源涵養機能の低下、水質の悪化、生態系の破壊・損失など、自然に対しネガティブな影響を及ぼします。
東急リゾートタウン蓼科の森林により、土壌流出がどの程度抑制されているのかを定量的に評価しました。

方法

土壌流出量を予測する算定方法として一般的に使用されているUSLE(Universal Soil Loss Equation)式を用いて、森林がある場合と荒地となっている場合で、土壌流出抑制量にどの程度の差があるかを分析しました。

USLE式

  • 米国農務省を中心に開発され、同国の農地保全基準として採用。日本でも「土地改良計画指針」で解説されている。
  • 降雨の特性、土壌の特性(土壌の透水性の高さなど、流出しやすさに関する係数)、斜面長・傾斜、表層の植生から年間の平均的な土壌流出量を評価するもの。

分析による結果

  • 分析の結果、森林が維持される場合には、東急リゾートタウン蓼科における土壌流出量は年間205tである一方、仮に森林が荒廃し荒地となった場合には、年間1,250tまで土壌流出量が増加することが分かりました。森林などの環境を適切に維持しながら事業活動を行っていることにより、エリアからの土壌流出量を荒地の場合と比較して▲83.6%抑制できていることが分かりました。
  • 健全に樹木が育つことにより、根が張った土壌が適切に保たれ、蒸発散によって降雨量の調整が行われます。タウンの森林を維持していくことにより、土壌の流出が抑制されるため、土壌流出による水源涵養機能の低下、それに伴う災害、水質の悪化、生態系の破壊などのリスクを防ぐことができると考えられます。
荒地と森林の土壌流出量を比較した棒グラフ。縦軸は土壌流出量、横軸は荒地と森林。荒地では土壌流出量が1,250であるのに対し、森林では205と大幅に低く、荒地と比較して83.6%の土壌流出抑制効果があることを示している。森林によるリスク低減効果が強調されている。

陸域のホテル・レジャー事業における重要なリスク・機会(移行リスク)

「東急リゾートタウン蓼科」での検討を踏まえ、ホテル・レジャー事業において想定されるリスク・機会を検討しました。当社グループの事業にとっての重要性を定性的に検討した結果、重要と考えられるリスク・機会は以下のとおりです。
依存している生態系サービスの劣化による、リゾート・観光地としての魅力の低下などの物理的リスクや、規制、市場環境の変化による移行リスクなどのリスクが想定される一方で、多くの自然関連機会も生じうることが分かりました。

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分類 主な依存・インパクト リスクの内容
移行 リスク 政策・
法規制
その他資源の利用、廃棄物
  • プラスチックやフードロスなど、廃棄物・資源循環に関する規制強化による、廃棄物削減やリユース・リサイクルにかかるコストの増加
水資源の利用
  • 河川の水資源を保護するための、水利用権の制限
水質汚染
  • 排水に関する規制強化
陸域生態系の利用、
その他資源の利用
  • 自然保護のための規制(例えば漁獲量の制限など)や、国内外での土地転換の規制、持続可能な農業の要求の高まりによる、リゾート施設やレストランで提供する農畜産物、水産物の価格高騰
技術 CO₂排出、水資源利用
  • エネルギーの効率を高める技術や、小規模循分散型水循環システムなど、水資源の効率的な利用、節水効果を高めるための新たな設備、技術の導入によるコスト増加
市場 資源利用
  • ホテルやレストランでのサステナブルな認証品、持続可能に生産された食品(農産物、畜産物、水産物)やアメニティ等の利用の要求が高まることによる調達コストの増加
  • 認証品やサステナブルな代替品(バイオマスプラスチックなど)の需要が増加することによる価格高騰
評判 陸域生態系の利用、
改変、水資源の利用
  • 施設による土地の開発や占有、水資源の大量使用、に対する評判の悪化
外来種導入、生態系かく乱
  • 外来の植物や生き物の導入・拡大、動植物への悪影響の発生による評判の悪化

陸域のホテル・レジャー事業における重要なリスク・機会(移行機会)

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機会の分類 主な依存・インパクト 機会の内容
移行 機会 資源効率

土地改変・占有、汚染、資源利用、廃棄物排出などネガティブインパクトの低減

森林の適切な管理や生物モニタリング、生物種の保護など、生態系(および生態系サービス)へのポジティブインパクト

  • 間伐材を利用したバイオマスボイラーによるCO₂の削減、エネルギーコストの低減、水の利用効率を高める技術導入によるコスト削減
資本
  • 森林の適切な管理による炭素吸収による、J-クレジットの取得
製品・
サービス
  • 間伐で発生するカラマツ材を使用した木材商品やオリジナルのアロマグッズの販売
市場
製品・
サービス
評判
  • 森林の適切な手入れ・管理による、動植物種の保持・増加などのポジティブインパクト、自然共生サイトへの認定や生物の保全取り組みに対する評判の向上
  • コンポストの導入やアメニティでの植物性素材の活用など、資源循環の向上、持続可能な資源利用に対する評判の向上
  • 施設の開発における、周辺の自然環境への影響の低減への配慮による地域コミュニティとの関係性や評判の向上
  • 地域循環共生圏への貢献による、自治体行政との関係性の向上
  • 地域ならではの自然の魅力を活かした事業活動、ネイチャーポジティブに貢献するサービス提供による収益増加(地域の認知度・観光地としての魅力の向上、観光客の増加も含む)
  • 間伐したカラマツ材の用途の拡大による地域林業のブランド価値・収益向上への貢献による評判の向上
自然の
保護・
回復・
再生
  • 森林の適切な手入れ・管理による水源涵養、土砂災害の防止機能など、生態系サービスの向上への貢献
  • 外来種の動植物の駆除活動による、自然の保護
  • 施設での様々な体験(森林の中での滞在、グランピング、トレッキング、バードウォッチングなど)を通じた、施設利用者の自然・環境に対する意識の啓発による、間接的な自然へのポジティブインパクト

陸域のホテル・レジャー事業における重要なリスク・機会(物理的リスク)

この表は左右にスクロールできます

分類 主な依存・インパクト リスクの内容
物理 リスク 急性・
慢性
水資源への依存
  • 他者の開発などに伴う河川の汚染や、水源地となっている森林での水の涵養能力の低下などによる、水資源の不足
水資源の供給、花粉媒介や気候調整への依存
  • 農畜産物の生産地や、畜産用飼料の生産地等での水不足、天候不良や異常気象、災害の発生による、ホテルやレストランの食材価格の高騰
  • 海洋・河川の生態系が劣化し、漁獲量が減少することに伴う、魚介類の不足・価格高騰
土壌・堆積物保持、暴風雨緩和、気候調整への依存
  • 周辺地域での他の企業等の開発に伴う森林の劣化による、土砂災害・水害リスクの増加
  • 森林の手入れ・管理が不十分なことでの地域の森の劣化に伴う、土砂災害・水害リスク
  • 気候変動での風水災の増加に伴う、施設、滞在者や利用者の被災の増加
気候調整、生息地の個体数や生息環境の維持、文化的サービスへの依存
  • 森林のCO₂吸収能力の低下に伴う、当社グループのネットゼロ移行計画への影響
  • 気候変動に伴う気温上昇による、四季の景観や観光的価値の高い自然環境の損失、リゾート地としての魅力の低下
  • 気候変動による降雪量・降雪日の減少によるスキー場への影響
  • 気候変動および開発などの人為的な影響、森林の手入れ・管理が不十分なことなどによる、鳥や魚、植物などの生物多様性の減少と、それに伴う自然を生かしたアクティビティ(トレッキング、バードウォッチングなど)の魅力の低下
  • 地域や施設内での外来種や獣害の増加による景観の悪化、それによる観光、様々なアクティビティや癒しなどの魅力の低下
  • 企業の開発など人間の活動により河川や湖の水質が低下することによる、観光面での魅力の低下

パラオ パシフィック リゾートについて

パラオ パシフィック リゾート( Palau Pacific Resort、以下「PPR」)は、パラオ共和国で、環境保全との調和を目指して開発した本格リゾートホテルです。

パラオ共和国について
パラオ共和国は、太平洋ミクロネシア地域の西端に位置する200を超える群島からなる国です。1994年に外国の統治から正式に独立し、観光業・漁業・農業を主要な産業としています。日本からは直行便で約4時間半で時差のない身近なリゾート地です。美しい珊瑚礁に囲まれた周辺海域は、多種多様な海洋生物が生息するダイナミックな世界屈指のダイビングスポットとして有名です。
PPR」について
世界遺産(複合遺産)の「ロックアイランド群と南ラグーン」を目の前にする絶好のロケーションにあり、パラオの自然と文化を存分に体感できる本格的なビーチリゾートです。
約27haの敷地にパラオ国内最多の172室の客室を備え、水上バンガロー(5室)、プールヴィラ(7室)など様々な宿泊体験を提供しています。
太平洋を一望できる約250mものプライベートビーチでは、シュノーケリングやSUP、カヤック等を楽しむことができます。また、敷地内にはパラオの固有種や絶滅危惧種を含む35種類以上の鳥が生息する森林があり、バードウォッチングやトレッキングなどのアクティビティが可能です。
日本とパラオの位置関係を示した地図。右側にパラオの島々が描かれ、星印でPalau Pacific Resortの位置、近くにパラオ国際空港が示されている。左側には日本列島が描かれ、東京からパラオまで直行便で約4時間半、台北やグアム経由便のルートがあることが示されている。
位置図
パラオ パシフィック リゾートの施設配置図。敷地内の建物や客室棟、レストラン、ビーチ、桟橋、共用施設、道路の位置関係を示し、右側には海上に広がる『The Pristine Villas and Bungalows』の配置が描かれている。敷地全体の構成が一目で分かる案内マップ。
施設配置図
海中洞窟のダイビングスポットの様子。洞窟の天井から差し込む青い光に照らされ、岩場の間をダイバーが泳いでいる。透明度の高い海と神秘的な水中景観が広がっている。
ダイビングスポット
ホテル前景の様子。手前に色鮮やかな花や緑が茂り、その奥にヤシの木に囲まれた水辺とコテージ風の建物が並んでいる。自然と調和した開放的なホテル空間を示している。
ホテル前景
海中の貝類と、枝にとまる色鮮やかな野鳥を写した写真。貝類は浅瀬の海底に生息している様子が見られ、野鳥は緑の葉に囲まれた自然環境の中で確認できる。海と陸の生物多様性を示している。
貝類・野鳥

1956年、東急不動産初代社長の五島昇が、戦後初めて民間人としてパラオ入りして以来、「地上最後の楽園」と言われるパラオで、豊かな自然と地域の歴史や文化、コミュニティーを守りながら事業を展開しています。

パラオ パシフィック リゾート(PPR)に関する主な出来事を年表形式で示した図。1956年の五島昇初代社長のパラオ入国から始まり、1973年の現地法人設立、1984年のPPR開業、1994年の客室増築、2002年のアラカベサン海域の海洋保護区指定、2012年の世界遺産認定、2015年の水上バンガロー増築、2019年の『The Pristine Villas and Bungalows』開業、2025年の自然環境体験施設『ルーク ネイチャーセンター』開業までの歩みを時系列で示している。

ルーク ネイチャーセンター(2025年12月オープン)とは

2025年、パラオの独特な自然環境の体験施設として、「ルーク ネイチャーセンター」をオープンしました。”Connectivity from Ridge to Reef(山から海までのつながり)”という言葉に象徴される、山と海が相互に作用しあう豊かな自然環境・生態系を、本リゾート敷地内で一度に体験いただける特別なプログラムを提供します。パラオの色鮮やかな自然の魅力を存分に楽しみながら、未来の環境保護に繋がる学びの場として新たな体験価値を創出します。

ネイチャーセンター|【公式】ザ プリスティン ヴィラズ アンド バンガローズ アット パラオ パシフィック リゾート

透き通った青い海に囲まれたパラオ パシフィック リゾートの上空からの写真。海上に建つ水上コテージと白い砂浜、背後の緑豊かな島の森が広がり、自然と調和した南国リゾートの景観を示している。
水上バンガロー
The Pristine Villas and Bungalowsの客室テラスからの景観。海に面したインフィニティプールとデイベッドが配置され、正面には穏やかな海と水上バンガローが並ぶ。自然と一体化した高級リゾートの雰囲気を示している。
The Pristine Villas and Bungalows
ルーク ネイチャーセンターの外観。豊かな緑に囲まれた木造建築が水辺に建ち、透明な水面に建物や樹木が映り込んでいる。自然環境と調和した体験型施設の様子を示している。
ルーク ネイチャーセンター

「PPR」での主な依存・インパクト

自然に対する依存・インパクトは下図のとおりです。自然に対しネガティブ・ポジティブ双方のインパクトを与える可能性がある一方、様々な面で自然に依存もしています。

バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト ※太字は特に重要と考えられる依存・インパクト

原材料・資材等の調達から開発・運営に至るバリューチェーンにおける、自然への依存とインパクトを整理した図。左から、調達段階では食材、アメニティ、建材・木材などの資源利用によるネガティブインパクトと、花粉媒介や気候調整、土壌保持といった調整・維持サービスへの依存を示す。開発・運営段階では、土地占有や海洋・陸域生態系の利用、資源利用、GHG排出、廃棄物排出、かく乱の可能性などのネガティブインパクトを示す一方、森林保全や水源涵養による陸域生態系の保全、環境配慮型の海岸整備による海洋生態系の再生、自己水源の確保、排水管理、再生可能エネルギー利用、廃棄物削減などのポジティブインパクトを示している。右側には、水資源や農畜水産物などの供給サービス、気候調整や災害緩和、土砂流出防止、浄化機能といった調整・維持サービス、ならびにレクリエーションや体験価値、景観などの文化的サービスへの依存が記載されている。下部には、鉱物・エネルギー資源、土地、海洋・陸域生態系、大気システム、水資源といった関わりを持つ自然資本(TNFDの環境資産)が示され、太字は特に重要と考えられる依存・インパクトを表している。

観光資源としての自然への依存に関する評価(手法)

「PPR」を含むエリアにおける自然の重要性として、「生物多様性の重要性」を評価しました。

評価方法

生物多様性の重要性の指標として、(株)シンク・ネイチャーと連携し「保全優先度」を分析しました。

保全優先度
評価対象をグリッド(マス目)に分割し、各グリッドについて、種の損失リスクを0~1で指標化(生物種の生息が豊かで、損失した場合のリスクが最も大きい場合が1)し、生物の生息種数が多く、絶滅リスクの高い種が多い地域ほど、保全優先度は高くなり、1に近づきます。
(株)シンク・ネイチャーの保有する、生物種の分布に関するビッグデータを用いて分析しています。
分析対象範囲
「PPR」の敷地及び前面海域(アラカベサン海洋保護区)を含むグリッドで評価しました。
分析対象範囲とPPR敷地、周辺海域の関係を示した図。左はパラオ周辺の地図で、分析対象グリッドと位置関係、約10分・約19キロメートルの範囲が示されている。中央はPPR敷地の航空写真で、敷地境界が線で囲まれている。右はPPR敷地に隣接するアラカベサン海洋保護区を示し、赤枠で保護区、黄色の線でPPR敷地の範囲が示されている。
  1. 1画像出典を参照ください。
  • グリッドとは対象地域をある大きさのマス目に分割したもの。このマス目の単位で生物多様性評価を実施

出典:(株)シンク・ネイチャー

観光資源としての自然への依存に関する評価(結果)

陸域と海洋の「保全優先度」を分析した結果、陸域・海洋ともに生物多様性の重要性が全世界で上位1%に含まれる、生物多様性保全上の価値が極めて高い地域であると評価されました。
陸域・海洋ともに世界的に見ても生物の生息種数が多く、絶滅リスクの高い生物種が多く生息している地域であるといえます。

陸域の生物多様性重要度

世界の陸域の中での上位 0.9%

陸域の生物多様性重要度を示すピラミッド型の図。世界の陸域全体を下層とし、上位に行くほど重要度が高いことを表している。最上部には『指標 0.9907』と示され、対象地域が世界の陸域の中で生物多様性重要度の上位0.9%に位置することを示している。

海洋の生物多様性重要度

世界の海洋の中での上位 0.1%

海洋の生物多様性重要度を示すピラミッド型の図。下層に『世界の海洋全体』を示し、上に行くほど重要度が高いことを表している。最上部には『指標 0.9994』と表示され、対象海域が世界の海洋の中で生物多様性重要度の上位0.1%に位置することを示している。

世界の海洋リゾートの生物多様性重要度(海洋・陸域)

世界の海洋リゾートにおける生物多様性重要度を、海洋と陸域の2軸で比較した散布図。横軸は陸域の生物多様性重要度、縦軸は海洋の生物多様性重要度を示す。ハワイ、ガラパゴス、モルディブ、フィジーなどの海洋リゾートが点で示され、パラオは星印で強調されている。パラオは海洋・陸域ともに非常に高い重要度を示し、世界の海洋リゾートの中でも特に生物多様性価値が高い位置にあることが分かる。

出典:(株)シンク・ネイチャー

海洋島:パラオを含む、一度も大陸と地続きになったことがない島。
陸域では、大陸とのつながりが強いほど種数が多くなる傾向があるため、一般的には、海洋島以外の方が重要性が高くなる傾向にある。

陸域における自然への依存に関する評価(結果)

(株)シンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータにより、陸域においては、6つの生物分類のいずれでも生物多様性重要度が世界トップクラスに高く、特に淡水魚類や爬虫類の生息種数が多く、鳥類等では固有種が多いことが分かりました。
レッドリスト記載種として、コウモリ類や鳥類の分布エリアとなっており、「PPR」における自然と調和した開発や後述する天然林の再生が、これらの豊かな生物多様性に貢献している可能性があります。

パラオにおける生物多様性の重要度と生物種数を示した図。左側は生物多様性重要度を示すレーダーチャートで、樹木、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、淡水魚類の各分類について、世界における上位割合が示されている。中央は生物種数のレーダーチャートで、樹木355種、鳥類97種、淡水魚類166種などの内訳が示され、世界の中央値との比較が描かれている。右側にはパラオ固有種およびパラオ固有種・固有鳥の写真が配置され、アカオオギビタキ、ヒメヒラハシ、ナンヨウショウビン、ホリイヒメアオバト、パラオガエルなど、代表的な生物が紹介されている。

出典:(株)シンク・ネイチャー

  1. 2-6:画像出典を参照ください。
  • パラオ固有種:パラオ国内にのみ分布する種

海洋における自然への依存に関する評価(結果)

(株)シンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータにより、海域においては、評価対象の6つの生物分類のいずれでも生物多様性重要度、種数ともに世界トップクラスに高いことが分かりました。レッドリスト種としては、ジュゴン、マッコウクジラなどの海棲哺乳類や、タイマイ、オオシャコガイなどの分布エリアとなっています。後述するとおり、「PPR」における海および陸の保全・再生が、これらの生物多様性の豊かさに貢献している可能性があります。

パラオにおける生物多様性の重要度と生物種数を示した図。左側は生物多様性重要度を示すレーダーチャートで、樹木、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、淡水魚類の各分類について、世界における上位割合が示されている。中央は生物種数のレーダーチャートで、樹木355種、鳥類97種、淡水魚類166種などの内訳が示され、世界の中央値との比較が描かれている。右側にはパラオ固有種およびパラオ固有種・固有鳥の写真が配置され、アカオオギビタキ、ヒメヒラハシ、ナンヨウショウビン、ホリイヒメアオバト、パラオガエルなど、代表的な生物が紹介されている。

出典:(株)シンク・ネイチャー

  1. 7-12:画像出典を参照ください。

開発時のネガティブインパクトの最小化(自然と開発の両立)

