TNFD disclosure
国際的に自然損失の阻止・回復の重要性の認識が高まる中(※1参照)、2022年12月に開催された第15回国連生物多様性条約締約国会議(COP15)において、愛知目標(2010年)以来の生物多様性に関する国際目標として「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」が採択されました。
GBFでは、2050年ビジョン「Living in harmony with nature(自然と共生する社会)」のもと、2030年までに「生物多様性の損失を止め反転させ、自然を回復軌道に乗せるための緊急的な行動をとる」という「ネイチャーポジティブ(※2)」を目指すミッションや、23の具体的なターゲットが定められました。ターゲットには、生物多様性へのネガティブインパクトを減らしポジティブインパクトを拡大させるため、企業が事業における生物多様性への依存、インパクトやリスクを把握・開示することも盛り込まれています。
これを踏まえ当社は、事業にかかわる自然関連課題および、ネイチャーポジティブに向けた貢献度の把握を始めました。
今後10年間のリスクの深刻度ランキング | |
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1 | 異常気象 |
2 | 地球システムの危機的変化 |
3 | 生物多様性の損失・生態系の崩壊 |
4 | 天然資源不足 |
5 | 誤報と偽情報 |
6 | AI技術がもたらす悪影響 |
7 | 非自発的移住 |
8 | サイバーセキュリティの不安 |
9 | 社会の二極化 |
10 | 汚染 |
出典:WWF
TNFDフレームワークは、4つの柱で構成された14項目の開示提言と、4つの柱に横断的に適用される基本的な考え方である6つの「一般要件」で構成されており、これら項目に関する開示が推奨されています。
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一般要件 | |||
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① マテリアリティの適用 ② 開示のスコープ ③ 自然関連課題の地域性 ④ その他のサステナビリティ課題との統合 ⑤ 考慮した時間軸 ⑥ 先住民、地域コミュニティ、影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント |
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ガバナンス | 戦略 | リスクとインパクト管理 | 測定指標とターゲット |
自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に関する ガバナンスを開示する。 | 自然関連の依存・インパクト、リスク、機会が、ビジネス モデル、戦略、財務計画に 与える影響を、その情報が重要である場合に開示する。 | 自然関連の依存、インパクト、リスク、機会を特定・評価・優先順位付け・モニタリングするために使用しているプロセスを開示する。 | 重要な自然関連の依存、インパクト、リスク、機会を評価・管理するために使用される測定指標とターゲットを開示する。 |
A) 自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に関する取締役会の監督 B) 自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の評価と管理における経営者の役割 C) 自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の評価・対応におけるステークホルダーとのエンゲージメント |
A) 特定した自然関連の依存・インパクト、リスク・機会 B) 依存・インパクト、リスク・機会が戦略や財務計画に与える影響 C) シナリオを踏まえたリスク・機会に対する戦略のレジリエンス D) 優先地域の基準を満たす資産や活動の場所 |
A) 直接操業/上下流のバリューチェーンにおける依存・インパクト、リスク・機会を特定・評価・優先順位付けするためのプロセス B) 依存・インパクト、リスク・機会を管理するためのプロセス C) 自然関連リスクの特定・評価・管理プロセスの全社的リスク管理への統合 |
A) 重大な自然関連リスク・機会を評価・管理する ために使用する測定指標 B) 依存・インパクトを評価し管理するために使用 する測定指標 C) 自然関連の依存・インパクト、リスク・機会を 管理するために使用するターゲットとそれに応じたパフォーマンス |
TNFDでは、企業が自然関連の依存・インパクトやリスク・機会を把握するための任意アプローチである「LEAP」が提示されています。下表は、TNFDで示されている、LEAPの各フェーズが、前頁に示した14項目の開示提言のいずれに対応しているかを整理したものです。本レポートでは、LEAPアプローチを参考に検討した結果を、「一般要件」および「TNFD開示提言」に沿って開示しており、該当ページの右上にアイコンで表しています。
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Locate 自然との接点の発見 |
Evaluate 依存/インパクトの診断 |
Assess 重要なリスク/機会の評価 |
Prepare 対応/報告のための準備 |
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L1: ビジネスモデル/ バリューチェーンの範囲 L2: 異存・インパクトのスクリーニング L3: 自然との接点 L4: 影響を受けやすい地域との接点 |
E1: 生態系サービス/インパクト ドライバーの特定 E2: 依存・インパクトの特定 E3: 依存・インパクトの測定 E4: インパクトの重要性評価 |
A1: リスク・機会の特定 A2: 既存のリスク緩和、リスク・機会管理の調整 A3: リスク・機会の測定、 優先順位付け A4: リスク・機会の重要性評価 |
P1: 戦略・資源配分の計画 P2: 目標設定・パフォーマンス管理 P3: 報告 P4: 公表 |
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上記LEAPアプローチは、以下の開示提言に対応 | |||
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当社グループの事業は多様な側面で自然に依存して成り立つ一方、インパクトも与えていることから、自然へのネガティブインパクトを抑制し、ポジティブインパクトを与える取り組みをこれまで継続的に行ってきました。
本レポートでは、TNFDの一般要件および開示提言に沿って、LEAPも踏まえた検討結果を説明しています。
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TNFD 開示提言 |
開示が推奨されている主な内容 | 今回の開示内容(当社におけるTNFD開示) |
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ガバナンス |
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戦略 |
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リスクと インパクト管理 |
