方針

方針
東急不動産ホールディングスグループは、気候変動が事業活動に大きな影響を与える重要な環境課題であると認識しています。2020年1月「サステナブル調達方針」を策定し、事業活動のみならず商品・サービスのライフサイクルを通じて、エネルギーの効率的な利用と再生可能エネルギーの利用を推進し、温室効果ガスの排出が気候変動に与えるインパクトを抑えます。(「サステナブル調達方針」5)環境への配慮)
2014年に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書が公表されました。それによると、地球温暖化には疑う余地がなく、20世紀以降の温暖化は人間活動による可能性が極めて高いとされています。地球温暖化による気候変動は、海面上昇だけでなく、大雨・洪水の増加や干ばつなどの異常気象につながります。当社グループの事業では、スキー場の運営のように降雪量などの気象条件が直接的に事業活動に影響を与えるものだけでなく、事業に必要なさまざまな物資の調達が地球規模で困難になるなどの間接的な影響を受ける可能性があります。
当社グループはこのような背景に対し、2021年5月に全社方針の一つに【環境経営】を掲げ、脱炭素社会の実現に向けてすべての事業を通じた環境負荷低減(クリーンエネルギー普及など)を目指すことを【グループビジョン2030】に盛り込みました。具体的には、2050年ネットゼロエミッションをゴールとし、2030年目標をSBT1.5℃水準で認定を受けました。さらにSBTネットゼロ目標(2050年)にコミットし、併せてBusiness Ambition for 1.5℃にも賛同しています。
コミットメント
そのような課題認識のもと、当社グループでは、環境パフォーマンスをモニターした上で、事業拠点および保有するオフィスビル、商業施設、リゾート施設などにおけるエネルギーの効率的な利用と再生可能エネルギーの利用推進で温室効果ガスを削減し、事業活動が与える気候変動への影響を減らすことに取り組みます。また、当社グループにとって、省エネルギーに優れたオフィスビル、商業施設、リゾート施設などを開発・運営することは、事業機会の創出、競争力の向上につながると考えています。
当社グループは、設計会社・施工会社・利用されるお客さまなどのステークホルダーと協働して、低炭素社会の実現をめざし、環境意識の醸成を行うとともに、気候変動とエネルギー消費の課題に取り組みます。
タイトル
- 選択肢1
- 選択肢2
マネジメント体制

マネジメント体制
当社グループでは、東急不動産ホールディングス社長(委員長)、東急不動産ホールディングス執行役員を構成メンバーとした「東急不動産ホールディングスサステナビリティ委員会」を設置しています。年に2回定例会議を開催し、コンプライアンス、気候変動、社会貢献、ダイバーシティなどの重要課題について対処計画立案・実績確認を行なっています。その結果は東急不動産ホールディングスの代表取締役が最高責任者を務める取締役会に報告されます。
また、「東急不動産ホールディングスサステナビリティ委員会」の下部組織である「サステナビリティ協議会」において、グループ横断的にマネジメントを進めています。
「サステナビリティ協議会」はグループ各社の環境・サステナビリティ担当者で構成し、共通の方針に基づき、気候変動に影響を与える温室効果ガスについて横断的に年度目標の設定、実績の管理、情報共有を行うことで、関連法規に基づき適正な報告を行うとともに、事業活動を通じて削減に取り組んでいます。
タイトル
- 選択肢1
- 選択肢2
環境に関する方針の取締役会承認
環境に関する取締役会承認
東急不動産ホールディングス(株)では、気候変動を含む環境課題や人権・労働などのグローバルな社会課題は当社グループの事業活動に深く関わると認識し、2015年度、サステナビリティ各課題に対する方針を策定し、取り組んでいくことを決定しました。環境課題についても1998年に制定した基本理念を基に2011年に環境方針を含む環境ビジョンを制定しました。2021年度の長期経営方針では環境経営を掲げ、2050年のゼロエミッションを目標として、2030年SBT1.5°C目標の達成を目指すことをとしています。こうした環境に関する方針はすべて、当社の代表取締役社長が責任者として直轄するサステナビリティ委員会、グループ経営会議等を経て取締役会の承認を得ています。
目標と取組み・実績
目標と取組み・実績
定量的CO₂削減目標の設定
中・長期 定量目標
定量的削減目標の達成状況
- 当社グループは、2050年度には、CO₂排出量のネットゼロエミッションをめざしています。
- マイルストーンとして、2030年度までに床面積あたりのCO₂排出総量を、2019年度比で46.2%削減することをめざします。
プロセス型のCO₂削減目標の設定
東急不動産(株)では、自社がかかわる開発プロジェクトでは、事業形態に合わせてプロセス型の目標を設定しています。例えば、新規のマンション開発では、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく評価方法基準において「断熱等性能等級4」に適合する性能を備え、また、大規模商業施設の「東急プラザ銀座」では東京都が定める優良特定地球温暖化対策事業所の「準トップレベル事業所」同等性能を備えて開発するなどしています。
東急不動産運営施設(オフィスビル、商業施設、リゾート施設)におけるCO₂排出量削減・エネルギー消費量削減