「PPR」では、サステナビリティという言葉や概念がなかった40年以上前から、東急不動産初代社長五島昇の「ヤシの木より高い建物は建てるなよ」 「本当にその土地の人々のためになる仕事をやるのだ」という言葉に象徴されるとおり、「自然と開発の両立」「地元に貢献し、地元の人々に受け入れられる事業」をコンセプトに開発を行ってきました。

陸域:綿密な環境調査による自然と調和した開発

「PPR」の敷地は、戦時中に軍事目的の建造物が建ち並んでいた場所であり、現在の施設は、森林を切りひらくのではなく、元々軍事施設があった場所を利用したことで、自然環境の改変を極力抑えています。
開発前には時間をかけ、植生や陸上の生態系に関する綿密な環境調査を実施しました。植生調査の結果に基づき、既存の樹木の保存を徹底するとともに、在来種を育苗して植林しました。例えば1979年当時、海岸には海岸の砂質に特有の「テリハボク-モクマオウ群落」が記録されていますが、これは現在も残っています。また、敷地の北東部の一部は水資源保護エリアとして森林を保護し、トレッキングエリアとしても活用しています。

開発前後の敷地の様子
1944年の開発前の様子を写した白黒の空中写真。海岸沿いに滑走路や施設が確認でき、周囲は未整備の土地や自然が広がっている。
1944年(開発前)
 
開発後の2024年の様子を写した空中写真。海岸沿いに白い砂浜と桟橋が整備され、緑に囲まれたリゾート施設の建物群やプールが配置されている。自然環境と調和した開発後の景観を示している。
2024年(開発後)
 
1979年に作成された植生調査資料の地図。等高線と色分けにより、調査区域内の地形と植生区分が詳細に示されている。凡例には複数の植生タイプが記載され、当時の土地利用や植生分布の状況を把握できる資料である。
植生調査資料
(石勝エクステリア、1979)
 
海岸沿いに広がる樹林の様子。砂浜の脇に大きな樹木が生い茂り、木陰が海辺まで続いている。背後には穏やかな海と緑の丘が見え、自然に守られた海岸環境を示している。
海岸の樹林

海洋:大規模な海浜改修・サンゴの移植、海洋保護区指定への尽力

開発前、前面の海域は、陸から泥土が流出しサンゴの生育に相応しくない状態でした。
環境調査を踏まえ、サンゴの移植を含む大掛かりな海浜改修を実施し環境改善に努めた結果、前面の海域でサンゴの再生に成功しています。
さらに1990年代後半から、絶滅危惧種のオオシャコガイの稚貝をホテルゲストと共に放流する取り組みや、地域の人々やホテルゲストに向けた生物採集禁止の啓蒙活動を実施しています。
このような保全の取り組みにより海洋環境が改善され、パラオ政府に対し海洋保護区への指定を働きかけ、2002年には、プライベートビーチとしては類例のない、前面海域が「アラカベサン海洋保護区」に指定されました。

海上でサンゴの移植作業を行っている様子。ロープでつり下げられたサンゴが海中へ降ろされ、周囲では作業者が水中で作業を見守っている。海洋環境の保全を目的とした取り組みを示している。
サンゴの移植
海中でシャコガイの放流を行っている様子。シュノーケリングをした作業者が砂地の海底にシャコガイを設置しており、周囲にはサンゴが点在している。海洋生態系の保全や回復を目的とした取り組みを示している。
シャコガイの放流

開発時のネガティブインパクトの最小化(地域社会への貢献)

「地元に貢献し、地元の人々に受け入れられる事業」というコンセプトの下では、地域の文化・伝統と調和した設計や、雇用創出・人材教育などを通じた地域社会への貢献に取り組んでいます。

地域の文化・伝統や自然と調和するデザイン

建物はヤシの木よりも低い2階建て以下の高さに設計し、屋根はパラオの伝統建築である「アバイ(集会所)」を模しています。既存樹木を保存するとともに、建物を周囲の海や緑に調和させるデザインとしています。
伝統建築や、文化を象徴する建物や彫刻物などのデザインを取り入れることにより、お客様にパラオの文化や伝統、自然観を共有・体感いただくとともに、従業員がそれらを誇りに思うことが、お客様に対してより良いサービスを提供することにもつながっています。

青空の下、背の高いヤシの木が立ち並び、手入れされた芝生と緑に囲まれた木造風のホテル建物が配置されている。自然と調和した開放的なホテル環境を示している。
ホテル前景
伝統的建築物アバイ(集会所)の外観。高い切妻屋根と木材・自然素材を用いた構造が特徴で、壁面には民族文様が描かれている。周囲は緑豊かな森に囲まれ、地域の文化や伝統を象徴する建物である。
伝統的建築物 アバイ(集会所)

地域社会への貢献

所在するアラカベサン島西岸は、近隣住民も利用する場所であったため、当初は開発への反対もありました。当社は、近隣の住民を従業員として雇用し、環境保全に配慮したリゾートホテル開発に対する思いを伝えることで、住民の理解を得ながら開発を進めました。
現在では全従業員の約6割がパラオ人であり、パラオでの雇用創出に加え、ホテル・観光業における人材教育などを通じて地域社会に貢献しています。
これにより地域と良好な関係を築くことができ、地元からも「PPR」の活動に感謝が寄せられています。
また、「PPR」のスタッフは「グリーンケアコミッティ」という組織で自主的に環境活動を行っており、アラカベサン島周辺道路や橋、周辺海域に流れ着いたペットボトルなどの漂流物の清掃などの自主的な地域清掃活動を定期的に実施しています。リーダーを中心にメンバーが話し合って年間活動計画を立て、敷地内に留まらず周辺地域清掃などの活動も積極的に行っています。

リゾートホテルの屋外エリアで撮影されたホテルスタッフの集合写真。砂浜とヤシの木を背景に、多くのスタッフが整列して並び、リゾート施設の建物やプールが背後に見える。チームワークとおもてなしの雰囲気を伝える場面。
ホテルスタッフ
グリーンケアコミッティの活動後に撮影された集合写真。道路脇で多くの参加者が並び、手袋を着用して回収したごみ袋を手にしている。背後には緑の茂みが広がり、環境保全や清掃活動に取り組む様子を示している。
グリーンケアコミッティ

陸域での土地利用によるインパクトの定量評価(手法)

事業を通じた自然へのインパクトとして、開発前後の敷地の森林面積割合の変化を(株)シンク・ネイチャーの協力のもと定量的に分析するとともに、開発前の航空写真や植生調査結果から、定性的に土地利用の変遷を確認しました。

方法:「PPR」の敷地を、利用可能な航空写真・衛星画像がある1976年、2009年、2023年を対象に分析。
画像から機械学習を行い、樹林、草地、その他(人工物など)を区分し、森林・草地面積を評価。

航空写真・衛星画像による分析の結果、開発前には天然林が失われ草地が多い状況であったものが、「PPR」の整備に伴って建物敷地以外の土地が保護されたことで、熱帯雨林に遷移した(以下、遷移した熱帯雨林を含め「天然林」と言います。)ことが分かりました。現在は敷地の大部分が天然林となり、森林・海洋の生物多様性の豊かさや土砂流出防止・水源涵養に貢献していると考えられます。

1976年、2009年、2023年の3時点での敷地内の森林と草地の分布を比較した図。緑は森林、黄色は草地を示す。1976年は草地が多く、戦前・戦中の軍事施設や耕作地として利用されていた土地が含まれている。1984年のPPR開業後、2009年には敷地内の多くがジャングル状の天然林へと遷移し、建物周辺にも植栽が進められた。2023年には敷地内の大部分が森林に覆われ、2009年以降は森林面積割合がほぼ維持されている。天然林は海への土砂流出防止や水源涵養に寄与し、森林はトレッキングコースとしても活用されている。

出典:(株)シンク・ネイチャー

陸域での土地利用によるインパクトの定量評価(結果)

前項の分析結果を定量的に集計すると、開発に伴い建物用地が増えたものの、これを大きく上回る規模の森林が再生され、現在も維持されていることが分かりました。開業前後で比較すると、森林面積割合は約1.4倍に増加しています。「自然との調和」を方針とした開発・運営が天然林の保全・再生に寄与し、生物の生息地が確保されるとともに、生態系サービスとしての恩恵も生み出しています。

敷地内の森林面積の変化

敷地内の森林面積の変化を示す積み上げ棒グラフ。横軸は1976年と2023年、縦軸は面積(千平方メートル)。区分は森林、草地、その他。1976年と比べて2023年では森林面積が増加し、約1.4倍に拡大していることを矢印と注記で示している。草地は減少し、その他の面積は大きく変化していない。

1984年 開業前後での比較

  • 草地は天然林へ移り変わり減少していますが、1979年の植生調査結果から、当時の草地は森が伐り開かれた耕作地に由来する草地であり、在来の植生が遷移して熱帯雨林として再生されたと考えられます。
  • リゾートの整備に伴い建物用地等が増加しましたが、軍事施設跡地を利用しているため、もとの自然の改変を極力抑えた開発がなされています。施設エリア周辺にも多量の緑が確保され、自然と調和した景観が形成されています。
天然林の内部の様子。大小さまざまな樹木が立ち並び、林床には落ち葉や下草が広がっている。木々の間から木漏れ日が差し込み、自然のままの豊かな森林環境が保たれていることが分かる。
天然林の様子
海と緑に囲まれたリゾート敷地内の空撮景観。透き通った青い海に沿って桟橋や水上施設が伸び、背後には豊かな森林の中に低層の建物が点在している。自然環境と一体となったリゾート空間を示している。
自然と調和した敷地内

出典:(株)シンク・ネイチャー

海洋における自然へのインパクトの定量評価<サンゴ>

パラオは世界有数の豊かなサンゴ礁を有しており、パラオにはサンゴ礁を求めて訪れる人々も多いため、観光資源としての価値も有しています。サンゴ礁は豊かな生態系を形成する「オアシス」となる意味で生物多様性上重要性が高いこと、そして「PPR」の事業が依存している自然資源としての重要性も高いことから、(株)シンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータを用いて、サンゴ礁に関する定量評価を行いました。

サンゴ礁の種数の評価

サンゴの種数を分析した結果、パラオに分布するイシサンゴ目の種数は350種(解析対象722種中)以上にも及び、海洋島の中でも多いこと、サンゴ礁の豊かな他のリゾートと比較しても、パラオの種数は豊かであることが分かりました。

世界の海洋リゾートにおけるサンゴ種数

世界の海洋リゾートにおけるサンゴ種数を比較した棒グラフ。縦軸はサンゴの種数、横軸は各海洋リゾート名を示す。パラオは最も左に配置され、約350種以上と他地域より突出して多いサンゴ種数を示している。グレートバリアリーフやモルディブなどの主要リゾートと比較しても、パラオの生物多様性の高さが際立っている。
世界各地の海洋リゾート周辺におけるサンゴ礁の種数分布を示した評価図。上段は世界地図上にタヒチ、コモロ、モルディブ、バリ島、セブ、ケアンズ、ニューカレドニア、パラオの位置を示し、色の濃淡でサンゴ種数を表している。下段には各地域の拡大図が配置され、パラオは高い種数を示す色が広く分布しており、世界的に見てもサンゴ礁の生物多様性が非常に高い海域であることが分かる。

出典:(株)シンク・ネイチャー

サンゴの被度に関する評価

また、サンゴの被度のデータを既存の様々な文献から集約し、可視化しました。
パラオではサンゴ被度が60%を超える海域があり、世界の上位1%にあたること、サンゴ礁の豊かな他のリゾートと比較してもサンゴ被度が高いことが分かりました。特に、「PPR」が面している南西側の海域は、パラオの中でもサンゴ被度が高い地域です。

世界の海洋リゾートにおけるサンゴ被度

世界の海洋リゾートにおけるサンゴ被度を比較した棒グラフ。縦軸はサンゴ被度(%)、横軸は各リゾート地を示す。パラオは約60%と高いサンゴ被度を示し、世界の主要な海洋リゾートの中でも上位に位置していることが分かる。他の地域はおおむね50%未満から10%程度まで幅がある。

サンゴ被度

サンゴの被度とは、海底の面積に対して、生きたサンゴが覆っている面積の割合を示したものです。
サンゴ礁の豊かさや健康状態を把握するための、最も基本的な指標です。

世界各地の海洋リゾート周辺におけるサンゴ被度を表した地図。上段は世界地図上に、モルディブ、バリ島、沖縄、ケアンズ、ニューカレドニア、マーシャル諸島、パラオなどの位置を示し、色付きの点でサンゴ被度を表している。下段には各地域の拡大図が配置され、右側ではパラオが強調表示されている。色は被度(%)を示し、暖色ほど被度が高いことを表す。パラオでは高い被度の地点が多く分布していることが分かる。

出典:(株)シンク・ネイチャー

事業を通じた自然へのインパクトの一つとして、サンゴ被度の推移を(株)シンク・ネイチャーの協力のもと、定量的に評価するとともに、海洋保護区での現地モニタリング結果も確認しました。

対象
前面の海洋保護区(アラカベサン海洋保護区)およびロックアイランド周辺海域
方法
  • (株)シンク・ネイチャーの定量評価:1994年以降の衛星画像や、現地調査データを基に、機械学習によりサンゴ被度の変動を推定。
  • アラカベサン海洋保護区でのモニタリング調査結果から、サンゴの状態を確認

参考:世界のサンゴ礁の状況

サンゴ礁は、気候変動や海洋酸性化などの環境変化や、農業由来の栄養塩・堆積物の流入などの陸上汚染、海洋汚染、乱獲や破壊的な漁業慣行など人為的な脅威に対して脆弱な生態系であり、地球規模で減少の危機にさらされていると言われています。UNEP(国連環境計画)等のレポートによれば、2009年から2018年の間に、世界のサンゴ礁では約14%のサンゴが失われたとされ、大規模白化や、沿岸の乱開発、汚染、台風などが主な原因とされています。

生きたサンゴの世界平均被度の推移
(青線:サンゴの被度、黒線:海面水温偏差、赤帯:水温偏差が急激に上昇した期間)

生きたサンゴの世界平均被度の推移を示す折れ線と帯グラフ。横軸は1975年から2020年、縦軸はサンゴの平均被度(%)。これらの期間にサンゴ被度が低下する傾向が確認できる。

出典) ICRI, GCRMN, Australia Institute of Marine Science, UNEP“Status of Coral Reefs of the World 2020”

  • サンゴ被度は世界の300以上の機関から提供されたデータを基に推計されたもの。青線が全球平均の推定サンゴ被度を表しており、80%(濃い青)・95%(薄い青)の信頼区間が示されている。
  • 海面水温偏差:海面水温の平年値からの差。赤色の帯は海面水温偏差が急激に増加した期間を表している。

サンゴ被度の推移の分析結果は下図のとおりです。「PPR」では、開発当初から、海浜整備やサンゴ移植、前面海域の海洋保護区指定などの取り組みを実施してきました。その結果、2012年ごろまではサンゴ被度は安定的に増加してきたと評価されましたが、サンゴ被度は様々な要因により変動しやすい指標であり、世界的な海水温上昇、2013年の台風ハイエンの接近、極端な潮位の低下、サンゴを食べる生物による食害など、世界的な潮流と同様に、外部要因によりやや減少傾向にあることも分かっています。
現在でもサンゴ被度は世界の中で高い水準にありますが、事業を支える資源としても重要なサンゴの豊かさを回復させるため、大規模なサンゴ礁復元プロジェクトを開始しています。
前面のアラカベサン海洋保護区におけるモニタリング調査では、サンゴの新個体の定着(幼生加入)が増加しているとの結果が出ており、これらの幼生が成長することで、今後さらにサンゴの被度が回復する可能性が示唆されました。

サンゴ被度およびサンゴ幼生加入の密度の変化

サンゴ被度とサンゴ幼生加入密度の変化を示す複合グラフ。横軸は1994年から2024年、左縦軸はサンゴ被度(%)、右縦軸はサンゴ幼生加入密度(個体/立方メートル)。緑の折れ線はPPRのサンゴ被度、灰色の折れ線は世界平均を示す。PPRでは2000年代以降にサンゴ被度が増加傾向を示し、世界平均を上回って推移している。棒グラフはサンゴ幼生加入密度を示し、2015年以降に新個体の定着が回復傾向にあることが示されている。図中には1984年のPPR開業とサンゴ移植、2002年の海洋保護区指定と啓発活動などの取り組みが注記されている。

【出典】 ロックアイランドおよびPPRの被度推移:(株)シンク・ネイチャー
世界平均の被度:ICRI, GCRMN, Australia Institute of Marine Science, UNEP “Status of Coral Reefs of the World 2020”より作成
サンゴの幼生加入密度:PICRC(2025)9)

  • サンゴの新しい個体が定着することを幼生加入と言います

前項のとおりサンゴ礁の被度が世界的に減少している傾向にありますが、生物多様性にとっても、「PPR」の事業にとっても重要なサンゴ礁を保全・回復するため、パートナーと連携しながら、様々な取り組みを進めています。

これまでの
取り組み

開発時の海浜整備・サンゴ移植

前面の海域は、陸から泥土が流出しサンゴの生育に相応しくない状態でしたが、サンゴの移植を含む大掛かりな海浜改修を実施し、環境改善に努めた結果、前面海域で、サンゴの再生に成功しました。

人の活動によるかく乱を防ぐための啓蒙・周知活動

サンゴの踏みつけなどの物理的な損傷を軽減するため、看板の設置や、注意喚起を行っています。また、基本的なサンゴ礁の生態や保全の重要性をゲストに伝えるシナリオの作成や、シュノーケリング講習などの安全対策を満たしたゲスト向けに、インストラクターがサンゴ礁を体験・観察する機会を提供するなどの環境教育を実施しています。

新たな
取り組み

アジア開発銀行(ADB)との連携によるサンゴ礁復元プロジェクト

2025年にADBとのパートナーシップにより、サンゴ礁回復イニシアチブを開始しました。本プロジェクトでは、前面海域のサンゴ被度の回復と個体数増加を目指し、生態系回復力及び生物多様性の強化を進めています。サンゴの成長促進と耐熱性サンゴの増殖を推進するため、電気刺激技術(ミネラル付加技術)を活用したサンゴナーサリー(養殖場)の設置を行っています。
また、サンゴの捕食者となるオニヒトデなどの生物の管理、復元効果を判断するためのモニタリング、取り組みを継続していくためのキャパシティビルディングなども実施しています。「PPR」はプロジェクト実施に積極的に関与し、現地のサンゴナーサリー設置・管理への協力や、新設される「ルーク ネイチャーセンター」を通じた地域住民・ゲストへの教育・啓発活動にも取り組みます。

海浜改修後のビーチを上空から捉えた景観。白い砂浜にビーチパラソルやデッキチェアが整然と並び、背後にはヤシの木とリゾート施設、さらに豊かな森林が広がっている。透き通った青緑色の海と調和した、整備後の海岸環境を示している。
改修後のビーチ
ホテル敷地内に設置された自然保護に関する注意喚起の看板。『ここは保護区です』と記され、貝を採らない、釣りをしない、サンゴや岩の上に立たないといった禁止事項が、イラストとともに日本語と英語で示されている。海洋環境保全への協力をゲストに呼びかけている。
ホテルゲストへの注意喚起
海中に設置されたサンゴナーサリー(養殖場)の様子。ダイバーが水中で格子状のフレームに固定されたサンゴの苗を点検・管理している。サンゴ礁の再生と保全を目的とした育成作業を示している。
サンゴナーサリー(養殖場)