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測定指標と ターゲット |
自然関連の依存・インパクト、リスク・機会を評価・管理するための測定指標やターゲット、パフォーマンス |
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※広域渋谷圏とは、東急グループの渋谷まちづくり戦略において定めた、渋谷駅半径2.5kmのエリアのことを指しており、本レポートでは、当社グループとして広域渋谷圏を優先地域と定めています。
ENCORE(用語集参照)等のツールも踏まえ、全事業を通じた依存やインパクトの概観を把握しました。
インパクト
不動産開発・運営時の土地改変・占有など陸域生態系の利用
依存
資源等の供給サービス、自然による癒し・景観などの文化的サービス
事業規模(売上規模)
当社グループの保有・運営する物件所在地について、自然の十全性・重要性、水ストレスに関連する各指標を分析し、「広域渋谷圏」と「リゾート施設等14地域」を優先地域としました。
(今回検討した優先地域)
広域渋谷圏における都市開発事業では、バリューチェーンを通じて様々な 自然関連の依存・インパクトがあることが分かりました。
依存・インパクトのうち、土地利用・建物緑化による自然へのインパクトを(株)シンク・ネイチャーの分析ツールを用いて定量分析した結果、当社グループの広域渋谷圏における物件建設前後の生物多様性再生効果が、2012年度以降の物件からプラスとなっていることが分かりました。
近年竣工の物件における、都市開発諸制度等による緑地面積の確保や、 植栽樹種での在来種選定など、緑化の量と質の確保に向けた取り組みの成果が表れ、当社グループのまちづくりが、ネイチャーポジティブに貢献していると評価されております。
特に再開発事業の対象となっている物件は、緑地の量や質がこれまでの施設と比べ高い傾向にあり、今後も自然と共生したまちづくりを推進していきます。
広域渋谷圏を中心とした都市開発事業およびその他事業について、依存・インパクトの分析を踏まえ、現時点で当社の事業上、特に重要と考えられる自然関連の物理的リスク・移行リスク、機会を整理しました。
様々な自然関連リスクが想定される一方で、事業機会の獲得も多く期待できることが分かりました。
当社グループが関わる不動産業においては、開発から運営は長期間にわたること、かつ多くの関係者が関わるため、ステークホルダーと協働してサプライチェーン全体で自然関連の課題に取り組む必要があると考えています。
項目 | 取り組み |
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都市開発事業 | まちづくり、緑化技術、植栽管理など |
ホテル・レジャー事業 | 森林経営、希少生物の保護など |
その他 | 外来生物対策、汚染・廃棄物削減、資源循環、水利用削減 |
今回分析した広域渋谷圏に加え、もう一つの優先地域であるホテル・レジャー事業関連でも、依存・インパクト、リスク・機会のより詳しい分析を行う予定です。
また、自然関連リスク・機会による当社グループ事業や財務への影響については、シナリオ分析の考え方も踏まえながら検討をさらに深めるほか、国際動向を踏まえた自然関連の指標・目標のあり方についても検討していく予定です。
TNFDは、4つの柱で構成された14項目の開示提言の上に、開示全体で横断的に適用すべき6つの「一般要件」を提示しており、これらの項目に対する自社の立場を明確にして開示全体に適用することを推奨しています。
一般要件の各項目について、当社の基本的な考え方を以下に記載します。
当社グループは、長期経営方針の策定にあたり、当社グループの経営に対する重要性およびステークホルダーにとっての重要性を踏まえ、マテリアリティを特定しています。その一つとして自然関連テーマを含む「サステナブルな環境をつくる」を掲げており、本レポートでは、自然関連課題に焦点を当てて情報開示をしています。
自然への依存・インパクトについては、当社グループの経営およびステークホルダーの視点から重要と考えられる内容を説明しています。リスク・機会については、当社グループの経営に与えるインパクトの観点で重要と考えられる内容を説明しています。
今回の開示では、全事業分野/主要バリューチェーン段階について自然への依存・インパクトおよびリスク・機会の概観を説明するとともに、当社が直接保有・運営している物件のある場所全てを対象に、優先地域の検討を行いました。優先地域である広域渋谷圏の都市開発事業においては、地域の分析を踏まえたより詳細な依存・インパクトやリスク・機会について説明しています。
都市開発事業以外で、自然への依存・インパクトや潜在的なリスク・機会が重要と考えられるホテル・レジャー事業などの分野については、今後、詳細な検討・開示を進める予定です。
また、開示推奨項目のうち、シナリオ分析については、今回開示では対象外としています。シナリオを踏まえたリスク・機会の検討についても、今後検討を深めていく予定です。
当社グループは、自然関連課題が地域によって異なることを認識しています。
そのため、当社にとっての自然関連課題の面で特に優先される地域であるとした広域渋谷圏については、地域および関わっている自然の特性を踏まえた依存・インパクト、リスク・機会の検討を行いました。今後は、もう一つの優先地域であるリゾート施設についても検討を深めていきます。
当社グループは、自然関連課題が、気候変動や人権、地域・コミュニティとの関係性など他の様々なサステナビリティ課題と密接に関連があることを認識しています。
例えば、森林や都市の自然・緑地を保全することは、災害の激甚化やヒートアイランド現象といった気候変動の影響への適応、温室効果ガス吸収を通じた気候変動緩和につながります。このような、他のサステナビリティ課題と自然関連課題との関連性を認識したうえで、自然関連課題の把握の方法や統合的な開示のあり方を検討していきます。
今回の開示では、短期および中長期の時間軸で、依存・インパクト、リスク・機会を検討しています。今後、地域に基づく分析を拡大・深化させていくなかで、当社グループの自然関連課題を適切に捉えるためにどのような時間軸を設定すべきか、検討を深めていきます。
「ガバナンス」の柱で説明しているとおり、当社は人権方針を策定したうえで、先住民族を含む地域コミュニティの権利などサプライチェーンを含む重要な人権課題を特定し、サプライヤーへのサステナブル調達方針の浸透により人権に与える影響の未然防止や軽減に取り組んでいます。また、新規プロジェクト候補や既存事業において、事業活動に関係するステークホルダーの人権を尊重するように努めているほか、自然関連の取り組みにおいて地域のステークホルダーとのエンゲージメントを行っています。
TNFDの「ガバナンス」では、自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に関する取締役会の監視や経営層の役割について説明することが推奨されています。
当社の自然関連のガバナンス体制については以下のとおりです。
当社は、長期経営方針の中で「環境経営」を全社方針に掲げ、中期経営計画の中で、環境重点課題を「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」とし、事業を通じた環境取組みを行っています。
TNFDでは、自然関連の依存・インパクト、リスク、機会の評価や管理において、自然との関連性が高い先住民族、地域コミュニティ、影響を受けるステークホルダーとの効果的かつ有意義なエンゲージメントが重要視されており、「ガバナンス」の側面で開示することが推奨されています。