- 投資プロセスでの目標
- ① 電気設備 LED灯の導入、エレベータ制御機器や受電設備の更新等
- ② 給排水衛生設備 節水型水栓導入、配管更新、ボイラーの更新等
- ③ 空調設備 空調設備更新、インバーター制御装置取付等
- 運営プロセスでの目標
- ①電気設備
- 照明点灯時間の見直し
- 不要照明の消灯
- 照度の見直し
- ②給排水衛生設備
- 冷温水の温度設定の見直し
- 運転時間の見直し
- 貯湯槽、浴槽、プール等の温度設定、容量の見直し
- ③空調設備
- 適正温度運転
- 不要空調の停止および外気導入と全熱交換機の効率的な運用
- 空調機、換気扇、厨房排気フードのフィルター、フィン等の清掃
- ①電気設備
気候変動を回避するための公共政策への賛同

気候変動を回避するための公共政策への賛同
東急不動産(株)は東京都が定める「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」に取り組んでいます。
当社気候変動方針と一貫性をもつ業界団体における気候変動への取組み
当社気候変動方針と一貫性をもつ業界団体における気候変動への取組み
(一般社団法人)不動産協会では「不動産業における脱炭素社会実現に向けた⻑期ビジョン」を発表し、温暖化対策を推進するとともに、日本政府へ不動産関連諸制度にいて政策提言、調査・研究を実施しています。当社の気候変動方針は不動産協会の立場と一貫性が保たれているため、協会の副理事長として当社取締役会長が参加しているほか、当社の社員を1名協会へ派遣し、気候変動に対する方針の検討・策定に積極的に働きかけています。また不動産協会で年2回程度開催される環境委員会へサステナビリティ推進部門長が参加、さらに年6回程度開催される2つの下部ワーキンググループ(オフィスビル、住宅)に当該部門の担当が参加しており、国の政策を反映した業界団体としての気候変動戦略策定に参画すると共に、国や東京都へ直接または上部団体の経団連を通じた政策要望を行っています。
更に、長期ビジョンで定めた2030年度までにGHG排出量ー46.2%を達成するため、環境委員会においてGHGマニュアルやゼネコンへのGHG排出量等提出依頼ルールを作成する等により、サプライヤーチェーンにおける環境インパクトの低減に取り組んでいます。
また、東急不動産(株)では一般社団法人再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)についても当社の気候変動方針は不動産協会の立場と一貫性が保たれているため代表理事をつとめており、、温室効果ガス削減に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大及び長期安定供給を実現するための課題抽出や解決に向けた提言・提案に積極的に取り組んでいます。
気候変動を回避する活動への取組み・支持・関与
気候変動を回避する活動への取組み・支持・関与
東急不動産ホールディングスグループは、気候変動が事業活動に大きな影響を与える重要な環境課題であると認識しています。そのような認識のもと、当社グループでは、事業拠点および保有するオフィスビル、商業施設、リゾート施設などにおける再生可能エネルギーの利用推進とエネルギーの効率的な利用とで温室効果ガスを削減し、事業活動が気候変動へ与える影響を減らすことに取り組んでいます。
リスク管理プロセス
東急不動産(株)では、台風や震災等の自然災害対策として以下の管理プロセスを実施しています。
リスク管理プロセス
東急不動産(株)では、台風や震災等の自然災害対策として以下の管理プロセスを実施しています。
- BCPマニュアル整備
- BCP当番・BCP待機要員制度
- 物件被害集計システム等、BCPシステムの運用・改善
- 災害時対策として自家発電機を設置
再生可能エネルギー事業