海洋における自然へのインパクトの定量評価<シャコガイ>

シャコガイはサンゴ礁に生息する海洋生物です。シャコガイとサンゴは共に、体内に褐虫藻という光合成を行う藻類を共生させていることから、シャコガイとサンゴには密接な関係があります。
「PPR」では、1998年から、絶滅危惧種であるオオシャコガイの稚貝放流を行っています。前面の海洋保護区におけるモニタリング評価によれば、オオシャコガイを含む大型無脊椎動物の個体数は増加しており、保護・再生の取り組みが増加に効果的に働いていると考えられています。

大型無脊椎動物の個体数密度の変化

サンゴ被度およびサンゴ幼生加入の密度の変化を示す棒グラフ。横軸は2015年、2016年、2019年、2024年、縦軸は60平方メートルあたりの大型無脊椎動物の数(個)。2016年に一時的な減少が見られるが、その後は増加傾向となり、2024年には最も多い値となっている。矢印と注記により、個体数が増加していることが強調されている。

出典)PICRC(2025)9)

オオシャコガイの移植・放流の取り組み

1998年から絶滅危惧種であるオオシャコガイの稚貝を
ゲストと共に放流する取り組みを実施
(ある程度の大きさに成長した個体を放流)

浅瀬の海でオオシャコガイの稚貝を放流する様子。カヤックに積まれた稚貝を手に、参加者が海中へ放流しており、背後には穏やかな海が広がっている。海洋生態系の回復を目的とした保全活動を示している。
オオシャコガイの稚貝の放流
海中でオオシャコガイの放流を行っている様子。シュノーケリングをした作業者が砂地の海底にシャコガイを設置しており、周囲にはサンゴが点在している。海洋生態系の保全や回復を目的とした取り組みを示している。
オオシャコガイ放流
海底に生息するオオシャコガイの様子。大きく開いた殻の周囲にサンゴや海洋生物が付着し、浅瀬の砂地に根付いた姿が見られる。海洋生態系を支える大型貝類の一例を示している。
オオシャコガイ

大型無脊椎動物とは、脊椎の無い動物のうち大型のものを指します。

海洋における自然へのインパクトの定量評価<ジュゴン>

ジュゴンは世界的な絶滅危惧種ですが、パラオにはミクロネシア唯一かつ独立した個体群が存在します。ジュゴンの生息地となる「海草藻場」は他の海洋生物にとっても重要性の高い環境です。したがって、ジュゴンは沿岸環境の健全性・生物多様性の指標となる生物種であることから、ジュゴンの生息適地適正度(ジュゴンの生息に適した度合い)を評価しました。

方法
ジュゴンの分布情報と、環境データ(水深など)および衛星データから、ジュゴンの生息適地海域を特定し、「PPR」周辺海域の適性度を算出しました。

パラオにおけるジュゴン

ジュゴンは亜熱帯~熱帯の沿岸海域に生息し、ほぼすべての生息域で絶滅危惧種とされる象徴種です。
パラオにはミクロネシア唯一かつ孤立した個体群が存在しています。

ジュゴンの生息地分布を示した世界地図。青色で示された海域が主な生息域で、インド洋から東南アジア、西太平洋にかけて分布している。各地域ごとに推定個体数や絶滅危惧の状況が注記され、日本や中国、東南アジアの一部では個体数が少なく、パラオ周辺では約50から200頭程度が生息していることが示されている。
ジュゴンの生息地分布

出典:(株)シンク・ネイチャー

ジュゴンと海草藻場

ジュゴンは完全な草食動物であり、餌のほぼ100%を海草に依存しているため、海草藻場が唯一の食料源です。海草が茂る「海草藻場」があることが、ジュゴンの生息の絶対条件となっています。
海草藻場は、浅い海の底に海草が草原のように群生している場所のことです。海草藻場はジュゴンをはじめとする多様な海洋生物の豊かな食物や棲み家となっており、多くの生き物の生存を左右する重要な環境です。

海中をゆったりと泳ぐジュゴンの姿。流線形の大きな体と丸みのある尾びれが特徴で、穏やかな海の中を単独で移動している様子が見える。海草を主な餌とする希少な海洋哺乳類を示している。
ジュゴン*10
浅瀬の海中に広がる海草藻場の様子。岩や砂地の間に密生した海草の中を魚が泳いでおり、多様な海洋生物の生息場所となっていることが分かる。
海草藻場
  1. 10:画像出典を参照ください。

ジュゴンの生息適地適正度を評価した結果、パラオの南東で適正度が高く、「PPR」付近もパラオ国内でトップレベルに適正度が高く、安定していることが分かりました。ジュゴンの生息適地はジュゴンだけではなく、藻場に生息する魚類・甲殻類など様々な海洋生物の生息場であることから、前面の海域では豊かな海洋生態系が成り立っていることが示唆されます。

【図1】
2024年のジュゴンの生息適地適性度比較

2024年時点のジュゴンの生息適地適性度を示した地図。左は広域の沿岸海域を示し、右は対象海域を拡大表示している。色は生息適性度を表し、青は低く、緑から黄色、赤へと進むにつれて適性度が高いことを示す。陸地と海域の位置関係が示され、沿岸部に高い適性度の海草藻場が分布している様子が分かる。

【図2】
「PPR」前面海域のジュゴンの生息適地適性度の時系列推移

PPR前面海域におけるジュゴンの生息適地適性度の時系列推移を示す折れ線グラフ。横軸は1994年から2024年、縦軸は生息適地適性度(0から1)。緑の太線はPPR前面海域の平均的な適性度を示し、灰色の細線はパラオ内の各地点の推移を表している。PPR前面海域では長期的に0.6前後の比較的高い適性度が維持されており、周辺海域と比べて安定したジュゴンの生息環境が示されている。
  • 「PPR」はパラオ国内でもジュゴンの生息適地適正度が高い場所にある【図1】。
  • 「PPR」におけるジュゴンの生息適地適正度は、PPRがあるコロール州以外の他州と比較しても高い水準で、安定的に推移している【図2】。

文献調査の結果、パラオでは、他地域でのジュゴンの減少要因である漁業による偶発的な捕獲や、海草藻場の減少、都市化による水質悪化などが防がれていることも分かっています。
これらの結果を踏まえると、「PPR」を含むリゾート事業がパラオの経済発展に寄与し、パラオが観光立国化したことによって、パラオの政府や人々が経済の基盤となる自然を保全していることが、ジュゴンが生息できるほどの豊かな海洋環境の維持につながっていると考えられます。

出典:(株)シンク・ネイチャー

自然へのインパクトの定量評価(陸域と海洋のつながり)

陸域・海洋の自然の状態を定性・定量的に分析した結果、「PPR」の事業は陸域・海洋の自然・生態系に対しポジティブなインパクトを与えていることが分かりました。陸の自然・生態系の保全は「陸と海のつながり(エコトーン)」を通じて、海をさらに豊かにすることにもつながっています。

山から海へと連続する生態系のつながりを示した概念図。右側の森林で雨水が涵養され、栄養分やミネラルが土壌を通じて川や地下水として海へ流れ込む様子を描いている。森、ビーチとガーデン、海草と砂、サンゴ礁、ラグーンが連なり、根を張る植物や微生物、魚類、海鳥などが相互に関わりながら健全な物質循環を形成していることを示す。天然林の再生による適度な栄養分供給と、陸と海の生物の往来による生態系の維持が強調されている。

<海洋保全>

  • 海浜改修
  • サンゴの移植
  • 海洋保護区指定の働きかけ
  • 啓蒙活動

など

世界でもトップレベルに豊かな
陸・海洋の生物多様性

<森林保全>

  • 樹木の保存
  • 徹底的な環境調査に基づく自然と調和した開発
  • 天然林の再生、回復

など

自然とステークホルダーとの密接な繋がり

「PPR」の事業と自然とのつながりを定性・定量的に分析した結果、開発時からのコンセプトを現在でも受け継ぎ、自然と地域社会を大切にしながらリゾート事業を40年以上継続してきたことにより、長期にわたり、事業を通じてネイチャーポジティブに貢献していることが評価されました。

陸と海の自然生態系を一体的に保全・再生し、リゾート事業として持続的な価値を提供する関係性を示した概念図。左には陸域の自然生態系と海洋の自然生態系の重なりが描かれ、保全と再生を通じて陸と海のつながりを形成することを示す。中央には『40年以上の継続』とリピート利用を通じたお客様との関係が示される。右側にはパラオの地元住民や伝統文化を活かした価値提供、雇用創出と経済貢献、伝統文化の継承が写真とともに示されている。下部には『PPR リゾート事業』として、自然保護と開発の両立、地元に貢献し受け入れられる事業であることが示されている。

海洋のホテル・レジャー事業での重要なリスク・機会(移行リスク・機会)

「PPR」を中心とした海洋におけるホテル・レジャー事業において想定される自然関連のリスク・機会を検討した結果、重要と考えられるリスク・機会は以下のとおりです。依存している生態系サービスの劣化による、リゾート・観光地としての魅力の低下などの物理的リスクや、規制、市場環境の変化による移行リスクなどのリスクが想定される一方で、多くの自然関連機会も生じうることが分かりました。

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分類 主な依存・インパクト リスク・機会の内容
移行 リスク 政策・
法規制
その他資源の利用、廃棄物
  • プラスチックやフードロスなど、廃棄物・資源循環に関する規制強化による、廃棄物削減やリユース・リサイクルにかかるコストの増加
技術 CO₂排出、水資源利用
  • エネルギーや水資源の利用効率を高める技術などの新たな設備、技術の導入によるコスト増加
市場 資源利用
  • ホテルやレストランでのサステナブルな認証品、持続可能に生産された食品(農産物、畜産物、水産物)やアメニティ等の利用の要求が高まることによる調達コストの増加
  • 認証品やサステナブルな代替品(バイオマスプラスチックなど)の需要が増加することによる価格高騰
評判 インパクト全般
  • 施設の運営を通じて周辺環境にネガティブなインパクトを与えてしまった場合の評判の悪化
機会 資源効率

土地改変・占有、汚染、資源利用、廃棄物排出などネガティブインパクトの低減

自然や生物多様性へのポジティブインパクト

  • 再生可能エネルギーの活用によるコスト削減
資本
  • 将来的な生物多様性クレジット創出の可能性
商品・
サービス
  • 地域ならではの自然の魅力を活かした事業活動による業績の向上
    (パラオの観光地としての魅力の向上、観光客の増加など)
評判
  • サンゴの保全など、海の自然や生態系の保全・再生によるネイチャーポジティブに貢献する施設やサービスへのニーズ増加
  • 事業活動による地域コミュニティへの経済的・社会的な貢献に対する評判やコミュニティとの関係性の向上
自然の
保護・
回復・
再生
  • 自然と調和した開発・事業運営を通じた、生態系サービスの向上への貢献
  • 施設での様々な体験を通じた、施設利用者の自然・環境に対する意識の啓発による、間接的な自然へのポジティブインパクト

海洋のホテル・レジャー事業における重要なリスク・機会(物理リスク)

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分類 主な依存・インパクト リスクの内容
物理 リスク 急性・
慢性
水資源への依存
  • 気候変動や、水源地となっている森林の水の涵養能力の低下などによる、水資源の不足
水資源の供給、花粉媒介や気候調整への依存
  • 水不足、天候不良や異常気象、災害の発生による、ホテルやレストランの食材の不足や質の低下、価格の高騰
  • 海洋・河川の生態系が劣化し、漁獲量が減少することに伴う、魚介類の不足・価格高騰
土壌堆積物保持、暴風雨緩和、気候調整への依存
  • 気候変動の進行による台風の増加や、海水面の上昇による、施設、滞在者や利用者の被災の増加
  • 森林が劣化した場合の土砂災害・水害リスクの増加
気候調整、生息地の個体数や生息環境の維持、文化的サービスへの依存
  • 気候変動に伴う気温や海水温上昇による、サンゴ礁などの自然景観や観光価値の高い固有・希少な生物・生態系の喪失による、リゾート地としての魅力の低下
  • 気候変動および人為的な影響による、海洋生物や鳥、植物などの生物多様性の減少や、それに伴う自然を生かしたアクティビティ(ダイビングやスノーケリングなど)の魅力の低下
東急不動産ホールディングス(株)

リスク・インパクト管理

リスク・インパクト管理

気候・自然関連課題の特定・評価プロセス

気候関連リスク・機会の特定・評価プロセス

  • 長期ビジョンにおけるテーマ(マテリアリティ)の1つに「サステナブルな環境をつくる」を掲げ、環境経営を全社方針に位置づけ、バリューチェーン全体における各マテリアリティの事業機会とリスクを整理しました。

    社会課題の把握と
    統合・集約

    ステークホルダーの
    期待の確認

    優先順位の高い
    経営課題の抽出

    マテリアリティと
    機会・リスクの特定

  • さらに、不動産事業を中核とする当社グループに気候変動とその対策が影響を与える重要な課題を認識し、中長期のリスクと機会を特定・評価するために、当社グループの4セグメント(都市開発/戦略投資/管理運営/不動産流通)を対象にシナリオ分析を実施し、事業戦略に反映しています。
  • 分析は、国際エネルギー機関(IEA)及び気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオを参考に、1.5°C/3°C/4°C の3ケースで行いました。

自然関連の依存・インパクト・リスク・機会の特定・評価プロセス

  • 依存・インパクトは、全社の事業・バリューチェーン別の依存・インパクトの概観・定性的な重要性を整理したうえで広域渋谷圏における都市開発事業、「東急リゾートタウン蓼科」および「パラオ パシフィック リゾート」を含むホテル・レジャー事業において、地域固有の情報に基づく定性・定量的な依存・インパクトの評価を行いました。
  • 依存・インパクトおよび、生物多様性国家戦略などの外部環境の情報を踏まえ、広域渋谷圏を中心とした都市開発事業、「東急リゾートタウン蓼科」および「パラオ パシフィック リゾート」を含むホテル・レジャー事業における自然関連リスク・機会を特定しました。さらに、気候変動と同様にシナリオ分析を実施し、4セグメントにおける重要な自然関連リスク・機会の評価を行いました。

依存・インパクトの分析

  • 全事業・バリューチェーンにおける依存・インパクトの概観の把握
  • 「広域渋谷圏」、「東急リゾートタウン蓼科」「パラオ パシフィック リゾート」における依存・インパクトの詳細な評価

外部環境に関する情報の収集

  • 政策の方向性などの外部環境の情報収集

リスク・機会の特定

  • 依存・インパクトを踏まえたリスク・機会の特定
  • シナリオ分析に基づき、重要性が高いリスク・機会の評価

気候・自然関連課題の管理プロセス

依存・インパクト・リスク・機会の管理プロセス

  • 代表取締役社長直轄の「サステナビリティ委員会」を設置し、気候関連課題および自然関連課題などの重要課題について計画立案・実績確認を行い、取締役会にその結果を報告しています。
  • 「サステナビリティ委員会」の事務局であるグループサステナビリティ推進部や各事業部門は、気候関連課題および自然・生物多様性関連課題についての目標設定、実績の管理、情報共有を行うことで、関連法規に基づき適正な報告を行うとともに、事業活動を通じてGHG排出量や廃棄物排出量、自然や生物多様性へのネガティブインパクトの低減、ポジティブインパクトの拡大に取り組んでいます。
  • 2020年1月に「サステナブル調達方針」を策定し、バリューチェーンにおいても、上流・下流のステークホルダーとの協働により、気候変動や、自然関連のネガティブインパクトの低減に取り組んでいます。

気候・自然関連リスクの全社的リスク管理への統合

  • 当社は、経営に重大な影響を及ぼすリスクを特に《重要リスク》として、管理を行っています。

    重要リスク

    1. ①投資リスク
    2. ②財務資本リスク
    3. ③人事労務リスク
    4. ④法務コンプライアンスリスク
    5. ⑤IT戦略リスク・デジタル戦略リスク
    6. ⑥情報セキュリティリスク
    7. ⑦危機管理対応
    8. ⑧気候変動リスク
  • 自然・生物多様性関連課題を含むESGリスクについても、一体的に管理しています。

    ESGリスクの例

    気候変動・生物多様性保全・環境汚染・廃棄物の削減と適切な処理・資源利用・水資源保全・人権保護・児童労働防止・地域や社会への貢献・従業員の健康と安全・従業員の人権・汚職、贈収賄・コーポレートガバナンス等

東急不動産ホールディングス(株)

測定指標・ターゲット

測定指標・ターゲット

気候変動に関するターゲット

コミットメント・目標

  • 当社グループは、2050年にネットゼロエミッションを実現するGHG排出量削減の長期目標を設定し(SBTネットゼロ認定を取得)、事業を通じて脱炭素社会に向けた活動を推進しています。
  • また、上記に向けたマイルストーンとして、2019年度を基準とした2030年度におけるScope1・2(自社)及びScope3(サプライチェーン(削減目標対象:カテゴリ1・2・11))のCO₂排出量を46.2%削減することを目標として設定し(SBT(1.5°C水準)認定取得) 、CO₂排出量の実績を管理しています。
  • 更に、中期経営計画において2023年度におけるScope1・2のCO₂排出量を50%削減することを目標としていましたが、 2022年度に50.7%削減し目標を前倒しで達成し、2025年度には、新たな目標として80%削減を掲げています。
    • なお、排出量実績値については、環境認証機関による第三者保証を受けています。

目標に対する排出量実績

目標に対する温室効果ガス排出量の実績を示した積み上げ棒グラフ。横軸は2019年から2030年、縦軸は排出量(千トンCO₂)。濃緑はScope1・2、黄緑はScope3を示す。2019年を基準年として、Scope1・2は2022年以降に大幅に削減され、2023年には前倒しで目標を達成している。2030年目標として、Scope1・2は80%削減、全体ではSBT認定目標および当社目標として46.2%削減が示されている。

★ :「用語と解説」参照

気候・自然関連の測定指標・ターゲット

そのほか、気候・自然関連で、当社グループでは以下の測定指標・ターゲットを設定しています。

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指標 2030年度
目標
2025年度
目標
2021年度
実績
2022年度
実績
2023年度
実績
2024年度
実績
財務指標 ROE 10%以上 9% 5.7% 7.3% 9.6% 9.9%
ROA 5%以上 4% 3.2% 4.1% 4.2% 4.5%
D/Eレシオ 1.8倍以下 2.2倍以下 2.3倍 2.2倍 2.1倍 2.1倍
営業利益 2,200億円以上 1,200億円 838億円 1,104億円 1,202億円 1,408億円
当期純利益 1,200億円以上 650億円 351億円 482億円 685億円 776億円
環境指標 全般 環境認証取得※1 100% 70% 35% 48.7% 65.0% 70.3%
事業を通じた環境への取り組み
(累計)
150件以上 50件以上 22件 36件 70件 105件
気候変動 RE100達成(東急不動産(株)) 達成 達成 切替完了 達成 達成
再エネ電力利用比率 60%以上 65% 4.0% 52.9% 84.1% 89.3%
CO₂排出量
目標は2019年度比、総量
Scope1,2
(千t-CO₂)
56.7
(▲80%)

2023年(▲50%)
257.0
(▲9.3%)
139.8
(▲50.7%)
84.1
(▲70.3%)
64.1
(▲77.4%)
Scope3 1,801.7 1,739.0 1,645.3 1,332.2
  うちカテゴリ
1・2・11
964.4
(▲46.2%)
1,700.9
(▲5.1%)
1,626.3
(▲9.3%)
1,578.3
(▲11.9%)
1,254.9
(▲30.0%)
自然 森林保全に関する目標 3,000ha 2,400ha 2,031ha 2,086ha 2,145ha 2,304ha
土地利用に関する目標:建物緑化(屋上・壁面など※2 100% 100% 100% 100% 100% 100%
  1. ※1非住宅の大型保有物件(延長面積10,000m²以上)を対象。共同事業など一部除く
  2. ※2東急不動産(株)のオフィスビル・商業施設の新築大型物件