以下で、当社の事業におけるサプライチェーンを含めた自然との関わりに関連する、地域コミュニティとのエンゲージメントについて紹介します。
当社グループは、事業に関わるステークホルダーの人権を尊重することは事業を行ううえで不可欠であるとの考えのもと、「東急不動産ホールディングスグループ人権方針」を策定しています。「世界人権宣言」などの国際的な人権基準を支持し、サプライヤーと共に人権を尊重した事業活動を行っています。
人権に関する重要課題として、地域住民・先住民族の権利や、サプライチェーンを含めた強制労働・児童労働などの複数の課題を特定したうえで、人権デュー・デリジェンスの仕組みの構築や、人権リスクの未然防止・軽減に向けた取り組みを行っています。
新規プロジェクト候補もしくは既存事業においては、当社のリスク管理プロセスに則り人権尊重に関するリスクを継続的に評価することで、そのプロジェクト自体もしくは地域社会における事業活動に関係するステークホルダーの人権を尊重するように努めています。調達においても、「サステナブル調達方針」を定めたうえでサプライヤーに人権尊重を求めるとともに、持続可能性に配慮した型枠木材の調達などを進めています。
当社グループは、幅広い事業展開を通じた地域や関係者に与える影響が大きいため、さまざまなステークホルダーとの緊密な連携が必要と考え、従業員や地域社会、取引先、お客さまなどのステークホルダーとの対話を進めています。
次頁で、具体的なエンゲージメントの事例を紹介します。
東急不動産(株)は広域渋谷圏において、官民で構成される渋谷駅エリアマネジメント協議会の事務局として、防災・防犯対策、屋外広告物地域ルールの策定、情報発信、賑わい創出など、まちづくりに関するルールづくりやまちづくり活動を行っています。
特に自然災害の面では、渋谷駅周辺の地形の特徴も踏まえ、地下広場にて官民関係者による浸水実働訓練を定期的に実施し、有事の際のお客様の避難誘導や浸水対策の確認等を行っています。このように、自然災害時に備えた安心の体制とルールづくりに取り組んでいます。
また、東急不動産(株)では、渋谷区と「渋谷区地域防災に関する包括連携協定」を締結し、渋谷区の地域防災力の向上に取り組んでいます。「災害に強い渋谷のまちづくり」を目指す渋谷区と、「サステナブルで多彩なまちづくり」を目指す東急不動産が、互いの掲げる目標の実現を目的として、官民連携で渋谷のまちの価値向上の取り組みを進めています。
東急不動産(株)は、再生可能エネルギーにおいて地域と連携して地域課題に取り組 むべく、一般社団法人再生可能エネルギー地域活性化協会の代表理事を務め、市区町村協議会や県主催の研修会等で講演を行うなどの対話を積極的に行い、地域社会との長期的な関係性構築に努めています。また、東急不動産(株) および東急リゾーツ&ステイ(株)では、東急リゾートタウン蓼科において、長野県茅野市および一般社団法人諏訪広域脱炭素イノベーション協会と、持続可能な循環共生型の脱炭素社会(地域循環共生圏)の創造を通じたカーボンニュートラルなまちづくりに資することを目的とした包括連携協定を締結し、地域とともに取り組みを推進しています。
当社グループが携わる不動産業においては、住宅、オフィスビル、商業施設、ホテル・レジャー施設などの開発から運営は長期間にわたること、かつ多くの関係者が関わるため、ステークホルダー(設計会社・施工会社・お客さまなど)と協働してサプライチェーン全体で自然関連の課題に取り組む必要があると考えています。
「人権や労働に関する国際的な基準の順守・尊重」に加えて、「気候変動への対応」「生物多様性の保全」「資源の有効利用」「適切な水利用」「適切な森林資源利用」という環境への配慮を含めた「サステナブル調達方針」を定め、サプライチェーン全体で自然環境保全の取り組みを推進しています。
「サステナブル調達方針」では自然環境保全に関して以下の取り組みを掲げています。
サプライヤーである建設会社には、建設工事の発注時に当社のサステナブル調達方針の順守を条件とし、定期的にデューディリジェンスアンケートを実施し、各社の状況を確認しています。課題がある場合には、建設会社と連携して対応することにより、責任あるサプライチェーンの構築を目指します。2022年度は、定例アンケート調査で50社から回答を得るとともに、そのうち2社を対象に個別ミーティングを行い、課題点の改善や先進事例の共有等を実施しています。
建設時に使用されるコンクリート型枠用合板パネルは、その多くが南洋材を原材料としており、原産林における環境破壊や先住民からの土地収奪などの可能性が指摘されています。当社グループでは、1次サプライヤーである建設会社と連携して対応することにより、建物の建設に使用するコンクリート型枠用合板の原料材における持続可能性に配慮した木材(FSCおよびPEFC認証材並びに国産材等)利用率を、2030年度までに100%とする目標を定め、2022年度には以下のような取り組みを進めました。
2022年度には分譲マンション1棟(ブランズ千代田富士見)の建設工事において型枠合板にPEFC認証材を使用しています。内装材等で使用する認証材以外の木材製品についても、建材メーカーへのヒアリングにより可能な範囲で原産地および合法性を確認しています。
(株)東急Re・デザインは、「カーボンニュートラル無垢材の会」に参加し、住宅で使用する木材製品の情報を収集しています。
広域渋谷圏に位置する COERU SHIBUYA(2022年6月竣工)において、SGEC認証を取得した長野県産のカラマツ材を木質ハイブリッド耐火集成材として使用し、木鋼組子(耐震ブレース)にフィンランド産の合法木材を使用しました。
当社グループは、2010年のCOP10の翌年の2011年、生物多様性方針を策定しました。
自然と共生するまちづくりを進めるとともに、2022年3月には環境省のイニシアチブ30by30に賛同、2023年6月にはTNFDフォーラムに参画するなど、グローバル生物多様性枠組み(GBF)や日本政府の生物多様性国家戦略、まちづくりGX戦略、ガイドライン等、国内外の社会・政策動向や枠組みをとらえています。
これまでの当社グループの環境配慮と自然との共生の歩みを踏まえ、TNFD開示での検討を契機とし、当社グループの生物多様性方針を以下の通り改訂しました。これを基に生物多様性への取り組みを今後推進していきます。
「昆明モントリオール生物多様性枠組(GBF)」で定められた、「 Living in harmony with nature(自然と共生する社会) 」「ネイチャーポジティブ」を目指す国際的な目標を尊重し、ステークホルダーと協働しながら、生物多様性へのネガティブインパクトを回避・最小化し、ポジティブインパクトを拡大するための取り組みを推進する。
TNFDの「戦略」では、自社が特定した自然関連の依存・インパクトやリスク・機会、それらが自社の事業や戦略、財務計画に与える影響、シナリオを踏まえた戦略のレジリエンス、事業活動やバリューチェーン上の優先地域について説明することが推奨されています。
本レポートでは、当社グループの事業について以下の内容を検討し説明しています。
なお、自然関連リスク・機会による当社グループ事業や財務への影響については、シナリオ分析の考え方も踏まえながら検討をさらに深めてまいります。
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戦略における推奨内容 | 本開示における検討内容 |
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自然への依存・インパクトの説明 | 当社グループ全体:自然への依存・インパクトの概観 |
広域渋谷圏(優先地域): LEAPアプローチに沿った依存・インパクトの定性・定量的な検討 |