再生可能エネルギー事業
再生可能エネルギー事業の推進
再生可能エネルギー事業におけるSDGs目標

東急不動産ホールディングスは、常に社会課題と向き合いながら幅広く事業を展開しています。再生可能エネルギーの分野においては、2014年に香川県で太陽光発電事業に参入したことを皮切りに「ReENE(リエネ)」のブランドで事業に取り組み、「脱炭素化への貢献」「エネルギー自給率向上」「地域貢献」をキーワードに着実に事業を拡大し、2019年4月には「RE100」にも加盟をしています。また、中期経営計画の成長戦略のひとつである「循環型再投資事業の領域拡大」においても、本事業を新たな投資対象のひとつとしており、保有・運営する太陽光などの発電所は、開発中を含め全国50施設に、また定格容量も1GW(=1,000MW)を超えるまでに成長しました。
2017年から資本業務提携をスタートしている、再生可能エネルギー事業者のリニューアブル・ジャパン株式会社とその後も継続して提携を強化しており、現在は日本再生可能エネルギーインフラ投資法人にもスポンサーとして参画をしています。
2019年4月には北海道初の蓄電池併設型風力発電所となる「リエネ松前風力発電所(北海道松前郡)」が、また同じく蓄電池併設型発電所としては国内最大級となる「すずらん釧路町太陽光発電所(北海道釧路郡)」が2020年2月から運転を開始しています。今後は太陽光や風力発電事業だけでなく、バイオマス発電事業や次世代再生可能エネルギー事業などにアセットを拡大する予定です。
再生可能エネルギーが日本の主力電源として位置づけられ、クリーンエネルギーのニーズや社会的重要性が一層高まる中、発電事業者や関連事業者は様々な機能や専門性が求められています。そこで東急不動産は、2019年12月にリニューアブル・ジャパン株式会社をはじめとする5社共同で「一般社団法人再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)」を設立しました。今後関係省庁と議論しながら、長期に安定的に供給できる仕組み作りを行い、継続して事業を拡大していきます。
再生可能エネルギーの利用

再生可能エネルギーの利用
当社グループでは、さまざまな事業で太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用しています。リゾートホテル施設の「パラオ・パシフィック・リゾート」や「東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山&VIALA」では、太陽光発電システムを導入しています。また、商業施設の「東急プラザ表参道原宿」では、屋上に風力発電装置を2基設置し、自然エネルギーを取り入れています。


(パラオ・パシフィック・リゾート、東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山 & VIALA)

タイトル
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- 選択肢2
不動産プロパティのエネルギー効率を測定するビル管理システム
東急不動産ホールディングス(株)はエネルギー管理システムによって全ての不動産プロパティのエネルギー効率を測定し、今後の改善施策に活用しています。
設備機器・システムでの対応
不動産プロパティのエネルギー効率を測定するビル管理システム
東急不動産ホールディングス(株)はエネルギー管理システムによって全ての不動産プロパティのエネルギー効率を測定し、今後の改善施策に活用しています。具体的にはまず、継続的に運営管理している施設について、そこで使用する電気・ガスなどのエネルギーを測定し、定期的に集計しています。更に、シミュレーションプログラムを用いてビル・商業施設の改修工事、運用改善による省エネ効果を推計し、具体的な対策を推進しています。
炭素集約的な設備の段階的廃止
東急不動産(株)が運営管理しているオフィスビルや商業施設などでは、エネルギー効率が悪く炭素集約的な設備を、更新時にエネルギー効率の高い設備に入れ替えることで、段階的に脱炭素化を進めています。
炭素集約的な設備の段階的廃止
東急不動産(株)が運営管理しているオフィスビルや商業施設などでは、エネルギー効率が悪く炭素集約的な設備を、更新時にエネルギー効率の高い設備に入れ替えることで、段階的に脱炭素化を進めています。
オフィスビルにおけるCO₂排出量の削減