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指標 2030年度
目標
2025年度
目標
2021年度
実績
2022年度
実績
2023年度
実績
2024年度
実績
環境指標 水使用量(m³) 4,866,901 5,101,092 5,386,895 4,624,499
原単位(m³/m²)
(対前年度比)
(対2023年度比)
1.7

▲7%


(ー)
1.4
(+7.3%)
(ー)
1.7
(+19.0%)
(ー)
1.8
(+9.1%)
(ー)
1.6
(▲12.7%)
(ー)
汚染/
汚染除去
廃水排出
(TNFDの中核指標C2.1)
総排水量(m³) 5,004,959 5,195,749 5,486,100 4,758,939
地表水への総排出量(m³) 929,748 1,012,969 1,108,319 1,026,144
下水道への総排出量(m³) 4,075,211 4,182,780 4,377,781 3,732,795
対象施設延床面積(m³) 3,444,317 3,034,240 2,936,936 2,896,819
廃棄物の
発生・処理
(C2.2)
総排出量(t) 27,827 21,181 21,120 21,269
非リサイクル廃棄物排出量(t) 10,947 13,713 12,553 13,837
有害廃棄物排出量(t) 86 1,040 4 5
リサイクル廃棄物排出量(t) 16,880 7,467 8,535 7,432
対象施設延床面積(m²) 3,289,418 2,853,448 2,642,814 2,517,229
原単位(kg/m²)
(対2019年度比)
(対2023年度比)
7.4

▲7%

(ー)
8.5
(▲11.7%)
(ー)
7.4
(▲22.5%)
(ー)
8.0
(▲16.6%)
(ー)
8.4
(▲11.8%)
(ー)
GHG以外の大気汚染物質
(C2.4)
NOx(t) 0.229 0.135 0.135 0.208
SOx(t) 0.007 0.007 0.009
資源使用
・補充
高リスク天然一次産品の調達(C3.1) 木材調達量(m³) 9,946 7,757 11,062
サステナブル調達(型枠木材) 100% 30% 0% 2.8% 9.7% 23.3%

ノースポートモール(横浜市)における年間排出量

  • より詳細なデータはESGデータをご参照ください。
東急不動産ホールディングス(株)

脱炭素社会への移行計画

脱炭素社会への移行計画

フレームワークに沿った移行計画の策定

  • 当社グループは、すべての事業を通じた環境負荷軽減を目指し、「脱炭素社会」の目標として、2050年ネットゼロエミッションを掲げています。また、国際的なキャンペーンである「Business Ambition for 1.5°C」「Race To Zero」にも参加し、取り組みを進めています。2024年度には、SBTネットゼロ認定を取得しました。
  • マイルストーンとして、中期経営計画の最終年度に当たる2030年度には、2019年度比で自社のScope1・2のCO₂排出量を80%、Scope3※1のCO₂排出量を46.2%削減することを目標として設定しました。(SBT認定取得済み)。

★ :「用語と解説」参照

自社およびサプライチェーンの温室効果ガス排出削減目標を示すグラフ。単位は千t-CO₂。Scope3(カテゴリー1・2・11)は2019年度の1,793から2025年に1,255、2030年度に964へ削減し、2030年度は2019年度比46.2%削減のSBT認定目標。Scope1・2は2019年度の283から2025年に64、2030年度に57へ削減し、2030年度は2019年度比80%削減。削減貢献量は2025年に自社排出量の3倍、2030年度に10倍を目指し、2050年のネットゼロエミッション達成につなげる。

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移行計画の要素 開示内容
ガバナンス体制
  • 移行計画に関する取締役会や委員会の役割、マネジメント体制
  • 報酬・インセンティブ
  • スキル・能力・トレーニング
ロードマップ・施策
  • 脱炭素社会に向けたロードマップ、施策、資金調達方針
リスク・機会
  • シナリオ分析、リスク・機会
指標・目標
  • 気候関連の指標・目標
ステークホルダーエンゲージメント
  • 移行計画に関するステークホルダーエンゲージメント
  • 長期ビジョン「GROUP VISION 2030」では、事業成長を前提としたこれらの目標達成を目指しています。ただし、この達成には、自社だけでなくサプライチェーンとの協働や、技術の発展などが欠かせません。また想定を超える気候変動の激化や規制強化がなされる可能性もあります。これらの動向を定期的にフォローしながら、適宜計画を見直していきます。
  • また2050年ネットゼロエミッションの達成に向けた、より長期の計画は、技術発展や業界動向などの情報収集を進めながら、今後更に取り組みを推進していく予定です。
  1. ※1対象カテゴリは1・2・11(Scope3におけるCO₂排出量は当該3カテゴリで9割以上を占める)

脱炭素社会実現に向けたロードマップ

  • 当社グループは、2050年ネットゼロエミッションを目指し、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」を策定しました。既に、中核会社である東急不動産の事業所および保有施設の使用電力の100%再エネ化、新築ビルの原則ZEB水準化、分譲マンション「BRANZ」のZEH標準仕様化などによりCO₂排出量を削減しています。
  • 今後も事業を通じたCO₂排出量の削減を進め、脱炭素を事業機会ととらえ、自社成長を通じて更なる環境負荷低減を目指します。
2019~2050年の営業利益、当期純利益、CO2排出量の推移と計画を示すグラフ。営業利益は2019年793億円から2025年1,669億円へ増加し、2026年計画1,900億円、2030年目標2,200億円以上。当期純利益は2019年386億円から2025年967億円へ増加し、2026年計画1,000億円、2030年目標1,200億円以上。CO2排出量は2019年2,076千t-CO2から減少傾向で、2050年に実質ゼロを目指す。2025~2030年度の総投資予定額は38,000億円。

脱炭素社会実現に向けた取り組みの全体像

  • 脱炭素社会の実現に向け、当社グループでは以下のような取り組みを推進していきます。
脱炭素に向けた短・中期および中長期の取り組みを示す図。短・中期では、Scope1・2で早期の再エネ導入、Scope3で顧客への脱炭素価値提供やパートナーとの協働による排出削減、再エネ事業による社会の脱炭素化への貢献を推進。2030年度目標はZEB・ZEH水準100%、自社排出量を2020年度比10%以上削減。中長期では社会全体の技術開発を活用し、非電力領域の脱炭素化、低炭素建材・素材の採用、残余排出量の吸収・除去に取り組む。
2019~2050年のScope1・2・3のCO2排出量実績と削減目標を示す積み上げ棒グラフ。2024年度はScope1・2が64千t-CO2、Scope3のカテゴリ11が175、カテゴリ2が229、カテゴリ1が848千t-CO2。2030年度はScope3のカテゴリ1・2・11を964千t-CO2とし、SBT認定に基づき46.2%削減、Scope1・2は57千t-CO2として自社目標80%削減を目指す。長期目標は2050年ネットゼロ。

脱炭素社会実現に向けた施策

  • 長期ビジョンでは、CO₂排出量削減目標の達成に向け、以下の取り組みを進めています。当社グループの取り組みは着実に前進しており、東急不動産(株)では、自社の事業所及び保有施設で使用する電力について、2022年12月に100%再エネ化を完了※1し、2024年4月に、国内事業会社として初めてRE100の達成を認定されました。
  • 引き続き施設のZEB/ZEH水準化の推進、環境認証取得などの推進を進めます。

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施策 目標 実績 トピック
Scope1,2
RE100 2022年達成
(東急不動産(株))
2022年12月に
100%再エネ化切替完了
RE100達成済
国内トップレベルの再エネ発電能力を活用
国内の事業会社で最速※2の達成
Scope3
ZEB/ZEH水準※3 2030年度:100% 100%達成(2024年度) 2022年3月 全ての新築ビルを原則ZEB水準化
2022年9月 全てのBRANZで原則ZEH標準仕様化
2025年11月 全てのBRANZでGX ZEH標準仕様化
その他施策
環境認証取得※4 2025年度:約70%
2030年度:100%
97.3%
(2025年度)
認証取得の一例:DBJ認証における「5 Stars」取得物件
東京ポートシティ竹芝・渋谷ソラスタ・日比谷パークフロント
ICP導入 2023年度
経営判断へ導入
経営会議で「見える化」導入済(2022年度)  
行政連携 GXフューチャーコンソーシアムへの参画(2025年度)  
  1. ※1共同事業など一部を除く
  2. ※2RE100 annual disclosure report 2022の巻末リストによる
  3. ※3ZEB/ZEH Oriented相当またはそれを超える建物性能を有する東急不動産の分譲マンション・オフィス等の施設件数割合(着工ベース)
  4. ※4非住宅の大型保有物件(延長面積10,000㎡以上)を対象。共同事業など一部除く

★ :「用語と解説」参照

脱炭素社会実現に向けた施策 - 再エネに関する取り組み -

  • 当社グループは、戦略投資事業として再エネ事業を推進しています。国内トップレベルの発電能力の更なる拡大を進めます。

長期安定電源化への取り組み

再エネ事業の総投資額  約5,300億円
(2025~2030年度の6年間)

2030年度目標 定格容量 4.0GW※1

発電源の拡大
  • 洋上風力など新たな発電事業への参入
  • ソーラーシェアリングの推進
  • 非FIT事業の拡大
再エネの活用
  • 電力小売事業への領域拡大
  • 電力の地産地消推進(マイクログリッド構築など)
共創関係・仕組み整備
  • 政策提言[REASP※2
  • 地域共生[FOURE★※3
  1. ※1持分換算前
  2. ※2一般社団法人再生可能エネルギー長期安定電源推進協会
  3. ※3一般社団法人再生可能エネルギー地域活性協会

★ :「用語と解説」参照

確保済み施設による利益計画と総投資額

【2026年3月末時点】定格容量※1:2,527MW

  • 稼働済 223件、2077MW(うち太陽光1,814MW、風力247MW、その他16MW)
  • 開発中 78件、616MW(うち太陽光354MW、風力207MW、その他54MW)
  • ルーフトップ太陽光は1事業として集計
2025年3月期から2031年3月期までの総投資額、BS残高、売電利益の推移と計画を示すグラフ。総投資額は2025年3月期3,380億円、2026年3月期4,917億円、2027年3月期計画5,212億円、2028年3月期参考5,474億円、2031年3月期参考6,239億円。BS残高は2,247億円から3,618億円へ増加し、売電利益は85億円、114億円、108億円、129億円、143億円で推移する。
  1. ※1持ち分換算前(開発中プロジェクトを含む)

脱炭素社会実現に向けた施策 - 資金調達に関する方針 -

  • 新たな事業機会を見据え、事業を通じた脱炭素化を目指すためには、外部からの資金調達は欠かせません。当社グループの気候変動を含むESGへの取り組みを広く周知・推進していくとともに、債券投資家の安定的な投資機会の創出及びエンゲージメントを強化するため、2021年度にESG債発行に関する基本方針として「”WE ARE GREEN” ボンドポリシー」を策定しました。
  • ESG債の資金使途については、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」にて設定した価値創造への取り組みテーマ(マテリアリティ)に則したものとします。当社の社債発行残高に占めるESG債の比率を2025年度末までに50%以上(達成)、2030年度末までに70%以上とすることを目指します。

ESG債比率の推移

2020年3月末から2031年3月末までのESG債と非ESG債の比率推移と目標を示すグラフ。ESG債は2020年3月末の100億円・5%から、継続発行により2026年3月末には2,100億円・62%へ上昇。非ESG債は同期間に2,000億円・95%から1,300億円・38%へ低下。2031年3月末の目標はESG債70%、非ESG債30%。

ステークホルダーエンゲージメント(政府)

  • 環境省の支援事業への積極的な参加を通じた情報提供・事例共有(SBT、ICP、シナリオ分析)や、経済産業省主催の GXフューチャー・コンソーシアムへ参画しています。また、国土交通省開催の「不動産分野におけるESG-TCFD実務者ワーキング」や、省庁横断「気候変動リスク・機会の評価に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会」へ参加しています。
  • 金融庁が公表する「有価証券報告書におけるサステナビリティ情報に関する開示」や、TCFDコンソーシアムが公表する「気候関連財務情報開示に関するガイダンス3.0」※1において、当社のTCFD開示が事例集に選定されるなど、先進的な開示を通して、TCFD開示の発展に貢献しています。
  • 東急不動産(株)は、(一社)再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)で中心的な立場で活動しています。経済産業省策定の第六次エネルギー基本計画に対し「第六次エネルギー基本計画に対するREASPの考え方」を発表し、気候変動対策を推進するとともに、日本政府へ再エネ関連諸制度について政策提言、調査・研究を実施しています。
気候関連財務情報開示に関する
ガイダンス3.0
  • 国はLCCO₂削減の推進(GX)と建築業界全体の生産性向上の推進(DX)を図るため、建築物ライフサイクルカーボン評価(LCA)を促す制度の2028年度開始を目指しています。当社では、補助事業に参画し、算定ツール(One Click LCA)を使って排出量を算定し、その結果を実施例として国交省に提供することで、LCA義務化に向けた国の施策に貢献しています。
  • 環境省による、ネイチャーポジティブとカーボンニュートラルの統合的施策を目指すため、「自然を生かした解決法(Nature-based Solutions:NbS)による、ネイチャーポジティブに資する再生可能エネルギー技術の実証事業」に当社は参画し、再エネ事業地の太陽光パネルの設置において、パネル下部の植生管理を適切に行うことで、植物の蒸散作用を生かしたパネル温度の低下や、施設周辺の自然生態系を豊かにする取り組みを行い、NbSに貢献しています。
  1. ※1気候関連財務情報開示に関するガイダンス3.0 (PDF:50.2MB)

★ :「用語と解説」参照

太陽光パネルとその下での植生管理
(リエネソーラーファーム東松山)

ステークホルダーエンゲージメント(上流)

業界団体とのステークホルダーエンゲージメント

  • 所属している不動産協会では「不動産業における脱炭素社会実現に向けた長期ビジョン」を発表しています。同協会において、気候変動対策を推進するとともに、日本政府へ不動産関連諸制度について政策提言・調査・研究を実施しています。
  • 上流(Scope3 カテゴリ1・2)に関する排出量削減目標達成に向けては、排出量の現状把握と、削減に向けた施策の検討・実施が必要です。業界全体で上流の排出量算定精度の向上が求められており、不動産協会は、上流における排出量算定マニュアルを策定しました。当社グループは、協会における「環境委員会」および、その中に設置される「建設時GHG排出量算定マニュアル検討会(及び分科会)」に所属し、上記策定に主体的に参加しました。
  1. ※1リリース記事より、マニュアルイメージを引用
※1 イメージ
Scope3 算定を行う建築工事を発注する事業者のための「建設時GHG排出量算定マニュアル(2022年度版)」の表紙

物流施設「LOGI’Q広島」サプライヤーに再エネ電力供給

  • 「LOGI‘Q広島(以下、本物件)」は一部区画を冷凍冷蔵対応倉庫とした延床面積約2万3千坪の物流施設です。本物件では、床デッキ材を製造する企業が、当社グループの再エネ電力小売会社である、(株)リエネが提供する再エネ100%の『リエネでんき』を契約することにより、当社再エネ発電所由来の再エネ電力によって製作された部材を本物件建設時に使用しています。このように、上流である建設資材製造時における使用エネルギーの脱炭素化を推進することで、LOGI’Qシリーズと当社再エネ発電所の循環活用モデルを実現しています。
再生可能エネルギーを活用した物流施設建設の流れを示す図。リエネ再生可能エネルギー発電所の太陽光・風力発電による電力と、太陽光発電による電力を部材工場へ供給。工場で床材や鉄骨などの部材を製作し、それらを用いて太陽光パネルを備えた物流施設'LOGI’Q広島'を建設する。

ステークホルダーエンゲージメント(下流)

オフサイト型コーポレートPPAの取り組み

  • 東急不動産(株)と(株)リエネは、(株)髙島屋、デジタルグリッド(株)の二社とともに、速やかな脱炭素社会への移行と、日本国内の再エネ普及に向け、国内初※1の短期契約による大規模オフサイト型コーポレートPPAに取り組んでいます。
  1. ※1発電所と需要施設が同一法人の契約ではない、単年契約可能なPPA契約サービスを対象とする。(3社(デジタルグリッド(株)、東急不動産(株)、リエネ(株))調べ)
再生可能エネルギー電力の供給スキームを示した概念図。需要家として『Takashimaya(横浜店・高崎店)』が位置づけられ、東急不動産の再エネ供給事業者『ReENE』から再エネ電力供給契約を通じて電力が供給される。小売電気事業者として『Digital Grid』が関与し、電気需給契約を担う。不足分は電力市場から調達される仕組みを示している。

「BRANZ(ブランズ)」経済産業省の新基準「GX ZEH」を先行して標準仕様に

  • 東急不動産(株)は、脱炭素施策の一環として、着工ベースで2025年度約50%、2030年度100%としていたZEB/ZEH標準仕様化の当初目標を前倒しすることに加えて、経済産業省が進めている「住宅の省エネルギー化」施策の一つで、従来のZEH基準よりも断熱・省エネ・創エネ性能をさらに向上させた新しい環境基準GX ZEH基準を2025年10月以降に設計開始する新築プロジェクトへ適用いたします。
  • グループ会社においても、2025年度以降に着工する都市型賃貸レジデンス「COMFORIA(コンフォリア)」、学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」の全棟では、ZEH相当の環境性能とします。また東急リバブル(株)は、2024年度以降に着工する「L’GENTE(ルジェンテ)」を全てZEH相当の環境性能とします。

物流施設でのグリーンエネルギー活用

  • 物流施設「LOGI‘Q(ロジック)」では、入居するテナント企業、およびその荷主企業など向けに、当社グループの再エネ100%電力である「ReENEグリーンエネルギー」を活用した環境負荷軽減サービスを提供しています。物流施設屋上にオンサイトPPA契約という契約方式を通じて太陽光発電設備を設置し、そこで発電した生グリーン電力を当該施設内で活用するほか、当社が全国で展開する再エネの発電所で発電した再エネ100%電力を共用部・専有部へ供給します。
再生可能エネルギー供給の仕組みを示した図。屋根上太陽光発電によるオンサイトPPAと、東急不動産の発電事業による再エネ100%電力が『ReENE』を通じて供給される。生グリーン電力とトラッキング付き非化石証書を組み合わせ、LOGI’QおよびReENEグリーンエネルギーとして、専有部(テナント企業等)と共用部に電力を供給する流れを示している。

★ :「用語と解説」参照

ステークホルダーエンゲージメント(地域社会)

北海道松前町での地域共生の取り組み

  • 東急不動産(株)は、北海道松前郡松前町と企業連携まちづくり計画などの推進業務に係る協定書を締結し、東急不動産(株)の「まちづくり」「再エネ」の知見とネットワークを活用し、地域マイクログリッドの構築を含め、松前町の持続可能な街づくりに向けた各プロジェクトを共同で推進しています。
  • 日本でも有数の強い風が吹くという地域資産を活かし、「リエネ松前風力発電所」を開発・運営するだけでなく、マグロ・松前牛・桜といった観光資源等も活かした地域活性化への貢献を目指します。
会議室内でプロジェクターに集中する出席者たち
町章に模したビジョンの在り方

横浜市立の学校を対象とした太陽光発電設備導入の取り組み

  • 東急不動産(株)は、横浜市立の小中学校・高等学校・特別支援学校53校を対象としたPPAによる太陽光発電設備の導入事業者として選定されました。
  • 今回の取り組みにより従来と比べて約26%のCO₂削減を目指します。太陽光発電設備および蓄電池の導入により、発電した電力を、昼間は学校で使用するほか、余剰分は蓄電池に充電し、夜間や雨天時等は蓄電池の電力を使用できるようにしています。
  • 休日には、市内の商業施設やホテルへ電力を供給することで、市内の再エネ電気比率向上に貢献してまいります。
屋根上の太陽光パネル
※写真はイメージです