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自然関連リスク・機会とそれによる事業、戦略等への影響の説明 | 当社グループ全体:自然への依存・インパクトの整理を踏まえた想定されるリスク・機会の特定 |
広域渋谷圏(優先地域): 依存・インパクトの検討を踏まえたリスク・機会の特定 |
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優先地域の説明 | 当社グループ全体および広域渋谷圏(優先地域): 保有・運営する物件所在地における自然の観点での優先地域の検討 |
TNFDの分類を参照し、事業・バリューチェーン段階別に依存・インパクトの内容と定性的な重要性についてその概要を 検討しました。UNEP(国連環境計画)が開発したツールであるENCOREやSBT for Natureのツールにおける、セクター別レーティングを参考に※1、依存やインパクトの重要性をVery High~Lowの4段階で整理しました。分析結果は以下です※2。
バリューチェーンの中でも、当社グループ物件の開発~運営段階での自然のかかわりの重要性が特に高いと考えられるため、当社が保有・運営する主要267拠点(オフィス・商業施設、ホテル、レジャー施設、再エネ施設など)を対象に、物件所在地を踏まえた優先地域の検討を行いました。TNFDが提示する、生態学的に影響を受けやすい地域等の視点を参照した下表の指標と、当社の依存・インパクト、リスク・機会面での重要性から、優先地域を検討しました。
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TNFDの優先地域の観点 | 参照した指標・情報 |
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生態系の十全性※1 | Biodiversity Intactness Index(生物多様性完全度指数)※2の高さによって評価 |
生物多様性の重要性 | 以下の指標を総合して評価
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水ストレス | ベースライン水ストレス(Baseline Water Stress)※6の高さによって評価 |
各指標の分析結果とともに、「当社グループ全体の自然への依存とインパクトの概観」における当社グループ全体の自然への依存・インパクトの検討結果も踏まえ、当社グループにとっての自然関連リスク・機会の観点で、特に優先的に検討すべき地域(優先地域)を下図のとおり整理しました。
今回の開示においては、注力する事業の一つである、都市開発事業の広域渋谷圏について、TNFDの提供するアプローチであるLEAPに沿って、自然への依存・インパクト、リスク・機会の詳細検討を行いました。
なお、その他の優先地域については、今後、場所を踏まえた自然関連課題の把握や取り組みを検討していきます。
優先地域①: 広域渋谷圏(物件数:39)
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「当社グループ全体の自然への依存とインパクトの概観」の依存・インパクトの分析により、事業規模(売上規模)を踏まえると、都市開発事業における自然へのインパクトが特に大きいと考えられます。 |
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優先地域②: リゾート施設など14地域 |
事業規模を踏まえた相対的なインパクトの重要性は、都市開発事業より高くないものの、生態系の十全性と生物多様性の重要性が高い「東急リゾートタウン蓼科」を含む14地域を優先地域としました。 |
TNFDの提示するLEAPアプローチを踏まえ、優先地域とした「広域渋谷圏」について、自然に対する依存・インパクトと、それに伴う自然関連リスク・機会を、より詳しく検討しました。具体的には以下の内容を検討しています。
Locate 自然との接点の発見 |
広域渋谷圏の事業が接点をもっている自然の状態や重要性の把握 |
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Evaluate 依存・インパクトの診断 |
広域渋谷圏での都市開発におけるバリューチェーンを通じた依存・インパクトの定性的な整理 シンク・ネイチャー社と連携した定量評価 |
Assess リスク・機会の評価 |
広域渋谷圏の事業に関連する政策の方向性など外部環境の整理 広域渋谷圏を中心とした都市開発事業でのリスク・機会の検討 |
Prepare 対応・報告の準備 |
リスク・機会に対する既存の取り組みの検討・整理 |
広域渋谷圏MAP
広域渋谷圏は「都市・産業」を中心とした生態系タイプであり、生態系の十全性が高い地域ではありません。
一方、1980年代以降、広域渋谷圏の商業地域全体の緑地面積割合は継続して減少しており(航空写真より算出)、生態系の十全性がさらに低下傾向にあると考えられます。
広域渋谷圏の商業地域全体の緑地面積割合
(株)シンク・ネイチャーによる分析東京都市大学、当社グループの(株)石勝エクステリアおよび(株)東急不動産R&Dセンターの3者で、2016~2018年度に、広域渋谷圏の生態系の共同調査・研究6) を実施しました。広域渋谷圏は、明治神宮・代々木公園、新宿御苑・赤坂御用地などの大規模緑地に囲まれ、一方で大規模緑地に囲まれた市街地においては、小規模な緑が広く点在しているなど、都心でも稀有な自然と共存するエリアです。
こうした大規模な緑地には新種・絶滅危惧種や都内では珍しい動植物も生息するとされており、広域渋谷圏は、このような大規模緑地をつなぐエコロジカル(生態系)ネットワークを形成する上で重要な地域と考えられます。
優れた自然条件を有している地域を核として、これらを有機的につなぐこと。採餌・営巣・繁殖などの生息のステージを地域の中で行えることで、個体群の絶滅や遺伝的な多様性の低下を防ぐことに寄与したり、多様な種間の関係性を構築することで地域全体の種の多様性の回復につながるといった効果がある。
広域渋谷圏の都市開発事業における、バリューチェーンを通じた依存・インパクトの全体像は下図のとおりです。
建設資材の調達段階では建材・木材等の資源に依存し、インパクトを与えています。不動産の開発・運営段階では、土地改変・占有をはじめとしたネガティブインパクトを与える可能性がある一方、ヒートアイランド現象や災害緩和といった調整サービス※1、癒しやストレス緩和、レクリエーションなどの文化的サービス※2の観点で自然に依存しています。また、ネガティブインパクトだけでなく、建物緑化の取り組み等を通じて、生きものの生息地の提供など生態系へのポジティブインパクトやさらに当社グループおよび地域社会が依存している様々な生態系サービスの増加に貢献しているとも考えられます。
特に重要性が高いと考えられる依存やインパクトの詳細について、次頁以降で説明します。
東京都市大学、(株)東急不動産R&Dセンターおよび(株)石勝エクステリアによる共同研究7) の中で、広域渋谷圏において、屋上庭園を設置して生物多様性を考慮した3つの物件とその周辺地域を対象に、蝶類の調査を行いました。その結果、各物件の屋上緑地でチョウ類の存在が確認されており、特に明治神宮から原宿、表参道につながる生態系ネットワークの一部として当社グループの建物緑化が機能し、生息地の提供により周辺生態系へポジティブインパクトを与えている可能性が明らかになりました。
広域渋谷圏にある「東急プラザ表参道原宿」では、2012年度から毎年(コロナ過等一部期間除く)、屋上庭園「おもはらの森」における鳥類と昆虫類のモニタリング調査を実施し、生き物の生息・飛来状況の変化を把握しています8)。