新目黒東急ビル
当社グループでは、省エネ設備導入や入居テナントさまとの協力により、管理するオフィスビルのCO₂排出量削減を行っています。
CO₂排出量の削減
オフィスビルにおけるCO₂排出量の削減
当社グループでは、省エネ設備導入や入居テナントさまとの協力により、管理するオフィスビルのCO₂排出量削減を行っています。取り組みを進めることで、(一社)不動産協会の策定した「不動産業環境実行計画」の定める新築オフィスビルの省エネ数値目標達成に向けて、先進的な役割を果たせるようめざしています。
東急不動産(株)が開発した「新目黒東急ビル」では、BEMS(ビル・エネルギー管理システム)モニターを各フロアに設置し、入居されている方々が自らエネルギー使用量を確認できるよう、見える化を実現するとともに、設置した自然換気装置や自動調光装置などを通じてビル全体のエネルギー使用量軽減を実行しています。


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マンションにおけるCO₂排出量の削減

ブランズシティ品川勝島
総戸数356戸の「ブランズシティ品川勝島」は、東急不動産(株)、(株)東急コミュニティーなど東急グループの総合力で省エネルギーに取り組む
マンションにおけるCO₂排出量の削減
総戸数356戸の「ブランズシティ品川勝島」は、東急不動産(株)、(株)東急コミュニティーなど東急グループの総合力で省エネルギーに取り組む大型マンションです。世界初のマンション向け家庭用燃料電池「エネファーム」の全戸採用や、家庭の電力消費見える化システムHEMSの導入などにより、CO₂排出量を6割以上削減すると試算され、建築環境総合性能評価システム「CASBEE」で最高位のSランク(自己評価)を得ています。省CO₂効果を検証し、居住者へフィードバックするとともに、さらなる省エネルギーの実現をめざします。このような取り組みが評価され、国土交通省「住宅・建築物省CO₂先導事業」に採択されています。


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東急コミュニティ―技術研修センターNOTIA Nearly ZEB取得
ZEB・ZEHへの取り組み
東急コミュニティー技術研修センター NOTIA Nearly ZEB取得
(株)東急コミュニティーは、東急コミュニティー技術研修センターNOTIAにおいて、国土交通省が主導する建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の「Nearly ZEB」認証を取得しました。
ZEBとは、建築・設備上の省エネルギー技術によってエネルギー消費を極力小さくする一方、太陽光発電などによってエネルギーを自給し(創エネ)、トータルのエネルギー使用量の削減を目指す建物を指します。NOTIA は東京都内の事務所ビルとしては初めて、エネルギー削減量75%の「Nearly ZEB」を取得しました。
(株)東急コミュニティーは総合不動産管理会社として、Nearly ZEB物件のさらなる省エネ運用を通じ、省エネ効果75%以上の運用実績を目指します。建物の省エネ運用に関するノウハウを蓄積し、営業・提案活動へ展開してまいります。


脱炭素経営による企業価値向上促進プログラム
社内炭素税(ICP)
東急不動産ホールディングス(株)では、2018年度に環境省が主催した「脱炭素経営による企業価値向上促進プログラム」に参加して内部炭素価格について研究した後、TCFD提言で推奨されているICP(インターナルカーボンプライシング)を2021年度に導入し、2022年度には経営会議上程案件での「見える化」を開始しました。
第三者独立検証

第三者の独立した検証
東急不動産ホールディングスグループでは、非財務情報の信頼性向上のため、第三者の独立した検証を受けています。
2022年度は、温室効果ガス排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3(カテゴリー1-8及び11-13)及びエネルギー使用量)を対象としました。
環境データ検証意見書(GHG排出量等)

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