ステークホルダーエンゲージメント(イニシアティブへの賛同)

各種イニシアティブへの賛同

  • 環境先進企業として、各イニシアティブと協働することが重要であると考えています。
  • 以下の団体へ賛同・参加し、情報収集や同業他社との連携などを実施しています。
国連グローバル・コンパクト
SBTイニシアティブ
気候変動イニシアティブ(JCI)
日本気候リーダーズ・パートナーシップ
(JCLP)
RE100
TNFD
責任投資原則(PRI)
GXフューチャーコンソーシアム
30by30

★ :「用語と解説」参照

技能・人財開発

  • 2050年ネットゼロエミッションを達成するためには、グループ全社員一丸となって気候変動に対して取り組む必要があると考えています。
  • そのため、グループ社員の環境意識やサステナビリティ意識を高めるためのプログラムの提供とトレーニングを実施しています。

プログラム提供とトレーニング

  • 2022年度に、グループ社員を対象に、サステナブルな取り組みに挑戦する実践者を表彰する「サステナブル・アクション・アワード」を創設しました。年々応募総数が増加し、2025年度は、203案件の応募があり、そのうち36案件が表彰されました。
    「サステナブル・アクション・アワード」集合写真
  • また、2025年11月に、グループ社員のサステナビリティ意識浸透を企図し、1か月を通じて体感型イベントを開催する「サステナ月間」を開催しました。
  • 当社グループでは、グループ社員のサステナビリティ(環境テーマを含む)に対する意識を高めるためにプログラムを提供し、トレーニングに取り組んでいます。
    • グループ社員を対象にe-ラーニングを毎年実施し、サステナビリティに関するテーマを取り上げています。また、当社グループのWEB社内報「TFHD GROUP MAGAZINE(T-MAG)」ではサステナビリティに関する記事を多数掲載しています。
    • グループ社員を対象に、森林保全を通じたサーキュラーエコノミーを題材に、対話型e-ラーニングを実施しています。
東急不動産ホールディングス(株)

気候・自然関連の取り組み

気候・自然関連の取り組み

気候関連の取り組み事例

再エネ電力100%導入の分譲マンション

ブランズタワー谷町四丁目では、全住戸と共用部に実質再エネ100%導入し、入居者とともに脱炭素を進める環境先進マンションを実現しました。(2024年竣工)

ブランズタワー谷町四丁目の外観

ZEH認証 ブランズ千代田富士見

ZEH oriented 認証取得。室内環境の質を維持しながら、共用部を含むマンション全体で一次エネルギー消費量を20%以上削減を目指します。(2025年竣工)

ブランズ千代田富士見の外観

物流施設 LOGI’QでのオンサイトPPA活用

「LOGI’Q」に入居するテナント企業とその荷主企業等向けに、再エネ100%電力「ReENEグリーンエネルギー」を活用した環境負荷軽減サービスを提供します。

オンサイトの再生可能エネルギーの活用

様々な事業で太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用しています。リゾート施設の「パラオ パシフィック リゾート」や「東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山VIALA」では、太陽光発電システムを導入しています。
また、商業施設の「東急プラザ表参道」では、屋上に風力発電装置を2基設置し、自然エネルギーを取り入れています。

環境認証取得の一例 (DBJ Green Building 認証物件)

5 Stars

東京ポートシティ竹芝
渋谷ソラスタ
日比谷パークフロント

4 Stars

新青山東急ビル
神保町北東急ビル
新目黒東急ビル

環境認証取得の一例(CASBEE認証)

2019年に、本社オフィスとなる「渋谷ソラスタ」において、CASBEEの新認証である「CASBEE-ウェルネスオフィスの最高位となる「Sランク」を取得しました。

CASBEE認証ロゴ

ZEB認証物件の一例

東急コミュニティー技術研修センター NOTIA(2019年竣工)

都内事務所ビルではじめて、Nearly ZEB 認証を取得。2020年度には基準を上回る一次エネルギー消費量約87%削減を達成しました。

東急コミュニティー技術研修センターNOTIAの外観

COCONO SUSUKINO(2023年竣工)

商業・ホテル系複合用途の建築物全体での取得として全国最大規模となる「ZEB Ready」認証取得。

COCONO SUSUKINOの外観

集合住宅向けBEV・PHEV充電サービスの共同実証

(株)東急コミュニティ―は、2025年1月より、首都圏で管理運営業務を担うマンションで、株式会社デンソーが開発中のBEV・PHEV向け充電システムを活用した集合住宅向け充電サービスの共同実証を開始しています。

再生可能エネルギー100%のデータセンター

北海道石狩市で、2024年9月、再生可能エネルギー100%で運営する「石狩再エネデータセンター第一号」に着工しました。東急不動産(株)が出資する石狩地域エネルギー合同会社および、100%子会社である(株)リエネが連携し、オンサイトPPAの方式で再エネ電力を直接供給します。

物理的リスクへの対応

  • 東急住宅リース(株)は、大規模災害の危機が発生した状況における事業継続などの取り組みが評価され、(一社)レジリエンスジャパン推進協議会における国土強靭化認証団体認証「レジリエンス認証」を取得しています。
  • 東急不動産(株)は、保有する「渋谷南東急ビル」について、(一社)日本不動産研究所における自然災害に対する不動産のレジリエンスを定量化・可視化する認証制度である「ResReal(水害版)」の認証を取得しました。(認証グレード:Gold
  • 東急不動産(株)は、建物の立地選定及び、テナント・居住者との連携によるBCP強化を実施しています。
レジリエンス認証ロゴ
ResRealロゴ

自然関連リスク・機会、依存・インパクトに関する取り組み

当社グループにおけるこれまでの、リスク・機会・インパクトに関する具体的な取り組みをご紹介します。主な取り組みとして、以下を取り上げました。

  1. 都市開発事業:まちづくり、緑化技術、植栽管理
  2. ホテル・レジャー事業・海外事業森林経営、海洋保全、蓼科における自然との共生、海洋保全
  3. その他:外来生物対策、汚染低減、廃棄物削減、資源循環、水利用削減、建物の長寿命化

都市開発事業における取り組み ~まちづくり~

広域渋谷圏のまちづくり

渋谷駅を中心とした「広域渋谷圏」では、「広域渋谷圏構想(Greater SHIBUYA 1.0)」をさらに進化・深化させ、新たなまちづくり戦略「Greater SHIBUYA2.0」を策定し、職・住・遊の3要素を融合させるとともに、その基盤として「デジタル」「サステナブル」の取り組みを推進しています。「サステナブル」に関しては、緑豊かな環境整備脱炭素の推進、レジリエンスの強化など、誰もが安全・安心で快適に過ごすことができ、最先端の環境対策が施されている持続的に成長するまちづくりを行っています。

GREEN WORK STYLE

オフィスビルにおいて、健康と安全、環境とサステナビリティを意識しながら、多様なグリーンの力で、“ワークプレイス”と“オフィスソリューション”の両面から、企業価値の向上とワーカーのウェルビーイングの実現をめざす「GREEN WORK STYLE」を展開しています。緑にふれあう働き方を実現することで、日々のストレスを軽減し、一人ひとりの生産性を最大限に引き出すとともに、円滑なコミュニティ形成に貢献します。

渋谷ソラスタ

オフィスフロアのすべての階にテナント用のグリーンテラスを設置。オフィス環境に不足する緑や新鮮な空気を身近に感じていただくことで、ワーカーのみなさまのストレス軽減と生産性向上に寄与します。また、「爽やかな空の下で働く場所」として、最上階には屋上空間を活用したスカイテラスとラウンジ(右写真)を設けています。

屋上 スカイテラス

都市開発事業における取り組み ~まちづくり~

広域渋谷圏におけるエコロジカルネットワーク形成と2030年度KPI目標の設定

生物多様性に配慮した都市緑化が重要であることから、広域渋谷圏では、生態系を保全するために事業拠点において屋上緑化・壁面緑化などの積極的な緑化を行っています。周辺の緑をつなぎ、そこに住む生きものたちの中継地点を担うことで、広域渋谷圏のエコロジカルネットワーク形成に取り組んでいます。
特に地域への影響が大きい大規模物件の開発時には、計画時に周辺の生態系調査を実施し、生息する鳥類や昆虫類に配慮した植栽で緑化し、地域の生物多様性保全を進めています。

広域渋谷圏における主要な緑地と拠点の分布を示した地図。明治神宮、代々木公園、神宮外苑、赤坂御所、青山霊園などの大規模緑地が緑の濃淡で示され、渋谷駅周辺には渋谷フクラス、渋谷スクランブルスクエア、Shibuya Sakura Stage、Forestgate Daikanyama、新目黒東急ビルなどの拠点が表示されている。都市の中で緑地が連なり、拠点と結びついている様子が分かる。
目標
建物緑化(屋上・壁面など) 2030年度目標100%

*オフィスビル・商業施設の新築大型物件

イメージ図

建物緑化の工法などを表したイラスト
各工法の名称は(株)石勝エクステリアの技術名です

生物モニタリング

商業施設「東急プラザ表参道『オモカド』」の屋上テラス「おもはらの森」では、緑地の生態系の推移を把握するために、自然環境保全の専門家である㈱地域環境計画の協力のもと、1年を通じて定期的に生き物調査を実施しています。(前述)

生き物調査の様子

生物多様性認証制度への参加

特に周辺に自然環境が多く敷地内にも多くの緑地確保が可能な物件においては、生物多様性の確保を後押しするためにもABINCなどの認証を取得することを奨励しています。

渋谷ソラスタ(ABINC認証)

東京ポートシティ竹芝での自然と共生するまちづくり

国家戦略特区である東京都港区竹芝エリアでは、産学連携やテクノロジーを活用したまちづくりを行い、環境(サステナビリティ)など、エリア全体の魅力・活力を高める長期持続的な取り組みを進めています。
プロジェクトの中核「オフィスタワー」は地上40階、地下2階、総延床面積約18万m²からなる大型複合施設です。高層階はオフィスエリア、低層階は商業エリアとなり、6階のオフィスロビーは、地域と調和する水と緑を取り入れた空間を演出しています。
2~6階南東側には階段状に広い「スキップテラス」が設けられ、「空・蜂・水田・菜園・香・水・島・雨」の8つの景からなる、里山的景観の「竹芝新八景」を配置しています。浜離宮恩賜庭園、旧芝離宮恩賜庭園と周辺の豊かな緑と連動した生態系ネットワークを形成することで、地域の生物多様性に貢献することを目指しています。

広さ145平方メートルの水田が設けられた「水田の景」や野菜や果物を栽培する「菜園の景」では、近隣の保育園児や入居しているテナント関係者、住居棟の住民たちが参加する田植えや収穫のイベントを通じてステークホルダーへの環境教育につなげています。
また、ミツバチの巣箱を置いた「蜂の景」や、5、8、10、12階の人の視線が届きにくい壁面に設置された巣箱である「空の景」は、ミツバチやハヤブサやチョウゲンボウなど猛禽類の生息地を提供することで、都心の生物多様性に貢献しています。

東京ポートシティ竹芝
オフィスタワー
オフィスロビー
竹芝八景(スキップテラス)
住民参加による田植え
(水田の景)

都市開発事業における取り組み ~緑化技術・植栽管理・グリーンインフラ~

グリーンインフラに基づく多様な技術による緑化、植栽管理

当社グループの造園建設を中心とする環境緑化事業を担う(株)石勝エクステリアではグリーンインフラ(注)という考え方に基づき、屋上緑化、壁面緑化などの都市緑化技術をはじめ様々な技術を駆使し、防災・減災や自然・生物多様性の保護・保全、持続可能な街づくり、様々な緑地の管理受託に取り組んできました。

(注)グリーンインフラとは

グリーンインフラとは、自然環境が有する、地球温暖化の緩和や生物の生育場所の提供、景観形成や文化的サービスの提供などの機能がもたらす、防災・減災や環境保全といった多様な効果を、様々な社会課題解決に活用しようとする考え方です。国土交通省のまちづくりGX戦略の中でも、グリーンインフラとして多様な機能を有する都市緑地の質・量の確保を官民で連携して一層推進することが挙げられるなど、その重要性や注目度がますます高まっています。

Greentct ロゴ
社会課題や自然閑居が有する機能についてグリーンインフラが防災・減災、地域振興、環境などの効果があることを表している図

※国土交通省HPより抜粋

石勝エクステリアの技術について

造園・緑化事業で推進してきた環境緑化技術・ノウハウを、グリーンインフラの考え方のもとに再構成し、お客様をはじめ様々なステークホルダーの皆さまへ展開できるグリーンインフラメニューを策定し、グリーンインフラ実現の取組みを促進するシステム「Greentect」(グリーンテクトとして、あらゆる事業に活用していきます。システムにより、可視化したメニューは、造園・緑化関連分野における広範の技術・ノウハウを一覧表にし、8つの大項目で区分しています。案件ごとに、営業段階でメニューを活用し、採用技術項目を定め、設計・施工・管理・運営の実施に組み込むシステムです。

例:樹木移植工法(TPM工法)

TPMはTrans Planting Machineの略で、世界に2台しかない石勝エクステリア独自の専用機械を使用することにより、従来は難しいとされてきた大径木の移植を可能にした技術です。地域の資産である大樹を守りながら、緑化プランの自由度を高めます。

TPM機械による移植作業

例:立体型緑化工法(バイオキューブ)

立体形状の複数面に植栽を施します。箱型なので取り扱いが簡易で、省スペースかつ多面的な緑化を実現します。

バイオキューブ

グリーンインフラメニュー

グリーンインフラメニュー。①計画地保全②防災・減災③植物・動物④土留め等工作物⑤環境配慮資材⑥ウェルネス⑦管理・運営⑧その他の環境技術

メニュー例

大項目1 計画地保全
場内移植(樹木)TPM工法
大項目2 防災・減災
レインガーデン(溜め池)
大項目3 植物・動物
在来種活用(代償植生)
大項目4 土留め等工作物
自然素材土留め
大項目6 ウェルネス、
パーゴラ、オーニング
大項目7 管理・運営
樹木診断、土壌診断

Green Agenda:緑ある景観を計画・育成する植栽管理

石勝エクステリアではマンションにおいて、生命を育む住環境を実現するみどりを計画・施工し、未来につないでいくための植栽管理計画書(アジェンダ)を作成、管理計画書に基づいた計画と管理、見える化技術を一体的に行っていく「Green Agendaを推進しています。

環境の時代の要求に適う住まいのみどりを実現する中で、中長期間で植栽を捉え“見える化”しながらお客様のグリーンへの「関心」や「共感」を醸成します。これまでの造園技術を発展させ、都市開発での生物多様性保全と回復に貢献する持続可能なこれからの造園サポートサービスを目指しています。

BRANZ自由が丘 将来的な目標イメージ
一般的な維持管理イメージとGreen Agenda 景観・育成管理イメージの対比イラストで、10年後の後者は木が良く成長している

ホテル・レジャー事業における取り組み ~方針の策定~

ウェルネス事業における2030年度までに目指す姿

当社グループにおける環境経営を推進するため、ホテルやレジャーを含むウェルネス事業では、3つの環境重点課題を踏まえ、ホテル・リゾート事業およびヘルスケア事業を含むウェルネス事業地における2030年度までの目標数値を策定しています。

  • 「生物多様性」:ウェルネス事業地において、2030年度までに40%の面積の事業地を保全※1
  • 「循環型社会」:ウェルネス事業において、廃棄物を2030年度までに11%削減(2019年度比)※2
  • 「脱炭素社会」:ウェルネス事業において、CO₂を2030年度までに46.2%削減(2019年度比)※2
  1. ※1保全された面積とは、①OECM認定その他の生物多様性・緑地保全系の環境認証を取得する対象土地の面積、②国立公園・国定公園・自然公園の区域内に該当する面積、③森林法に基づく森林経営計画の作成の対象となる森林面積を指します。
  2. ※2東急不動産ホールディングスグループの目標数値に準じます。
間伐の様子
間伐されたタウン内の森

リゾート施設を「体感型サステナブルリゾート」へ

上記の目指す姿を実現するためには、施設の開発時だけでなく、販売・運営時にわたり、リゾート施設を訪れるお客様やステークホルダーの皆様に、リゾート施設ならではの地域・自然と共生することの重要性を体感いただき、日常における環境意識の向上につながるきっかけを提供することが大切です。

Enjoy! Green Guideのインターネット画面

リゾート施設の運営を担う東急リゾーツ&ステイでは、「もりぐらし®」を掲げ、森のアクティビティやグランピングワーケーションといった、地域の共有財産である森との調和やサステナビリティを包含し、地域住民・従業員が一体となった地域課題解決・自然保護を推進してきました。さらに2024年には、「リゾートの力で、地域に幸せな『めぐり』を」を新たなスローガンとして掲げました。「生物多様性を育む」・「地域の未来を創る」・「地域のエネルギーを活かす」という3つのテーマに基づき、楽しみながら地球や地域に優しく過ごすことのできるサステナブルな空間や体験、活動を作り、施設を訪れるお客様に提供する「体感型サステナブルリゾート」を目指しています。
各リゾート施設のイベント情報や提供価値はWebサイト「ENJOY GREEN GUIDE」でも発信しています。

ホテル・レジャー事業における取り組み ~モニタリングとOECM認定~

30 by 30への賛同と自然共生サイト(OECM)

当社グループは、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際目標の30by30に賛同しています。
「東急リゾートタウン蓼科」では、30by30の達成を目指す取り組みの一環として、2022年度に環境省が認定する「自然共生サイト(民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を認定する制度)」の課題調査事業に参加し、2024年2月にスキー場・ゴルフ場を含めたリゾート施設として初めて「自然共生サイト」の認定を取得しました。
豊富な生物多様性を守るため、森林管理や生物モニタリング調査を行っています。2023年時点で1,699種の動植物が確認され、環境省や長野県のレッドリストに含まれる希少種が32種類と多く確認されました。
植物種は605種確認され、この中にはジロボウエンゴサク等の10種の希少種が含まれます。鳥類は、ホオアカ等4種の希少種を含む65種、昆虫類・爬虫類・両生類は、アカマダラセンチコガネなど18種の希少種を含む1,018種が確認されています。これらのような草原性動植物含め、特徴的で多様な生息・生育などが評価されています。

生物多様性行動計画*(BAP:Biodiversity Action Plan)

当社グループでは事業地域の中で特に保全上重要なエリアについて生物多様性行動計画(BAP)を策定し、生物多様性保全に取り組むこととしています。「東急リゾートタウン蓼科」では、別荘地およびその周辺の樹林地等において動植物の生息・生育環境に関するモニタリング調査を実施し、希少な動植物種や生息・生育環境に対する脅威があれば対策を検討し、緑地の管理計画に生かしていく予定です。

ジロボウエンゴサク
(レッドリスト)
ホオアカ(レッドリスト)
アカマダラセンチコガネ
(レッドリスト)

* :「用語と解説」参照

ホテル・レジャー事業における取り組み ~蓼科における自然との共生~

森林経営の取り組み

「東急リゾートタウン蓼科」では2018年から森林経営計画を立て保全間伐を行っています。これにより下草が茂り、樹木の根が強化されるなど森林の育成が促進されるとともに、地盤が強固になることで崖崩れなどの自然災害を防ぐことにもつながります。更に自然・生物多様性の保全やエネルギーの地産地消に貢献する取り組みとして、間伐材をウッドチップに加工し、バイオマスボイラーの燃料として活用する取り組みを行っています。バイオマスボイラーにはCO₂吸収・固定化装置を導入、排煙に含まれるCO₂を原料にしたゴルフティーやボトル&スリーブを製作し、提供しています。
また、適切な間伐は、木の成長を促進しCO₂の吸収量を増加させます。2022年、企業などが削減したCO₂を国がクレジットとして認証する「J-クレジット制度」において、総合デベロッパーとしては初めて、森林経営活動に基づくJ-クレジットの認証を受けました。