鳥類については、2012~2019年度において、毎年10~16種、累計22種が確認されています。
例えば、スズメのつがいやシジュウカラなどが巣箱で営巣する様子、ツグミなどの様々な鳥類がバードバスでの飲水、植栽での採餌・探餌、休息などを行う様子が確認されており、様々の鳥類が「おもはらの森」を生息環境として恒常的に利用していることが分かっています。
昆虫類については、2012~2019年度において、毎年40~64種、累計151種が確認されています。
特に、移動能力が高いナミアゲハや、屋上緑地内に餌資源があるミンミンゼミ、アオスジアゲハ、など9種が8か年で継続的に確認されています。
モニタリング結果からも、「おもはらの森」を中心とした建物緑化が、広域渋谷圏における生き物の生息地の提供により、生態系にポジティブインパクトを与えている可能性が示唆されます。
今後もモニタリングを継続して自然の状態を把握していく予定です。
経年の鳥類リストと観察写真(確認調査)
「広域渋谷圏における依存・インパクトの全体像」で検討した重要性が高い自然へのインパクトのうち、当社グループの物件の土地占有および建物緑化による生態系へのインパクトを、(株)シンク・ネイチャーの協力のもと、定量的に分析しました。
渋谷ソラスタ
植栽樹種とそれを利用する鳥・蝶の関係に基づき、建設地点の1kmグリッド内に生息する生物が、建設前後でどれだけ増減するかの割合を、3分類群の種数と個体数でそれぞれ算出し、計6つの値の平均を結果に採用。
1980年代から、特に1990~2000年代にかけて、緑地面積割合は建設前後で減少傾向にありますが、当社グループ39物件全体では、商業地域全体の平均を上回って推移していました。さらに、COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催されるなど世界的なターニングポイントとなった2010年以降、生物多様性の損失から反転し、回復傾向(ネイチャーポジティブ)となっています。
生物多様性再生効果については、全39物件のうち15物件で建設前後の再生効果がプラスとなりました。特に、2012年度以降竣工の物件は生物多様性再生効果が高く、広域渋谷圏全体の生物多様性の回復に貢献していると考えています。
都市再開発事業の対象施設等を中心に、当社グループが得意とする地域共生のまちづくりにおいて、緑の量・質の確保と来街者・施設利用者の快適性を調和させた開発・運営を行っていることが、近年の生物多様性再生効果の高さに結びついていると考えられます。
全39物件での植栽による種の捕捉率(広域渋谷圏全体に生息する種のうち、当社グループ物件の緑地で呼び込むことが可能な種の割合)を、(株)シンク・ネイチャーにて分析した結果、鳥類では約6割、蝶類では約9割の種を呼び込むことができる植栽であることが分かりました。特に在来樹木に基づく植栽を行っている物件が、高い捕捉率を示し、緑の質も生物多様性再生効果のアップに寄与しています。
例えば「Shibuya Sakura Stage」では、国や地域、東京都の在来種を含めた多くの樹種を多数植栽することによって、多くの種の鳥や蝶を呼び込める可能性があり、このことが種の捕捉率と再生効果の高さ(7.2%)につながっています。
近年の物件を中心に、在来種植栽などを含む緑化が生物多様性の再生に貢献していることが分かったため、今後も緑地の質に配慮した緑化に取り組むことが重要と考えています。
(株)シンク・ネイチャーが分析した種リスト
渋谷駅に隣接する桜丘では、渋谷の新たなランドマークとなる大型複合施設「Shibuya Sakura Stage」の開発を進めています。
本物件では、憩いの空間となる緑豊かな空間「はぐくみSTAGE」を整備し、ヒートアイランド対策にも寄与する地上、屋上、壁面等を活⽤した立体的な緑化を推進するとともに、太陽光発電等の再生可能エネルギー利⽤や次世代技術導入等による環境負荷低減にも取り組みます。
生物多様性の取り組みをサポートする環境コンサルティング会社 株式会社地域環境計画の協力のもと、広域渋谷圏でのエコロジカルネットワーク形成の現状と方向性について分析しました。
地形や緑地の現状の分析から、広域渋谷圏は、 武蔵野台地に渋谷川および目黒川の谷の低地が入り組んだ地形であり、谷地形や谷部に面した斜面に残存する緑地が多いことが確認されました。
また、当社の物件は、右図の赤○の位置にあり、物件同士が近接・集中している箇所もあります。
今後のエコロジカルネットワークをより充実させるためには、次の3つの場所の着目点が有益と考えられることが分かりました。
①緑量が多い場所同士が近接している
②谷や谷沿いの斜面など地形的につながりがある
③対象物件が近接・集中している
今後の生物のモニタリングや対策を検討していく予定です。
広域渋谷圏における谷地形のつながりとエコロジカルネットワーク形成の方向性
国の生物多様性国家戦略やまちづくりGX戦略、東京都の生物多様性地域戦略において、都市の重要な生態系サービスとして、自然によるヒートアイランド現象の緩和、洪水被害の軽減などの機能が重視されており、依存の観点では、これらの災害緩和・気候調整の生態系サービスが重要と考えられます。国土交通省によると、広域渋谷圏周辺(図の○で囲まれたエリア)は熱の発生源である一方、緑地保全や緑化施策を総合的に講じた場合に気温低下が期待できる地域と考えられます。
また、渋谷区の「みどりの整備方針」では、建物緑化などによって大規模緑地とのつながりを形成することは、都市のヒートアイランド現象の緩和に貢献するクールスポットの創出に寄与するとされており、依存の面だけでなく、こうした調整サービスに対するポジティブインパクトを与える面での重要性も高いと考えられます。
当社グループでは、オフィスビルで提案する新しい働き方「GREEN WORK STYLE」の一環として、緑(植物や自然)が人に与える影響や効果を科学的に検証しました。例えば、緑のある屋上スペースでの休憩による効果を検証した結果、緑のある休憩後のほうが緑のない屋内と比べてストレス度が6.0ポイント低く、集中度の上昇は高い、ということが分かりました。
この結果からも、広域渋谷圏を含む都市においては、景観の改善、ストレス緩和・癒しといったウェルネスへの効果、働く人のひらめきやコミュニケーション活性化、モチベーションアップなどの生産性向上、そして、オフィス・商業施設などの魅力や資産価値向上といった面で、文化的サービスの重要性が高いと考えられます。
当社グループの自然への依存・インパクトに基づき、関連する社会動向・政策の方向性など外部環境の情報も参照したうえで、都市開発事業において想定されるリスク・機会を検討しました。当社グループの事業にとっての重要性を定性的に検討した結果、重要と考えられるリスク・機会は以下のとおりです。
依存している生態系サービスの劣化による物理的リスクや、規制、市場環境の変化による移行リスクなどのリスクが想定される一方で、次頁のとおり、多くの自然関連機会も生じうることが分かりました。
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リスクの分類 | 主な依存・インパクト | 都市開発事業におけるリスクの内容 | |
---|---|---|---|
物理的リスク | 急性 ・ 慢性 |
ヒートアイランド現象の緩和(調整サービスへの依存) | 自社および他ステークホルダーの土地開発に伴うヒートアイランド 現象の悪化による空調コスト等の増加、都市の生活・滞在環境の悪化 |
レクリエーション、視覚的アメニティ(文化的サービスへの依存) | 自社および他ステークホルダーの土地開発に伴う自然の劣化による 景観の悪化など、まちの魅力の低下、資産価値の低下 | ||
移行 リスク |
政策 ・法 |
建材・木材などの資源調達(自然へのインパクト) | 自然保護のための土地改変や資源採取関連の規制強化による、建材・木材等の不足、調達コストの増加 |
オフィス・商業施設等の物件の開発・運営による土地改変・占有(陸域生態系へのインパクト) | 物件の緑化率向上を求める規制強化による規制対応コストの増加 | ||
エコロジカルネットワーク形成への配慮や、在来種植栽など、みどりの質の向上を求める規制/政策の導入・強化による対応コストの増加 | |||
市場 | 自然へのネガティブインパクトが少ない/みどりの量・質の向上、 エコロジカルネットワーク形成等により自然にポジティブインパクトを与える物件に対する顧客・テナントの選好の高まり(リスク) | ||
技術 | 水や建材などの利用(資源利用によるインパクト) | 資源・エネルギー効率が高く環境負荷の低い建設技術の導入のためのコスト増加 | |
評判 | 土地改変・占有、汚染 廃棄物排出、外来種導入などの事業によるネガティブインパクト | 地域の生態系や景観、自然の文化的サービスにネガティブインパクトをもたらす開発・操業に対する批判や訴訟 |
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機会の 分類 |
主な依存・インパクト | 都市開発事業における機会の内容 | ||
---|---|---|---|---|
機会 | 市場 | 顧客・ テナント |
土地改変・占有、汚染、廃棄物排出などネガティブインパクトの低減 緑地による生息地の提供、エコロジカルネットワーク 形成など生態系(および生態系サービス)へのポジティブインパクト |
自然へのネガティブインパクトが少ない/みどりの量・質の向上、緑化技術の進展、エコロジカルネットワーク形成等により自然にポジティブインパクトを与える物件に対する顧客・テナントの選好の高まり |
政策・法 | 都市開発における緑地の量や質に対する政策的支援やインセンティブの享受 | |||
資本フロー・ファイナンス | 自然へのネガティブインパクトが少ない/みどりの質等の向上、緑化技術の進展、エコロジカルネットワーク形成等により自然にポジティブインパクトを与える不動産に対する投資の増加 | |||
評判資本 | 企業価値 | 生態系に配慮した不動産開発、持続可能な資源調達、汚染削減などを通じて、自然へのネガティブインパクトを低減し、ポジティブインパクトを与える事業活動による、自社の評判や企業価値の向上 | ||
エンゲージメント ・まちの価値 |
自然へのネガティブインパクトが少ない開発・操業や、みどりの量・質の向上、緑化技術の進展、エコロジカルネットワーク形成等により自然に ポジティブインパクトを与える開発・操業による、地域コミュニティとの関係性の向上 | |||
地域の自然の魅力を引き出す事業運営によるまち全体の魅力・ブランド価値や資産価値の向上 |
都市開発事業以外の事業分野についても、依存・インパクトの概観を踏まえ、下表のような自然関連リスク・機会が想定されます。様々なリスクの一方、事業機会獲得の可能性も想定されるため、優先地域であるホテル・レジャー事業地などを中心に今後詳細分析を進めることで、依存・インパクト、リスク・機会の詳細の把握を進めていきます。
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リスク・ 機会の分類 |
事業におけるリスク・機会の内容 | |
---|---|---|
物理的リスク | 急性 ・ 慢性 |
自社および他ステークホルダーの開発に伴う、自然の劣化による風水災、土砂災害等の災害リスクの増加[ホテル・レジャー事業、再エネ事業] |
観光資源として重要な生態系や生物種(森林、海洋生態系、サンゴ礁など)の劣化による需要の減少[ホテル・レジャー事業] | ||
自然の気候調整力の低下による発電効率の低下やスキー場等のレジャー施設への影響[ホテル・レジャー事業、再エネ事業] | ||
産地での生態系の劣化によるバイオマス燃料の不足、価格高騰[再エネ事業] | ||
花粉媒介機能をはじめ自然の劣化や乱獲等による食材等の供給不足、価格高騰[ホテル・レジャー事業] | ||
移行 リスク |
政策 ・法 |
森林保護のための規制によるバイオマス燃料の不足、価格高騰[再エネ事業] |
持続可能な農畜水産業の主流化や関連規制強化による食材等の価格高騰[ホテル・レジャー事業] | ||
評判 | 発電所がもたらす生態系へのネガティブインパクトに対する批判[再エネ事業] | |
機会 | 地域の生息地・生態系の保護・再生による観光地としての地域の魅力の高まり[ホテル・レジャー事業] | |
観光地の自然の魅力の高まりによる収益の拡大[ホテル・レジャー事業] | ||
地域の自然の魅力に配慮した事業開発・運営による事業の魅力・ブランド価値、地域共生活動等の差別化による競争力の向上[ホテル・レジャー事業、再エネ事業] |
TNFDの「リスクとインパクト管理」では、自然関連の依存・インパクト・リスク・機会を特定・評価・管理するためのプロセスや全社的リスク管理プロセスへの統合について説明することが推奨されているため、それらについて説明します。
依存・インパクトについては、全社の事業・バリューチェーン別の依存・インパクトの概観・定性的な重要性を整理したうえで、広域渋谷圏における都市開発事業では地域固有の情報に基づく定性・定量的な依存・インパクトの評価を行いました。
それら依存・インパクトおよび、生物多様性国家戦略や東京都の生物多様性地域戦略などの外部環境の情報を踏まえ、広域渋谷圏を中心とした都市開発事業における自然関連リスク・機会を特定しました。このリスク・機会は、定性的に、当社グループにとって特に重要性が高いと考えられるものを開示しています。
今後、TNFDの開発に合わせ、シナリオ分析やそれに基づくリスク・機会の重要性評価のあり方を検討していきます。
依存・インパクト
の分析
外部環境に関する
情報の収集
リスク・機会
の特定
東急不動産ホールディングス(株)は、代表取締役社長直轄の「東急不動産ホールディングスサステナビリティ委員会」を設置し、自然・生物多様性関連課題などの重要課題について計画立案・実績確認を行い、取締役会にその結果を報告しています。
「東急不動産ホールディングスサステナビリティ委員会」の事務局であるグループサステナビリティ推進部や各事業部門は、自然・生物多様性関連の課題について目標の設定、実績の管理、情報共有を行うことで、関連法規に基づき適正な報告を行うとともに、事業活動を通じて自然や生物多様性へのネガティブインパクトの低減、ポジティブインパクトの拡大に取り組んでいます。
また、2020年1月に「サステナブル調達方針」を策定し、事業活動のみならずバリューチェーンにおける上流・下流のステークホルダーとの協働により、自然や生物多様性に対するネガティブインパクトの低減に取り組んでいます。
東急不動産ホールディングス(株)は、経営に重大な影響を及ぼすリスクを特に《主要なリスク》として、以下の個別リスク単位にリスク管理を行っています。
①投資リスク ②財務資本リスク ③人事労務リスク ④法務コンプライアンスリスク ⑤IT戦略リスク ⑥情報漏洩リスク ⑦危機管理対応 ⑧気候変動リスク
自然・生物多様性関連課題を含むESGリスクについては、《主要なリスク》のサブカテゴリーとして一体的に管理しています。
気候変動・生物多様性保全・環境汚染・廃棄物の削減と適切な処理・資源利用・水資源保全・人権保護・児童労働防止地域・社会への貢献・従業員の健康と安全・従業員の人権・汚職、贈収賄・コーポレートガバナンス等