バイオマスボイラー
CO₂吸収・固体化装置
森林経営活動に基づくクレジット創出イメージ

カラマツ間伐材の活用

長野県諏訪市にある障害福祉サービス事業所『NPO法人ふぉれすと 森の工房あかね舎』や下諏訪の『荒木縫製有限会社』と協働して製作したシューズの招集・乾燥剤として使える『カラマツのサシェ』や、カラマツの香りを生かした『フォレストキャンドル』や『ウッドディフューザー』、ナチュラルな香りの虫よけ『カラマツのアウトドアスプレー』を「ordinary(日常)」シリーズとして販売しました。また、「special(特別)」として、特別な一品のクラフトビール『カラマツのHAZY IPA』も販売しました。
その他、2023年9月にオープンした、当社グループの新築分譲マンションブランド「BRANZ(ブランズ)」の統合マンションギャラリー「東急不動産 BRANZギャラリー 表参道」においては、「東急リゾートタウン蓼科」における森林保全活動で発生した間伐材をフローリングやデザイン家具といった形で活用しています。

オリジナルアロマ
間伐材を活用したフローリング

クリーンアップ&ウォーキング「もりこみち」

「東急リゾートタウン蓼科」には年間を通じて多くの人が往来し、自然と外来種の植物が入り込んでいます。2021年度より定期開催している「もりこみち」では、「東急リゾートタウン蓼科」の5つの「小径(こみち)」でウォーキングを楽しみながらごみ拾いをしたり、蓼科の生態系をこわす恐れのある外来種の除草をしたり、枝木や落ち葉の除去などを行っています。

外来種の除草の様子

「ブッシュクラフト」による「もりぐらしイベント」の開催

長野県の補助事業「県民協働による里山の整備・利用事業」を活用し、地域の皆様が森や自然環境に理解を深め、美しく健全な森を未来につないでいくことを目的に、本イベントを開催しました。地域の子供たちを対象に「ブッシュクラフトと植樹体験」をテーマに、火おこし体験や植樹を実施したほか、別荘オーナーや地域住民の方を対象に、チェーンソーの正しい扱い方をメインとした「樹木管理講習」、薪づくり体験を実施しました。
(主催:茅野市鹿山地区もりぐらし推進地域協議会、協力:株式会社ヤソ・株式会社木葉社)

薪を運ぶ子供たち

森の中で働く「ワークラボもりぐらし」

別荘オーナーラウンジであった「せせらぎ館」を活用し、茅野市で展開する「ワークラボ」のブランド名を冠したワーキング施設として、リニューアルオープンしました。タウン内は宿泊やアウトドア施設が充実し、宿泊・日帰りのどちらでも、リゾートを楽しみながらワーケーションいただけます。フリースペースの家具は一人一人のお客様がリラックスしながら仕事に取り組めるように、セミプライベート型のおこもりソファーや、システムソファーを用意したほか、会議室や個室ブースも設け、Web会議の実施など様々な働き方に対応しました。

ワーケーションフリースペース

お客さま参加型の生物調査イベント「たてしなダーウィンツアー」を企画

「東急リゾートタウン蓼科」には、希少種を含めて多くの動植物が生息しています。株式会社バイオームと協働して、同社の開発した、スマホカメラでいきものを撮影するだけで名前を判定できるいきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」を活用し、生物多様性の取り組みを身近に感じていただけるよう、お客さま参加型の生物調査イベント「たてしなダーウィンツアー」を企画しました。お客様にBiomeを活用いただくことで、豊かな自然をより身近に体感していただくと同時に、集積されたデータはタウン内のモニタリングデータとしても活用可能で、蓼科におけるネイチャー・ポジティブに向けた取り組みの推進に活用される予定です。

生き物を探す参加者

耕作放棄地をワイン香るブドウ畑へ!ブドウ苗木の植樹体験会

長野県茅野市で2023年に開設されたワイナリー「オレイユ・ド・シャ」の畑で、ワイン用ブドウ苗木の植樹体験会を行いました。全国的に増加し、社会問題となっている耕作放棄地をブドウ畑に生まれ変わらせる取り組みで、耕作放棄地の活用により、環境問題や地域の課題に取り組むことが可能となります。およそ3年後の豊かな収穫を思い描きながら約720本のブドウが植えられました。

地区防災計画に基づく訓練の実施

タウン内では、過去に大雨による土砂災害があり、2015年3月には「土砂災害防止法」に基づく「土砂災害警戒区域及び特別警戒区域」の指定が告示されています。こうした中、利用者の安全確保を第一に考え、地区防災計画の周知と班体制での行動確認を目的として、タウンセンターほかホテル、ゴルフ場などタウン内施設が連携して、情報伝達と指示、巡回・報告、避難誘導の訓練を実施しています。

防災訓練の様子

食や森の循環を学び、体感できる「エディブルガーデン」

「東急リゾートタウン蓼科」で、野菜やハーブ、果樹や食用の花などの栽培・収穫を通じ、食や森の循環を学び、体感できる「エディブルガーデン」が2023年8月にグランドオープンしました。
タウンでは、2023年3月に「コンポスト(生ごみ処理機」)を導入し、タウン内にあるホテルのレストランから出る生ごみを良質な堆肥に変えて地元農家へ提供するなど、環境保全と食の循環、地域との連携を実現してきました。
「エディブルガーデン」は“食べられるお庭”をテーマにした体験型スポットで、お客さまが野菜などの栽培や収穫に触れ、採れたてのものを食べることで、自然との共生を楽しみながら食の循環や森の循環を学び体験していただける施設です。

エディブルガーデン

「TENOHA蓼科」による地域と環境の共生

「東急リゾートタウン蓼科」では、2024年7月、“地域連携”と“環境配慮”の価値創出および発信の拠点としてTENOHA蓼科をオープンしました。1978年に初めて別荘地を分譲して以来、長きにわたって自然との共生を続けてきた当タウンでは、森林の樹木密集を抑制するために木を間引く保全間伐を実施してきました。TENOHA蓼科内の壁面や家具、什器は全てタウン内の間伐材を使用して作られており、これら家具や什器はTENOHA蓼科のコンセプトに共感いただいた地域の製材所や工房協力の下で製作しており、地域連携の在り方を実現しています。
また、TENOHA蓼科に隣接する広場内においては長野県産の木材をふんだんに使用して木材の地産地消を徹底し、また広場の入口ゲートには、木材だけでなく、地域の石材や、工事の際に出たガラス廃材をアップサイクルして作ったガラスブロックを使用し、地域循環の輪を表現しています。オープニングイベントのまちびらきマルシェにより地域コミュニティ創出の拠点としての第一歩を踏み出しました。

TENOHA蓼科外観
TENOHA蓼科内装

ホテル・レジャー事業・海外事業における取り組み ~海洋保全~

「勝浦市藻場保全対策協議会」の設置

当社グループは、2025年8月、千葉県勝浦市や新勝浦市漁業協同組合、関係機関とともに「勝浦市藻場保全対策協議会」を設置しました。勝浦市は暖流と寒流の潮境に位置し、沿岸でも水深が深く海藻が根付いた岩礁が多いことから、多種多様な海洋生物が存在しています。しかし、昨今の気候変動やそれに伴う食植生魚類の増加により、良質な藻場が減少する磯焼けの深刻化が問題となっています。本協議会は、取り組みを通じた良質な藻場の維持・回復や、食植生魚類の捕獲、またブルーカーボンクレジットの創出などを目的として取り組みを推進しています。

勝浦市沿岸

「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」における産官学連携の取り組み

当社の出資会社が運営するハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランドは、沖縄本島中央部の西海岸に位置する恩納村の瀬良垣島周辺の海において、沖縄科学技術大学院大学(OIST)と共同「瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクト」を実施しています。同プロジェクトは、温度変化に弱く、世界的に個体数が減少していると言われているカクレクマノミの孵化・飼育、育成区域への放流を、2021年から実施しています。
また、リゾートの観光資源でもあるサンゴ礁の生態系保全のため、2018年に「サンゴの村」を宣言している恩納村や地元の漁業協同組合と連携しながら、環境に配慮したダイビングのガイドラインであるGreen Finsを導入するなどの活動も実施しています。

カクレクマノミ

インドネシアにおける地域貢献活動

当社グループは、1975年よりインドネシアへ進出し、これまでに戸建住宅開発(約5,000戸)および中高層住宅開発事業(約2,200戸)を推進しており、これらの都市開発事業のほかに、長年に渡り、海洋観光地におけるサンゴの保全活動ウミガメの保全活動、ジャカルタ郊外エリアにおける植樹活動などの地域貢献活動にも取り組んでいます。

自然保護団体協力のもと植樹したサンゴ

その他の取り組み ~水資源利用の削減~

水資源の利用によるネガティブインパクトの低減

当社グループは、設計会社・施工会社・お客さまや地域社会などのステークホルダーと協働して、事業活動および保有するオフィスビル、商業施設、リゾート施設などにおいて、それぞれの地域固有の水資源問題に応じた適切な管理および水資源の効率的な利用により、水資源の保全に取り組んでいます。

目標
事業拠点および保有する不動産ポートフォリオにおける床面積あたりの水資源利用を、2030年度まで前年度比低減

節水設備導入による水使用の削減

2013年に自然調和型リゾートホテルとして開業した「東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山&VIALA」は、節水型トイレの採用によって上水利用の低減につなげるなど水資源に配慮した取り組みを行っています。「東急ハーヴェストクラブ箱根甲子園」および「東急ハーヴェストクラブVIALA箱根翡翠」でも、敷地内の井水を利用するなど水の有効利用を推進しています。

東急ハーヴェストクラブ
VIALA箱根翡翠

パラオ パシフィック リゾートにおける水資源保護

パラオ共和国の公共水道水は長年配管の老朽化により飲料水には適さず、また乾季の1月~4月には深刻な水不足に陥ることがあるなどの課題を抱えています。「パラオ パシフィック リゾート」では安定的により安全な水を供給するため、水道インフラシステムを独自で構築しています。敷地内の井水・沢水を主な水源としながら、渇水時期対策として海水淡水化装置を備えるなど独自の浄水システムにより飲料水の確保と水資源保護に努めています。

パラオパシフィックリゾート

その他の取り組み ~外来生物対策、汚染削減~

外来生物の対策

外来生物法(環境省)による「外来生物」とは、もともと日本に生息していなかった種であり、人間の活動により、意図的・非意図的に国内へ入ってきた動植物を指し、地域の生態系に影響被害を及ぼすおそれがあります。当社グループではマニュアルを設定し、侵略性の高い外来種を発見した際の対処を定め、地域の生態系の保全に取り組んでいます。

(外来植物)ヒメジョオン
(外来植物)オオキンケイギク
(外来生物)ヒロヘリアオイラガ

汚染によるネガティブインパクトの削減

当社グループでは、設計会社・施工会社などのステークホルダーと協働して、汚染物質の排出防止やその原因となる材料を使用しないことで、環境に及ぼす影響の低減に取り組んでいます。

その他の取り組み ~資源循環~

資源循環

当社グループでは、事業に使用する資源の有効利用の必要性を認識し、設計会社・施工会社・利用されるお客さまなどのステークホルダーと協働して、適切で有効な資源利用に取り組んでいます。

木材資源利用で循環型サイクルを形成 「みどりをつなぐ」プロジェクト

「みどりをつなぐ」プロジェクトは、当社グループがお客さまなどステークホルダーと一緒に、森林を保全する取り組みです。「百年の森構想」を進めている岡山県西粟倉村の森林保全活動と連携し、マンション購入や管理受託、オフィス、ホテル・レジャー施設の利用、中古住宅の売買仲介、といったさまざまなご利用に応じて森林を保全しています。例えば、住宅1住戸の販売毎に森林保全面積10m²など、当社グループの販売実績に応じて、森林保全資金を提供しています。近年では、西粟倉村の森林管理で生成されるJ‐クレジットをあわせて購入する形とし、森林Jクレジットの普及にも貢献しています。これまで2,000ヘクタールを超える森林保全を実現し、2030年度に3,000ヘクタールの森林保全を目標に、毎年のKPIとして進捗管理しています。

保全森林から産出される木材はグループのさまざまな事業で活用し、お客さまへ提供するという循環型サイクルを形成しています。西粟倉村の森林保全活動を通じて発生する間伐材を購入して建築工事に活用する取り組みも積極的に進めており、間伐材を現地の当該森林のFSC認証木材の加工・販売を行っているFSC CoC認証業者から直接購入し、住宅や商業施設のリノベーション工事において内装材として利用しています。

木材の地産地消

2022年12月に開業した会員制リゾートホテル東急ハーヴェストクラブVIALA鬼怒川渓翠においては、開発地内で伐採した樹木を共用部の家具などの材料として活用しています。

「つなぐ」「まもる」「つかう」と書かれた円がそれぞれ矢印でつながっている図
新青山東急ビル
あべのキューズモール
コンフォリア高島平
東急ハーヴェストクラブ
VIALA鬼怒川渓翠

Forestgate Daikanyamaにおけるサーキュラーエコノミーの取り組み

Forestgate Daikanyamaは、賃貸住宅・シェアオフィス・商業施設で構成されるMAIN棟とサステナブルな生活体験を提供するTENOHA棟の2棟からなる、2023年10月に開業した複合施設です。

TENOHA棟は、カフェとイベントスペースで構成され、サステナブルな生活体験の提供や、サーキュラーエコノミー活動を行う事業者や行政と連携し、地域と都市をつなぐ活動拠点です。消費者にサステナブルな取り組みへの接点を提供しながら、さまざまなステークホルダーと連携し、サーキュラーエコノミーを実現します。建物は、東急不動産ホールディングスの保全対象森林、岡山県西粟倉村の間伐材を構造材として活用した木造建築となっています。

Main
Tenoha

循環型建築、リノベーションの推進

東急不動産、東急リバブル、東急Re・デザインは、再生・保全建築、リフォームやリノベーションの推進を通じて、廃棄物の削減、資源循環に貢献しています。

九段会館テラス外観
(保存部分)
バンケットルーム

その他の取り組み ~建物の長寿命化~

大規模改修の長周期化による資源利用の削減

(株)東急コミュニティーは、マンションにおける大規模改修工事の周期を、従来12年と言われていたものが、最大18年に延長できる長期保証商品「CHOICE」を販売しています。
大規模改修工事で用いる仕様・工法等の工夫により、防水、塗装など建物の外装に関わる工事の保証期間を従来に比べ1.5~2倍に延長しています。これにより、築60年のセカンドステージを迎えるまでの大規模改修工事の回数を削減することが可能となりました。大規模改修工事の回数削減により、マンションのライフサイクルを通じた利用資源の削減と、トータルのライフサイクルコストの低減に貢献しています。

「EMドック」建物総合診断による建物活用

EMドックとは Enchanted in 1 minute(1分で魅了する)をコンセプトに、オフィスビルにおいて通常の建物・設備点検では行われない分析調査を行い、1枚のシートに見やすく、分かりやすく調査結果をまとめ、お客さまにご提示する仕組みです。
EMドックを通じ現状の省エネ性能を診断することで、当社独自の分析結果により BELS 認証のレベルを判断し、今後の適切な管理・修繕工事の提案・支援を行うことが出来ます。
また、お客さまが多面的に建物の管理運営上の課題を把握し、それらに関して意識・関心を持っていただくことにより、ビルの安全性や建物資産価値の向上が実現できる施策提案を目的としています。EMドックを通じ、建て替えをせずとも建物資産の環境価値を高め、ZEB・BELS認証取得へ適切な提案・支援を行うことが可能となります。

EMドック全体
EMドック建物健康率
東急不動産ホールディングス(株)

参考資料・用語と解説

参考資料・用語と解説

Appendix:TCFD・TNFDフレームワークの構成

TCFDおよびTNFDフレームワークは、4つの柱で構成された開示提言で構成されており、これら項目に関する開示が推奨されています。なお、一般要件はTNFDのみに要求されている開示項目です。

開示フレームワークの概要

この表は左右にスクロールできます

一般要件
  1. ① マテリアリティの適用
  2. ② 開示のスコープ
  3. ③ 自然関連課題の地域性
  4. ④ その他のサステナビリティ課題との統合
  5. ⑤ 考慮した時間軸
  6. ⑥ 先住民、地域コミュニティ、影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント
ガバナンス 戦略 リスクとインパクト管理 測定指標とターゲット
気候関連のリスク・機会/自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に関するガバナンスを開示する。 気候関連のリスク・機会/自然関連の依存・インパクト、リスク・機会が、事業、戦略、財務計画に与える影響を、その情報が重要である場合に開示する。 気候関連のリスク・機会/自然関連の依存・インパクト、リスク・機会を特定・評価・マネジメントするプロセスを開示する。 気候関連のリスク・機会/自然関連の依存、インパクト、リスク、機会を評価・管理するために使用される測定指標とターゲットを開示する。
  1. A) 気候関連のリスク・機会/自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に関する取締役会の監督
  2. B) 気候関連のリスク・機会/自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の評価と管理における経営者の役割
  3. C) 自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の評価・対応におけるステークホルダーとのエンゲージメント(TNFDのみ)
  1. A) 特定した気候関連のリスク・機会/自然関連の依存・インパクト、リスク・機会
  2. B) 依存・インパクト、リスク・機会が戦略や財務計画に与える影響
  3. C) シナリオを踏まえたリスク・機会に対する戦略のレジリエンス
  4. D) 優先地域の基準を満たす資産や活動の場所(TNFDのみ)
  1. A) 直接操業/上下流のバリューチェーンにおける依存・インパクト、リスク・機会を特定・評価・優先順位付けするためのプロセス
  2. B) 依存・インパクト、リスク・機会を管理するためのプロセス
  3. C) 気候・自然関連リスクの特定・評価・管理プロセスの全社的リスク管理への統合
  1. A) 重大な気候・自然関連リスク・機会を評価・管理するために使用する測定指標
  2. B) GHG排出量/依存・インパクトを評価し管理するために使用する測定指標
  3. C) 気候・自然関連の依存・インパクト、リスク・機会を管理するために使用するターゲットとそれに応じたパフォーマンス

Appendix:TNFDフレームワークとLEAPアプローチ

TNFDでは、企業が自然関連の依存・インパクトやリスク・機会を把握するための任意アプローチである「LEAP」が提示されています。下表は、TNFDで示されている、LEAPの各フェーズが、前頁に示した14項目の開示提言のいずれに対応しているかを整理したものです。本レポートでは、LEAPアプローチを参考に検討した結果を、「一般要件」および「TNFD開示提言」に沿って開示しています。

LEAPアプローチの概要と開示提言への対応関係

この表は左右にスクロールできます

Locate
自然との接点の発見
Evaluate
依存/インパクトの診断
Assess
重要なリスク/機会の評価
Prepare
対応/報告のための準備
  1. L1: ビジネスモデル / バリューチェーンの範囲
  2. L2: 異存・インパクトのスクリーニング
  3. L3: 自然との接点
  4. L4: 影響を受けやすい地域との接点
  1. E1: 生態系サービス/インパクト ドライバーの特定
  2. E2: 依存・インパクトの特定
  3. E3: 依存・インパクトの測定
  4. E4: インパクトの重要性評価
  1. A1: リスク・機会の特定
  2. A2: 既存のリスク緩和、リスク・機会管理の調整
  3. A3: リスク・機会の測定、優先順位付け
  4. A4: リスク・機会の重要性評価
  1. P1: 戦略・資源配分の計画
  2. P2: 目標設定・パフォーマンス管理
  3. P3: 報告
  4. P4: 公表
  • バリューチェーン全体のどの分野で自然への依存やインパクトが重要かをスクリーニング
  • 自社拠点や、バリューチェーンで依存・インパクトが重要な分野の活動場所、関わっている生態系の把握
  • どこが生態学的に影響を受けやすい地域かを評価
  • バリューチェーンを通じて、場所ごとに、どのような生態系サービスに依存しているか、どのようなインパクトを与えているのかを特定
  • 重要な依存・インパクトの程度を、様々な指標を使って評価
  • 依存・インパクトの内容を踏まえ、自然関連リスク・機会を特定し重要性を評価
  • 特に優先度の高いリスク・機会を特定
  • リスクや機会の管理プロセスを検討
  • 評価した内容を踏まえ、どのような対応戦略を取るのかを検討
  • 目標設定の方法を検討
  • 情報開示の内容を検討
上記LEAPアプローチは、以下の開示提言に対応
  • 戦略 D)
  • 戦略 A)D)
  • リスク・インパクト管理 A)B)
  • 測定指標とターゲット B)
  • 戦略 A)C)D)
  • リスク・インパクト管理 A)B)C)
  • 測定指標とターゲット A)B)
  • ガバナンス A)B)C)
  • 戦略 B)C)
  • 測定指標とターゲット C)

用語と解説

財務影響の定量評価の方法

項目 算定方法の概要
  • ZEB/ZEH規制、省エネ基準、建物のライフサイクル排出量削減規制の強化や炭素価格強化によるコスト増加
  • テナントや顧客のZEB に対するニーズの高まりによる非ZEB 施設の賃料低下・空室率上昇
ZEB・ZEH化による一般的なコスト増加率およびIEAのシナリオ別炭素価格想定を用いて、ZEB・ZEH化や炭素価格による新築・改修コスト増加を試算するとともに、空室率及び賃料増減の影響率を外部文献に基づき設定し、ニーズ減少の影響額を試算。
IEAのシナリオ別炭素価格想定および、燃料価格の想定を用いてホテル・リゾート施設における燃料コストの影響額を試算。
  • 再生可能エネルギー市場の拡大による収益増加
IEAのシナリオ別の再エネ電力の拡大想定や、業界団体における将来の発電コスト想定を使用し、売電価格等について一定の仮定をおいて事業の利益増加額を試算。
  • ZEB・ZEH・脱炭素性能の高い物件に対するテナントや顧客のニーズ増加による賃料増加・空室率低下、販売価格上昇
外部文献に基づきZEB・ZEHの賃料・空室率や販売価格を設定することにより利益の増加額を試算。
  • 自然と調和した不動産やサービスへのニーズ増加による収益の増加
外部文献に基づき自然と調和したオフィスや住宅、リゾート施設の賃料、販売価格、プレミアムを仮定することにより利益の増加額を試算。
  • 建物の省エネ基準やZEB基準の強化/非ZEB・非認証物件・再エネ非対応物件のニーズ減少
  • 炭素価格の導入/ライフサイクルカーボン算定制度の導入
ZEB化による一般的なコスト増加率およびIEAのシナリオ別炭素価格想定を用いて、ZEB化による新築・改修コスト増加、炭素価格による建設コスト増加を試算するとともに、空室率及び賃料増減の影響率を外部文献に基づき設定し、ニーズ減少の影響を試算。
  • ZEB・認証物件・再エネ物件へのニーズ増加
外部文献に基づきZEBの賃料・空室率を仮定することにより利益の増加額を試算。
  • 自然と調和したオフィス・商業施設に対するニーズの増大
外部文献に基づき自然と調和したオフィスの賃料プレミアムを仮定することにより利益の増加額を試算。
  • ZEH・創エネ・省エネ・再エネ物件へのニーズ増加/エネルギーマネジメントサービスの提供
外部文献に基づきZEHの販売価格や需要への影響を仮定することにより利益の増加額を試算。
  • 自然保護のための省資源を求めるニーズ高まり
外部の市場調査に基づきリノベーション市場の拡大率を仮定することで、リフォーム・リノベーションによる利益増加額を試算。
  • 自然と調和した住宅に対するニーズ増大や緑化規制による競争力強化
外部文献に基づき自然と調和した住宅に対する販売価格のプレミアムを設定することで、利益の増加額を試算。
  • 土地開発規制の強化や保護地域指定の拡大/環境影響評価・許認可の厳格化/地域との合意形成高度化
B)の再エネ市場拡大想定後の利益をベースに、日本における再エネ適地と自然の観点で重要な地域の重なりの度合いに基づき制限される利益額を試算。
  • 建物の省エネ基準やZEB・ZEH基準の強化/GHG削減の必要性の高まり/炭素価格の導入
IEAのシナリオ別炭素価格想定および、燃料価格の想定を用いてホテル・リゾート施設における燃料コストの影響額を試算。
  • 脱炭素やネイチャーポジティブに貢献する施設やサービスへのニーズ増加
外部文献に基づき、サステナブルなリゾート施設における料金プレミアムを仮定することで利益の増加額を試算。
  • 降雪量・降雪日の減少によるスキー場への影響
外部文献に基づく、シナリオ別の将来の降雪日数の変化を踏まえ、スキー事業の利益の影響額を試算。
  • 気温や海水温上昇による四季の景観や観光的価値の高い自然環境の損失
一部リゾート施設の位置する地域を対象に、外部文献に基づき、一部の観光資源が毀損された場合の来客数への影響を仮定し、影響額を試算。

自然の観点での優先地域評価に用いた指標

Biodiversity Intactness Index 最低限の攪乱しか受けていない場合と比べて、どの程度の種が残っているか、%で示した指標(所謂「手つかずの自然」が100%で、当該地の生態系に手を加えた結果、どれほど生物種が残っているかを表す。)
(出典:Newbold et al.(2016)”Global map of the Biodiversity Intactness Index, from Newbold et al(2016)”)
生物多様性重要地域(KBA) 国際基準により選定された、生物多様性保全の鍵となる重要な地域。
STAR指標 そこでの種の脅威軽減活動が世界全体の絶滅リスク軽減に寄与する可能性を定量化した指標。
保全優先度 生物種の分布情報を踏まえ、生物種の絶滅を防ぎ生物多様性を保全する上での優先度を表した指標。
(出典:(株)シンク・ネイチャー 日本の生物多様性地図化プロジェクト)
ベースライン水ストレス 流域の水供給量に対する水消費量の割合に基づき、流域における水のひっ迫度を表した指標。
(出典:WRI Aqueduct (2023年6月参照))

用語

TCFD Task force on Climate-related Financial Disclosures「気候関連財務情報開示タスクフォース」:2015年、G20の要請を受けた金融安定理事会(FSB)が、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設置。2017年に最終報告書を公表、2021年に改訂。気候変動への取り組みを企業や機関がどのように行なっているかを、下記項目について積極的に開示することを推奨している。
開示推奨項目:ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標
TNFD Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略。国連開発計画、世界自然保護基金、国連環境開発金融イニシアティブ、グローバルキャノピーの4つの機関によって、2021年に発足した自然関連財務情報開示タスクフォース。自然関連の依存・インパクト、リスクと機会を適切に評価し、開示することを要請。
SSBJ Sustainability Standards Board of Japan「サステナビリティ基準員会」:ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の基準を元に、日本におけるサステナビリティ情報の開示基準を開発・策定する組織。
SBT1.5°C目標 Science Based Targets:パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2°Cを十分に下回る水準(Well Below 2°C)に抑え、また1.5°Cに抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~10年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標。
RE100 Renewable Energy 100%:事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする、世界の企業が参加する国際的な協働イニシアティブ。
ICP(社内炭素税) Internal Carbon Pricing:企業が独自に炭素価格を設定し、炭素税の事業影響を可視化したり、組織の戦略や意思決定などに活用する手法。CO₂排出に価格をつけ、排出者の行動を変革させる“カーボンプライシング”の方法のひとつ。
国連グローバルコンパクト United Nations Global Compact(UNGC):1999年の世界経済フォーラムにおいて、国連が企業に対し、人権・労働権・環境・腐敗防止に関する10原則を順守し実践することを提唱したイニシアティブ。
IEA 第1次石油危機後の1974年に石油消費国のエネルギー事情を改善することを主な目的とし、経済協力開発機構(OECD)枠内の国際機関として設立。
ZEB/ZEH net Zero Energy Building / net Zero Energy House:年間の一次エネルギー消費量がネットゼロまたはマイナスとなる建築物。従来の建築物と比較し、省エネ量と創エネ量を合算して削減量を見る。
LEAP Locate, Evaluate, Assess, Prepareの略。TNFDが提唱する、企業や金融機関が自社の自然関連のリスクと機会の評価をサポートするためのアプローチ手法。Locate(自然との接点の発見)、Evaluate(依存関係/影響の診断)、Assess(重要なリスク/機会の評価)、Prepare(対応/報告のための準備)の4つのステップから構成される。
ENCORE UNEP-NCFA(自然資本金融アライアンス)が開発した金融機関向けツールで、業種別の自然への依存・インパクトの重要性の把握や、生態系サービスの分布などを分析することが可能。
文化的サービス 人間が自然にふれることで得られる、審美的、精神的、心理的な面などで影響を受ける文化的なサービス。
十全性 生態系の構成、構造、機能が自然の変動範囲内にある度合いとされている。
(所謂「手つかずの自然」に対して当該地の生態系に手を加えた結果、どれほど生物種が残っているかを表す。)
間伐 育てようとする樹木どうしの競争を軽減するため、樹木の混雑度に応じて一部の樹木を伐採すること。
皆伐 森林を構成する林木の一定のまとまりを一度に伐採する方法。
森林経営計画 森林所有者や森林の経営の委託を受けた主体が、自らが経営する森林を対象に森林の施業・保護について作成する計画。
IPCC 1988年に人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織。
GBF グローバル生物多様性枠組み(Global Biodiversity Frameworkの略。生物多様性条約第15回締約国会議で採択された政界目標であり、「ネイチャーポジティブ」を目指して2050年ビジョンと2030年ミッションを掲げている。
BCP 事業継続計画(Business Continuity Plan)の略。企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した場合に、資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続・早期復旧を可能とするため、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法・手段などを取り決めておく計画。
エコロジカルネットワーク 対象となる地域において優れた自然条件を有する場所を、生物多様性の拠点(コアエリア)として位置付けつつ、野生動物の移動・分散を可能とするため、コアエリア間を生態的回廊(コリドー)で相互に連結させる考え方。
LCP 生活継続計画(Life Continuity Plan)の略。自然災害などの緊急事態の際に、資産の損害をとどめつつ、居住や生活を継続するための計画。
SBTs for Nature Science Based Targets for Natureの略。企業の自然資本関連の目標設定に関し、利用可能な最善の科学に基づき、測定可能、実行可能で、期限付きの目標設定を求めるイニシアティブ。
調整・維持サービス 気候調整や局所災害の緩和、土壌侵食の抑制、有害生物や病気を生態系内で抑制する効果など、生物多様性により環境を制御・維持するサービス。
Scope1・2・3 国際的な温室効果ガス排出量の算定・報告の基準である「温室効果ガス(GHG)プロトコル」の中で設けられている排出量の区分。排出主体によって、「Scope 1(直接排出量)」「Scope 2(間接排出量)」「Scope 3(その他の排出量)」の3つに区分し、これら3つの合計を「サプライチェーン全体の排出量」とする。
マイクログリッド 小規模電力網。エネルギー供給源と消費施設を一定の範囲でまとめて、エネルギーを地産地消する仕組み。
エネルギーの供給には、太陽光や風力といった再生可能エネルギーなどの「分散型電源」が利用される。
FIT Feed In Tariff(固定価格買取制度):太陽光発電のような再エネで発電した電気を、国が決めた価格で買い取るよう、電力会社に義務づけた制度。
FOURE Reciprocal and Regional Revitalization with Renewable energy:再エネを通じた互恵的な地方活性化を普及する協会。
主要省庁の政策動向を踏まえつつ、再エネと地域がともに発展していくことを目指し、東急不動産(株)、大阪ガス、Looop、東京ガス、リニューアブル・ジャパンで再エネを通じた互恵的な地方活性化を共同で検討することで合意した。
GXフューチャー・コンソーシアム (GX:Green Transformation)持続可能な成長実現を目指す企業が、同様の取り組みを行う企業群や官公庁、大学と一体となり、経済社会システムの変革や新たな市場を作るための実践を行う場。
PPA Power Purchase Agreement(電力販売契約):施設所有者が提供する敷地や屋根などのスペースに再エネ発電設備の所有、管理を行う会社(PPA事業者)が設置した再エネ発電システムで発電された電力をその施設の電力使用者へ有償提供する仕組み。
  • オンサイトPPA:PPA事業者が需要家の敷地内に発電設備を設置して、電気を提供する仕組み
  • オフサイトPPA:PPA事業者が一般送電網を介して、特定の一般需要家に電気を提供する仕組み
Race To Zero 世界中の企業や自治体、投資家、大学などの非政府アクターに、2030年までに温室効果ガス排出量実質を半減するため、その達成に向けた行動をすぐに起こすことを呼びかける国際キャンペーン。
JCI Japan Climate Initiative「気候変動イニシアティブ」:2018年に、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどの情報発信や意見交換を強化するため、ゆるやかなネットワークとして、105団体の参加で設立された。
PRI Principles for Responsible Investment「責任投資原則」:2006年に国連の提唱により、国連環境計画と金融イニシアティブ、及び国連グローバル・コンパクトとのパートナーシップが打ち出した投資に対する原則。投資家に対して、企業の分析や評価を行う上で長期的な視点を持ち、ESG情報を考慮した投資行動をとることを求める。
生物多様性行動計画(BAP) Biodiversity Action Planの略。生物多様性保全のための国家または企業等団体における行動計画。国家の場合、生物多様性条約(CBD)締結国は、第6条によりBAPの策定が求められている。

参考文献

  1. 世界経済フォーラム(2026) “グローバルリスク報告書2026”
  2. (株)東急不動産R&Dセンター、(株)石勝エクステリア、東京都市大学環境学部(横田・北村・吉崎・飯島)(2016)
    「広域渋谷圏における生態系ネットワーク形成のための基礎調査」
  3. (株)東急不動産R&Dセンター、(株)石勝エクステリア、東京都市大学環境学部(横田・北村・吉崎・飯島)(2019)
    「広域渋谷圏における生態系ネットワーク形成のための建物緑化の手引き」
  4. (株)石勝エクステリア(2020) 「2019年度 東急プラザ表参道原宿「おもはらの森」生きもの調査のご報告」
  5. (株)地域環境計画(2023) 「広域渋谷圏における生物多様性に資する生態系ネットワーク調査」
  6. 芹ケ沢誌編集委員会 (1990) 「芹ケ沢誌」
  7. 茅野市(1988) 「茅野市史 下巻 近現代 民俗 」
  8. (株)地域環境計画(2024)「東急リゾートタウン蓼科 自然共生サイト認定申請および自然資源の保全・活用に向けた自然環境基礎調査報告書」
  9. PICRC(Palau International Coral Reef Center)(2025)「アラカベサン海洋保護区における第4次評価」

画像出典

  • *1© Google Earth / Airbus / CNES Airbus / Maxar Technologies
  • *2© Devonpike / Palau Fantail Rhipidura lepida photographed in Koror Palau in 2013 by Devon Pike / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
  • *3© thibaudaronson / Palau Flycatcher – 2 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
  • *4© JJ Harrison / Todiramphus chloris 2 - Laem Phak Bia / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
  • *5© Devonpike / Palau Fruit Dove Ptilinopus pelewensis photographed on Babeldaob Palau in 2013 by Devon Pike (cropped) / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
  • *6© Devonpike / Palau Frog Platymantis pelewensis photographed in Koror Palau in May 2013 / Wikimedia Commons / CC BY 4.0など一部除く
  • *7© Diego Delso / Hawksbill sea turtle (Eretmochelys imbricata), Ras Muhammad National Park, Egypt / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0
  • *8© Makoto Uesugi
  • *9© Derek Keats / The green seaweed, Caulerpa serrulata, at Ponta do Ouro, Mozambique / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0
  • *10© JJ Harrison / Dugong dugon (cropped) / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
  • *11© Darren Obbard / Carcharhinus melanopterus 261420865 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
  • *12© Charles J. Sharp / Giant_clam_(Tridacna_gigas)_Michaelmas_Cay / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0

本レポートの「脱炭素社会に向けた移行計画」等は以下を参照して作成しています。

  • Task Force on Climate-related Financial Disclosures(TCFD)
    • “Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures”
    • “Guidance on Metrics, Targets, and Transition Plans”
  • CDP
    • “Climate Transition Plan: Discussion Paper”
  • Transition Plan Taskforce(TPT)
    • “The Transition Plan Taskforce Disclosure Framework Consultation”
  • United Nations’ High‑Level Expert Group on the Net Zero Emissions Commitments of Non-State Entities(UN HLEG)
    • “Integrity Matters: Net Zero commitments by Businesses, Financial Institutions, Cities and Regions”
  • Task Force on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)
    • “Recommendations of the Taskforce on Nature-related Financial Disclosures”
TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures表紙
CDP: Climate Transition Plan: Discussion Paper表紙
TPT: The Transition Plan Taskforce Disclosure Framework Consultation表紙
Integrity Matters: Net Zero commitments by Businesses, Financial Institutions, Cities and Regions表紙
TNFD: Recommendations  of the Taskforce on Nature-related  Financial Disclosures表紙

将来見通し等に関する注意事項

本資料に記載されている業績見通しなどの将来に関する記述等は、2026年7月現在、当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基いており、当社としてのその実現を約束する趣旨のものではありません。実際の業績などは、さまざまな要因により大きく異なる可能性があります。

東急不動産ホールディングス(株)
環境
気候変動

方針

方針 東急不動産ホールディングスグループは、気候変動が事業活動に大きな影響を与える重要な環境課題であると認識しています。2020年1月「サステナ...

環境
気候変動

マネジメント体制

マネジメント体制 当社グループでは、東急不動産ホールディングス社長(委員長)、東急不動産ホールディングス執行役員を構成メンバーとした「東急不動産...

環境
気候変動

環境に関する取締役会報告

環境に関する取締役会報告 東急不動産ホールディングス(株)では、気候変動を含む環境課題や人権・労働などのグローバルな社会課題は当社グループの事業...

環境
気候変動

目標と取組み・実績

目標と取組み・実績 定量的CO₂削減目標の設定 中・長期 定量目標 定量的削減目標の達成状況 当社グループは、2050年...

環境
気候変動

東急不動産運営施設(オフィスビル、商業施設、リゾート施設)におけるCO₂排出量削減・エネルギー消費量削減

投資プロセスでの目標 ① 電気設備     LED灯の導入、エレベータ制御機器や受電設備の更新等 ② 給排水衛生設備  ...

環境
気候変動

GHG(CO2)排出量データ

GHG(CO₂)排出量(実績・目標) GHG排出量

環境
気候変動

エネルギー使用量

エネルギー使用量 エネルギー使用量

環境
気候変動

気候変動を回避するための公共政策への賛同

気候変動を回避するための公共政策への賛同 東急不動産(株)は東京都が定める「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」に取り組んでいます。 ...