自然関連の依存・インパクトに関して、当社グループでは以下の目標を策定しています。
今後、TNFDの提言における開示指標を参照しながら、当社グループの自然関連の依存やインパクト、リスク・機会を管理するための指標や目標のあり方について引き続き検討を進めていきます。
土地利用に関する目標 | 建物緑化(屋上・壁面など) *2020年度実績100% 2030年度目標100% *東急不動産(株)のオフィスビル・商業施設の新築大型物件 |
---|---|
廃棄物排出に関する目標 | 事業拠点および保有する不動産ポートフォリオにおける床面積あたりの廃棄物排出を、2030年度までに2019年度比で11%削減 |
水資源に関する目標 | 事業拠点および保有する不動産ポートフォリオにおける床面積あたりの水資源利用を、2030年度まで前年度比低減 |
資源調達に関する目標 | 2030年度 型枠木材の認証木材使用 100% |
当社グループにおけるこれまでの、リスク・機会・インパクトに関する具体的な取り組みをご紹介します。主な取り組みとして、以下を取り上げました。
まちづくり、緑化技術、植栽管理
森林経営、海洋保全
外来生物対策、汚染低減、廃棄物削減、資源循環、水利用削減、サプライチェーン、ステークホルダーエンゲージメント
渋谷駅を中心とした「広域渋谷圏」では、「広域渋谷圏構想(Greater SHIBUYA 1.0)」をさらに進化・深化させ、新たなまちづくり戦略「Greater SHIBUYA2.0」を策定し、職・住・遊の3要素を融合させるとともに、その基盤として「デジタル」「サステナブル」の取り組みを推進しています。「サステナブル」に関しては、緑豊かな環境整備や脱炭素の推進、レジリエンスの強化など、誰もが安全・安心で快適に過ごすことができ、最先端の環境対策が施されている持続的に成長するまちづくりを行っています。
オフィスビルにおいて、健康と安全、環境とサステナビリティを意識しながら、多様なグリーンの力で、“ワークプレイス”と“オフィスソリューション”の両面から、企業価値の向上とワーカーのウェルビーイングの実現をめざす「GREEN WORK STYLE」を展開しています。緑にふれあう働き方を実現することで、日々のストレスを軽減し、一人ひとりの生産性を最大限に引き出すとともに、円滑なコミュニティ形成に貢献します。
オフィスフロアのすべての階にテナント用のグリーンテラスを設置。オフィス環境に不足する緑や新鮮な空気を身近に感じていただくことで、ワーカーのみなさまのストレス軽減と生産性向上に寄与します。また、「爽やかな空の下で働く場所」として、最上階には屋上空間を活用したスカイテラスとラウンジ(右写真)を設けています。
生物多様性に配慮した都市緑化が重要であることから、広域渋谷圏では、生態系を保全するために事業拠点において屋上緑化・壁面緑化などの積極的な緑化を行っています。周辺の緑をつなぎ、そこに住む生きものたちの中継地点を担うことで、広域渋谷圏のエコロジカルネットワーク形成に取り組んでいます。
特に地域への影響が大きい大規模物件の開発時には、計画時に周辺の生態系調査を実施し、生息する鳥類や昆虫類に配慮した植栽で緑化し、地域の生物多様性保全を進めています。
*オフィスビル・商業施設の新築大型物件
各工法の名称は(株)石勝エクステリアの技術名です
商業施設「東急プラザ表参道原宿」の屋上テラス「おもはらの森」では、緑地の生態系の推移を把握するために、自然環境保全の専門家である㈱地域環境計画の協力のもと、1年を通じて定期的に生き物調査を実施しております。(前述)
特に周辺に自然環境が多く敷地内にも多くの緑地確保が可能な物件においては、生物多様性の確保を後押しするためにもABINCなどの認証を取得することを奨励しています。
国家戦略特区である東京都港区竹芝エリアでは、産学連携やテクノロジーを活用したまちづくりを行い、環境(サステナビリティ)など、エリア全体の魅力・活力を高める長期持続的な取り組みを進めています。
プロジェクトの中核「オフィスタワー」は地上40階、地下2階、総延床面積約18万m2からなる大型複合施設です。高層階はオフィスエリア、低層階は商業エリアとなり、6階のオフィスロビーは、地域と調和する水と緑を取り入れた空間を演出しています。
2~6階南東側には階段状に広い「スキップテラス」が設けられ、「空・蜂・水田・菜園・香・水・島・雨」の8つの景からなる、里山的景観の「竹芝新八景」を配置しています。浜離宮恩賜庭園、旧芝離宮恩賜庭園と周辺の豊かな緑と連動した生態系ネットワークを形成することで、地域の生物多様性に貢献することを目指しています。
広さ145平方メートルの水田が設けられた「水田の景」や野菜や果物を栽培する「菜園の景」では、近隣の保育園児や入居しているテナント関係者、住居棟の住民たちが参加する田植えや収穫のイベントを通じてステークホルダーへの環境教育につなげています。
また、ミツバチの巣箱を置いた「蜂の景」や、5、8、10、12階の人の視線が届きにくい壁面に設置された巣箱である「空の景」は、ミツバチやハヤブサやチョウゲンボウなど猛禽類の生息地を提供することで、都心の生物多様性に貢献しています。
当社グループの造園建設を中心とする環境緑化事業を担う(株)石勝エクステリアではグリーンインフラ(注)という考え方に基づき、屋上緑化、壁面緑化などの都市緑化技術をはじめ様々な技術を駆使し、防災・減災や自然・生物多様性の保護・保全、持続可能な街づくり、様々な緑地の管理受託に取り組んできました。
グリーンインフラとは、自然環境が有する、地球温暖化の緩和や生物の生育場所の提供、景観形成や文化的サービスの提供などの機能がもたらす、防災・減災や環境保全といった多様な効果を、様々な社会課題解決に活用しようとする考え方です。国土交通省のまちづくりGX戦略の中でも、グリーンインフラとして多様な機能を有する都市緑地の質・量の確保を官民で連携して一層推進することが挙げられるなど、その重要性や注目度がますます高まっています。
※国土交通省HPより抜粋
造園・緑化事業で推進してきた環境緑化技術・ノウハウを、グリーンインフラの考え方のもとに再構成し、お客様をはじめ様々なステークホルダーの皆さまへ展開できるグリーンインフラメニューを策定し、グリーンインフラ実現の取組みを促進するシステム「Greentect」(グリーンテクト)として、あらゆる事業に活用していきます。システムにより、可視化したメニューは、造園・緑化 関連分野における広範の技術・ノウハウを一覧表にし、8つの大項目で区分しています。案件ごとに、営業段階でメニューを活用し、採用技術項目を定め、設計・施工・管理・運営の実施に組み込むシステムです。
TPMはTrans Planting Machineの略で、世界に2台しかない石勝エクステリア独自の専用機械を使用することにより、従来は難しいとされてきた大径木の移植を可能にした技術です。地域の資産である大樹を守りながら、緑化プランの自由度を高めます。
TPM機械による移植作業
立体形状の複数面に植栽を施します。箱型なので取り扱いが簡易で、省スペースかつ多面的な緑化を実現します。
バイオキューブ
石勝エクステリアではマンションにおいて独自の植栽育成管理計画「GREEN AGENDA」を推進しています。植栽管理では竣工時から安定した維持管理コストを考慮し樹高や葉張りを大きく変えない維持抑制管理を目的としていますが、GREEN AGENDAでは計画的に緑を育成していく育成管理を採用しているのが特徴です。みどりの育成により、生物多様性の向上やヒートアイランド現象の緩和、地域イメージや資産価値向上への貢献など、植栽から得られるグリーンサービスを最大に活用することを目指しています。