環境
気候変動

当社気候変動方針と一貫性をもつ業界団体における気候変動への取組み

当社気候変動方針と一貫性をもつ業界団体における気候変動への取組み (一般社団法人)不動産協会では「不動産業における脱炭素社会実現に向けた⻑期ビジ...

環境
気候変動

気候変動を回避する活動への取組み・支持・関与

気候変動を回避する活動への取組み・支持・関与 東急不動産ホールディングスグループは、気候変動が事業活動に大きな影響を与える重要な環境課題であると...

環境
気候変動

リスク管理プロセス

東急不動産(株)では、台風や震災等の自然災害対策として以下の管理プロセスを実施しています。 リスク管理プロセス 東急不動産(株)では、台風...

環境
気候変動

再生可能エネルギー事業

再生可能エネルギー事業 再生可能エネルギー事業の推進 再生可能エネルギー事業におけるSDGs目標 東急不動産ホールディン...

環境
気候変動

再生可能エネルギーの利用

再生可能エネルギーの利用 当社グループでは、さまざまな事業で太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用しています。リゾートホテル施設の「パラオ・...

環境
気候変動

不動産プロパティのエネルギー効率を測定するビル管理システム​

東急不動産ホールディングス(株)はエネルギー管理システムによって全ての不動産プロパティのエネルギー効率を測定し、今後の改善施策に活用しています。 ...

環境
気候変動

炭素集約的な設備の段階的廃止

東急不動産(株)が運営管理しているオフィスビルや商業施設などでは、エネルギー効率が悪く炭素集約的な設備を、更新時にエネルギー効率の高い設備に入れ替える...

環境
気候変動

CO₂排出量の削減

CO₂排出量の削減 オフィスビルにおけるCO₂排出量の削減 当社グループでは、省エネ設備導入や入居テナントさまとの協力により、管理するオフ...

環境
気候変動

マンションにおけるCO2排出量の削減

総戸数356戸の「ブランズシティ品川勝島」は、東急不動産(株)、(株)東急コミュニティーなど東急グループの総合力で省エネルギーに取り組む マンシ...

環境
気候変動

東急コミュニティ―技術研修センターNOTIA Nearly ZEB取得

ZEB・ZEHへの取り組み 東急コミュニティー技術研修センター NOTIA Nearly ZEB取得 (株)東急コミュニティーは、東急コミ...

環境
気候変動

脱炭素経営による企業価値向上促進プログラム

社内炭素税(ICP) 東急不動産ホールディングス(株)では、2018年度に環境省が主催した「脱炭素経営による企業価値向上促進プログラム」に参加し...

環境
気候変動

第三者独立検証

第三者の独立した検証 東急不動産ホールディングスグループでは、非財務情報の信頼性向上のため、第三者の独立した検証を受けています。 気候変動について...

環境
TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

TCFD・TNFD提言に基づく統合開示

東急不動産ホールディングス株式会社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD;Task Force on Climate-related Fin...

環境
TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

はじめに・サマリー・インデックス

INTRODUCTION はじめに ~世界が目指すネットゼロおよびネイチャーポジティブ~ 気候変動や自然の損失など、地球環境をめぐる問題は年々...

環境
TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

ガバナンス

気候 自然 ガバナンス ガバナンス 「ガバナンス」...

環境
TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

戦略 ~気候・自然関連のシナリオ分析~

戦略 気候・自然関連のシナリオ分析 気候 自然 戦略 気...

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TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

戦略 ~自然関連のLEAPアプローチに基づく分析~

自然関連のLEAPアプローチに基づく分析 自然 戦略 L E ...

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TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

リスク・インパクト管理

リスク・インパクト管理 気候 自然 リスク・インパクト管理 ...

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TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

測定指標・ターゲット

測定指標・ターゲット 気候 測定指標・ターゲット 気候変動に関するターゲット...

環境
TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

脱炭素社会への移行計画

脱炭素社会への移行計画 気候 ロードマップ ...

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TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

気候・自然関連の取り組み

気候・自然関連の取り組み 気候関連の取り組み事例 再エネ電力100%導入の分譲マンション ブランズタワー谷町...

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TCFD・TNFD提言等に基づく統合開示

参考資料・用語と解説

参考資料・用語と解説 Appendix:TCFD・TNFDフレームワークの構成 TCFDおよびTNFDフレームワークは、4つの柱で構成された開...

環境
TCFD提言に基づく開示

TCFD提言に基づく開示(扉ページ)​

東急不動産ホールディングスグループでは、環境への取り組みを真の企業価値とするため、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」において「環境経営...

環境
TCFD提言に基づく開示

ガバナンス

ガバナンス サステナビリティ委員会による気候関連リスク・機会の評価・管理 東急不動産ホールディングス(株)は、代表取締役社長(委員長)および東...

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TCFD提言に基づく開示

戦略

戦略 気候変動を始めとする地球環境をめぐるさまざまな問題は年々深刻化しています。課題解決の重要性が高まるなか、当社グループは事業において環境貢献...

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TCFD提言に基づく開示

リスク管理

リスク管理 気候関連リスクの識別・評価プロセス 東急不動産ホールディングス(株)では、長期ビジョン「GROUP VISION 20...

環境
TCFD提言に基づく開示

指標と目標

指標と目標 長期ビジョン「GROUP VISION 2030」における気候変動に関する目標 東急不動産ホールディングスグループは、2021年に...

環境
脱炭素社会への移行計画

脱炭素社会への移行計画

東急不動産ホールディングスグループでは、環境への取り組みを真の企業価値とするため、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」において「環境経営...

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生物多様性

方針

方針 東急不動産ホールディングスグループは、事業活動における土地開発や資材調達などが生態系サービスに大きく依存していることから、生物多様性保全を...

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生物多様性

マネジメント体制

マネジメント体制 当社グループでは、生物多様性の課題に対し、代表取締役社長直轄の「サステナビリティ委員会」を設置しており、その下部組織である「サ...

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生物多様性

事業地における計画管理

事業地における計画管理 生物多様性行動計画(Biodiversity Action Plan:BAP) 当社グループでは、すべての事業地域...

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生物多様性

「外来生物対策マニュアル」の設定

「外来生物対策マニュアル」の設定 外来生物法(環境省)による「外来生物」とは、もともと日本に生息していなかった種であり、人間の活動により、意図的...

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生物多様性

生物多様性リスク評価(生物多様性の生息環境の開示)《新規プロジェクト》

生物多様性リスク評価(生物多様性の生息環境の開示)~ プロジェクトにおける生態系調査の実施と緑化による生物多様性保全 《新規プロジェクト》当社グ...

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生物多様性

生物多様性リスク評価(生物多様性の生息環境の開示)《既存プロジェクト》

《既存プロジェクト》たとえば、商業施設「東急プラザ表参道原宿」の屋上テラス「おもはらの森」では、緑地の生態系の推移を把握するために、自然環境保全の専門...

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生物多様性

生物多様性リスク評価(生物多様性の生息環境の開示)「東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー」

「東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー」では、生物とのふれあい・農体験などを通して、環境教育や環境負荷の低減に取り組んでいます。「雨・水・島・水田・香...

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生物多様性

生物多様性リスク評価(生物多様性の生息環境の開示)「たんばらスキーパーク」

「たんばらスキーパーク」では、群馬県および国際自然保護連合IUCNのレッドリストに、おのおの準絶滅危惧および軽度懸念として登録されたモリアオガエルの保...

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生物多様性

生物多様性認証制度への参加

生物多様性認証制度への参加 体系的導入 30 by 30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2021年6月に英国で開催されたG7サミットにおいて...

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生物多様性

生物多様性認証制度への参加実績 ~ 「JHEP認証」の最高ランク(AAA)を取得

「JHEP認証」の最高ランク(AAA)を取得 東急不動産(株)は、東京急行電鉄(株)(現:東急(株))と共同事業の商住複合施設「二子玉川ライズ」...

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生物多様性

生物多様性の損失を軽減するために行っている対話

生物多様性の損失を軽減するために行っている対話 政府との対話 東急不動産ホールディングス(株)は、環境省が主催する"2030年までに生物多様性...

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TNFD提言に基づく開示

TNFD提言にもとづく開示

東急不動産ホールディングスグループでは、長期ビジョン及び中期経営計画2025において環境経営を全社方針としており、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多...

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TNFD提言に基づく開示

はじめに・サマリー・インデックス

INTRODUCTION はじめに ~世界が目指すネイチャーポジティブ~ 国際的に自然損失の阻止・回復の重要性の認識が高まる中(※1参照)、2...

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TNFD提言に基づく開示

一般要件

TNFDを踏まえた自然関連情報開示 一般要件 TNFDは、4つの柱で構成された14項目の開示提言の上に、開示全体で横断的に適用すべき6つの「一...

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TNFD提言に基づく開示

ガバナンス

ガバナンス ガバナンス TNFDの「ガバナンス」では、自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に関...

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TNFD提言に基づく開示

戦略

戦略 戦略 「戦略」の開示の全体像 TNFDの「戦略」では、自社が特定した自然関連の依存・イ...

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TNFD提言に基づく開示

リスクとインパクト管理

リスクとインパクト管理 リスクとインパクト管理 特定・評価プロセス TNFDの「リスクとイン...

環境
TNFD提言に基づく開示

測定指標とターゲット

測定指標とターゲット P 測定指標とターゲット...

環境
汚染と資源

【汚染】方針

汚染 方針 東急不動産ホールディングスグループでは、事業活動における汚染物質の排出を削減することが企業の責務のひとつであると考...

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汚染と資源

【汚染】マネジメント体制

マネジメント体制 当社グループでは、汚染物質排出の課題に対し、代表取締役社長直轄の「サステナビリティ委員会」を設置しており、その下部組織である「...

環境
汚染と資源

【汚染】目標と取組み・実績

目標と取組み・実績 汚染を削減するための目標 当社の運営管理する商業施設では、空調設備などの稼働に伴いNOx、SOxを排出していますが、その排...

環境
汚染と資源

【汚染】住まいの空気環境を汚染から防ぐための基準

東急不動産(株)では、住まいの空気環境を建築材料に起因する汚染から守るために分譲マンションに独自の性能基準を設けています 住まいの空気環境を汚染...

環境
汚染と資源

【汚染】有害物質の取り扱い

当社グループのオフィスビル、商業施設、リゾート施設では、関連法令に基づいて有害物質の適正な管理・処理を行っています。 有害物質の取り扱い ...

環境
汚染と資源

【汚染】NOx、SOxの排出量測定

NOx、SOxの排出量測定 東急不動産(株)では、大気汚染防止法の規定により該当するオフィスビルや商業施設などの運営管理施設において、ばいじんの...

環境
汚染と資源

【廃棄物】方針

廃棄物 方針 東急不動産ホールディングスグループは、事業活動の拡大により廃棄物の発生が増加することから、廃棄物の発生削減と適切...

環境
汚染と資源

【廃棄物】マネジメント体制、目標と取組み・実績

マネジメント体制 当社グループでは、廃棄物処理の課題に対し、代表取締役社長直轄の「サステナビリティ委員会」を設置しており、その下部組織である「サ...

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汚染と資源

【廃棄物】プロセス型の廃棄物削減目標の設定

プロセス型の廃棄物削減目標の設定 東急不動産(株)では運営管理している施設について、以下のプロセス型の目標を設定し、廃棄物削減に取り組んでいます...

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汚染と資源

【廃棄物】廃棄物量データ

廃棄物量データ ESGデータ集:廃棄物排出量

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汚染と資源

【廃棄物】リフォームで廃棄物削減

当社グループでは、住まいなどのリフォームにより、廃棄物削減に取り組んでいます。(株)東急ホームズの住まいまるごと再生システム「暮らしアップGREEN」...

環境
汚染と資源

【廃棄物】環境マネジメントシステム認証を受けている事業所比率

環境マネジメントシステム認証を受けている事業所比率 当社グループでは事業活動によって生じる環境への影響を継続的に改善する取り組みを行っています。...

環境
汚染と資源

【廃棄物】外部と協働した廃棄物・原材料使用の削減への取組み

外部と協働した廃棄物・原材料使用の削減への取組み 当社グループでは継続的に廃棄物再生、資源循環の取り組みを行っています。 食品廃棄物の活...

環境
汚染と資源

【廃棄物】ライフサイクル分析の活用​

ライフサイクル分析の活用 東急不動産ホールディングス(株)では不動産の開発・運営・管理に関わる幅広い事業を展開していますが、その中で建物のライフ...

環境
汚染と資源

【資源利用】方針

資源利用 方針 東急不動産ホールディングスグループは、事業活動の拡大において必要となる資源が増加する一方で、存在する資源は有限...

環境
汚染と資源

【資源利用】マネジメント体制、目標と取組み・実績

マネジメント体制 当社グループでは、資源利用の課題に対し、代表取締役社長直轄の「サステナビリティ委員会」を設置しており、その下部組織である「サス...

環境
汚染と資源

【資源利用】資源の使用を削減するための目標と実績

資源の使用を削減するための目標と実績 定量目標と実績 東急不動産(株)は本社ビルにおける廃棄物再利用率の2030年度目標を80%とし、リサイク...

環境
汚染と資源

【資源利用】木材資源利用で循環型サイクルを形成

木材資源利用で循環型サイクルを形成 「緑をつなぐ」プロジェクトは、当社グループがお客さまなどステークホルダーと一緒に、森林を保全する取り組みです...

環境
汚染と資源

【資源利用】循環型社会に向けての研究開発投資

東急不動産ホールディングスは家具のリサイクル事業を推進する企業に出資しています。 循環型社会に向けての研究開発投資 東急不動産ホールディン...

環境
水使用

方針

方針 東急不動産ホールディングスグループは、社会の基本的インフラとして、水資源保全を重要な環境課題であると認識しています。 昨今、砂漠化な...

環境
水使用

マネジメント体制、目標と取組み・実績

マネジメント体制 当社グループでは、水資源保全の課題に対し、代表取締役社長直轄の「サステナビリティ委員会」を設置しており、その下部組織である「サ...

環境
水使用

水の管理計画について

水使用の削減対策 水の管理計画について 東急不動産(株)では、運営管理する全ての施設において水管理計画を策定しています。目標である前年度の...

環境
水使用

節水設備導入による水使用の削減

節水設備導入による水使用の削減 2013年に自然調和型リゾートホテルとして開業した「東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山&amp...

環境
水使用

多摩川地域の取り組み~河川流域の環境保全

多摩川地域の取り組み~河川流域の環境保全 当社グループでは、東急グループの東急財団(旧 とうきゅう環境財団)により、多摩川および流域における調査...

環境
水使用

水不足地域での取り組み

水不足地域での取り組み エンゲージメント、取水量など 東急不動産(株)はホテル、ゴルフ場、別荘地などの開発運営を行っていますが、水資源が不...

環境
水使用

水不足地域での事業活動

水不足地域での事業活動 パラオ共和国は慢性的に水不足に悩まされています。パラオ パシフィック リゾートでは、開業時より独自の上水道設備を持ち、自...

環境
水使用

水使用量削減のための外部との協働取り組み

外部との協働 水使用量削減のための外部との協働取り組み 東急不動産ホールディングス(株)は一般社団法人不動産協会の正会員として、環境委員会...

環境
水使用

地方自治体と連携した産業エコロジーの実施

地方自治体と連携した産業エコロジーの実施 同じ地域で活動する他社と 東京ポートシティ竹芝では企業(テナント)と協働して排水を再利用していま...

環境
水使用

水関連リスクのコスト

水関連リスクのコスト 東急不動産(株)では2022年度における水関連リスクのコストは44百万円でした。

環境
水使用

水質/水量に関する許可・基準・規制違反について

水質/水量に関する許可・基準・規制違反について ESGデータ集:環境関連事故件数

環境
水使用

第三者の独立した検証

第三者の独立した検証 東急不動産ホールディングスグループでは、非財務情報の信頼性向上のため、第三者の独立した検証を受けています。 水使用については...

環境
サプライチェーン(環境)

方針

方針 東急不動産ホールディングスグループが関わる不動産事業においては、住宅・オフィスビル・商業施設・リゾート施設などの開発から運営は長期間にわた...

環境
サプライチェーン(環境)

マネジメント体制

マネジメント体制 当社グループでは、サプライチェーンにおける環境の取り組みに対し、代表取締役社長直轄の「サステナビリティ委員会」を設置しており、...

環境
サプライチェーン(環境)

目標と取組み・実績

目標と取組み・実績 LEED、CASBEEなど環境性能認証の取得目標と結果 《定量的な目標》 各年度100% ...

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サプライチェーン(環境)

不動産ポートフォリオにおける水使用に関する目標

不動産ポートフォリオにおける目標・実績 水使用 保有する不動産ポートフォリオにおける床面積あたりの水資源利用を、2030年度まで前年度比低減するこ...

環境
サプライチェーン(環境)

ステークホルダーへの環境意識浸透

従業員の環境意識やサステナビリティ意識を高めるためのプログラムの提供とトレーニング ステークホルダーへの環境意識浸透 従業員の環境意識やサ...

環境
サプライチェーン(環境)

サプライヤーへの環境方針の浸透

サプライヤーへの環境方針の浸透 東急不動産(株)はサプライヤーである建設会社へサステナブル調達方針を配布し、サプライヤーの環境方針への対応状況を...

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サプライチェーン(環境)

グリーンリース契約の締結​

東急不動産ホールディングス(株)では、運営管理しているオフィスビル、商業施設、住宅の賃貸借契約の一部にグリーンリース条項を導入しています。 テナ...

環境
サプライチェーン(環境)

テナントと連携してエネルギー管理システムを運用

テナントと連携してエネルギー管理システムを運用 東急不動産(株)と東急不動産SCマネジメント(株)は、「あべのキューズモール」(大阪市阿倍野区)...

環境
サプライチェーン(環境)

環境課題への対応

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン環境経営分科会へ参加しています。 環境課題への対応 環境インパクトに関するイニシアチブへの参...

環境
サプライチェーン(環境)

グリーンフィールド開発に関するコミットメント

グリーンフィールド開発に関するコミットメント グリーンフィールド開発に関するコミットメント 東急不動産(株)は未利用地・低利用の農耕地・緑...

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サプライチェーン(環境)

エネルギーと水利用削減対策

エネルギーと水利用削減対策 全施設でエネルギーデータを集計し効率的に利用 東急不動産(株)は、自社で保有または使用しているオフィスビル・商業施...

環境
サプライチェーン(環境)

マンションのエネルギー管理

(株)東急コミュニティーは、エネルギー管理事業者の「MEMSアグリゲータ」として経済産業省に選定されています。管理受託するマンションに対して、MEMS...

環境
サプライチェーン(環境)

節水設備導入による上水利用量の節減

節水設備導入による上水利用量の節減 2013年に自然調和型リゾートホテルとして開業した「東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山&VIA...

環境
サプライチェーン(環境)

雨水利用による上水利用量の節減

雨水利用による上水利用量の節減 東急不動産(株)開発したオフィスビル「霞が関東急ビル」では、上水利用量を節減するために、屋上に降った雨水...

環境
サプライチェーン(環境)

生物多様性への取り組み

当社は経団連自然保護協議会の一員として、NGOと対話(エンゲージメント)を行っています。 生物多様性への取り組み 生物多様性の損失を軽...

環境
サプライチェーン(環境)

生物多様性コミットメントのサプライチェーンへの適用

東急不動産ホールディングス(株)はサプライヤーである建設会社へサステナブル調達方針を配布すると同時にアンケートを実施し、2030年度の環境方針対応率1...

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サプライチェーン(環境)

森林破壊ゼロへの取組み

森林破壊ゼロへの取組み 国内で建設時に使用されるコンクリート型枠用合板パネルの多くは、南洋材(マレーシア、インドネシア産等)を原材料としており、...