別荘、ホテル、ゴルフ場、スキー場などを備えた複合リゾートである「東急リゾートタウン蓼科」では、 自然・生物多様性の保全やエネルギーの地産地消に貢献する取り組みとして、地域の間伐材をウッドチップに加工し、バイオマスボイラーの燃料として活用する取り組みを行っています。 660haに及ぶ広大な森林に対して森林経営計画を立て2018年から保全間伐を行っており、それによって下草が茂り、樹木の根が強化されるなど森林の育成が促進されるとともに、地盤が強固になることで崖崩れなどの自然災害を防ぐことにもつながります。
当社グループでは事業地域の中で特に保全上重要なエリアについて生物多様性行動計画 (BAP)を策定し生物多様性保全に取り組むこととしています。東急リゾートタウン蓼科では、別荘地およびその周辺の樹林地等において動植物の生息・生育環境に関するモニタリング調査を実施し、希少な動植物種や生息・生育環境に対する脅威があれば対策を検討し、緑地の管理計画に生かしていく予定です。
当社グループは、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際目標である30by30に賛同しています。「東急リゾートタウン蓼科」では30by30の達成を目指す取り組みの一環として環境省が認定する「自然共生サイト」の課題調査事業に参加し、認定取得を目指しています。
パラオ共和国のリゾートホテル「パラオ・パシフィック・リゾート」前の海岸は、泥土の流出によりサンゴが生息しにくい海でしたが、綿密な調査に基づく海浜改修を行い、生物が豊富な海の再生に成功しました。
外来生物法(環境省)による「外来生物」とは、もともと日本に生息していなかった種であり、人間の活動により、意図的・非意図的に国内へ入ってきた動植物を指し、地域の生態系に影響被害を及ぼすおそれがあります。当社グループではマニュアルを設定し、侵略性の高い外来種を発見した際の対処を定め、地域の生態系の保全に取り組んでいます。
当社グループでは、設計会社・施工会社などのステークホルダーと協働して、汚染物質の排出防止やその原因となる材料を使用しないことで、環境に及ぼす影響の低減に取り組んでいます。
当社グループでは、設計会社・施工会社・利用されるお客さまなどのステークホルダーと協働して、廃棄物の排出削減に取り組んでいます。
当社グループでは、事業に使用する資源の有効利用の必要性を認識し、設計会社・施工会社・利用されるお客さまなどのステークホルダーと協働して、適切で有効な資源利用に取り組んでいます。
「緑をつなぐ」プロジェクトは、当社グループがお客さまなどステークホルダーと一緒に、森林を保全する取り組みです。「百年の森構想」を進めている岡山県西粟倉村の森林保全活動と連携し、マンション購入や管理受託、オフィス、ホテル・レジャー施設の利用、中古住宅の売買仲介、といったさまざまなご利用に応じて森林を保全しています。例えば、住宅1住戸の販売毎に森林保全面積10㎡など、当社グループの販売実績に応じて、森林保全資金を提供しています。近年では、西粟倉村の森林管理で生成されるJ‐クレジットをあわせて購入する形とし、森林Jクレジットの普及にも貢献しています。これまで2,000ヘクタールを超える森林保全を実現し、2030年度に3,000ヘクタールの森林保全を目標に、毎年のKPIとして進捗管理しています。
保全森林から産出される木材はグループのさまざまな事業で活用し、お客さまへ提供するという循環型サイクルを形成しています。西粟倉村の森林保全活動を通じて発生する間伐材を購入して建築工事に活用する取り組みも積極的に進めており、2022年度においては38㎥の間伐材を、現地の当該森林のFSC認証木材の加工・販売を行っているFSC CoC認証業者から直接購入し、住宅や商業施設3棟のリノベーション工事において内装材として利用しました。
2022年12月に開業した会員制リゾートホテル東急ハーヴェストクラブVIALA鬼怒川渓翠においては、開発地内で伐採した樹木を共用部の家具などの材料として活用しています。
Forestgate Daikanyamaは、賃貸住宅・シェアオフィス・商業施設で構成されるMAIN棟とサステナブルな生活体験を提供するTENOHA棟の2棟からなる、2023年10月に開業した複合施設です。
TENOHA棟は、カフェとイベントスペースで構成され、サステナブルな生活体験の提供や、サーキュラーエコノミー活動を行う事業者や行政と連携し、地域と都市をつなぐ活動拠点です。消費者にサステナブルな取り組みへの接点を提供しながら、さまざまなステークホルダーと連携し、サーキュラーエコノミーを実現します。 建物は、東急不動産ホールディングスの保全対象森林、岡山県西粟倉村の間伐材を構造材として活用した木造建築となっています。
MAIN棟
TENOHA棟
東急不動産、東急リバブル、東急Re・デザインは、再生・保全建築、リフォームやリノベーションの推進を通じて、廃棄物の削減、資源循環に貢献しています。
九段会館テラス外観
(保存部分)
バンケットルーム
(株)東急コミュニティーは、マンションにおける大規模改修工事の周期を、従来12 年と言われていたものが、最大18年に延長できる長期保証商品「CHOICE」を販売しています。
大規模改修工事で用いる仕様・工法等の工夫により、防水、塗装など建物の外装に関わる工事の保証期間を従来に比べ1.5~2倍に延長しています。これにより、築60年のセカンドステージを迎えるまでの大規模改修工事の回数を削減することが可能となりました。大規模改修工事の回数削減により、マンションのライフサイクルを通じた利用資源の削減と、トータルのライフサイクルコストの低減に貢献しています。
当社グループは、設計会社・施工会社・お客さまや地域社会などのステークホルダーと協働して、事業活動および保有するオフィスビル、商業施設、リゾート施設などにおいて、それぞれの地域固有の水資源問題に応じた適切な管理および水資源の効率的な利用により、水資源の保全に取り組んでいます。
2013年に自然調和型リゾートホテルとして開業した「東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山&VIALA」は、節水型トイレの採用によって上水利用の低減につなげるなど水資源に配慮した取り組みを行っています。「東急ハーヴェストクラブ箱根甲子園」および「東急ハーヴェストクラブVIALA箱根翡翠」でも、敷地内の井水を利用するなど水の有効利用を推進しています。
TNFD | Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略。国連開発計画、世界自然保護基金、国連環境開発金融イニシアティブ、グローバルキャノピーの4つの機関によって、2021年に発足した自然関連財務情報開示タスクフォース。自然関連の依存・インパクト、リスクと機会を適切に評価し、開示することを要請。 |
---|---|
LEAP | Locate, Evaluate, Assess, Prepareの略。TNFDが提唱する、企業や金融機関が自社の自然関連のリスクと機会の評価をサポートするためのアプローチ手法。Locate(自然との接点の発見)、Evaluate(依存関係/影響の診断)、Assess(重要なリスク/機会の評価)、Prepare(対応/報告のための準備)の4つのステップから構成される。 |
ENCORE | UNEP-NCFA(自然資本金融アライアンス)が開発した金融機関向けツールで、業種別の自然への依存・インパクトの重要性の把握や、生態系サービスの分布などを分析することが可能。 |
SBT for Nature | Science Based Targets for Natureの略。企業の自然資本関連の目標設定に関し、利用可能な最善の科学に基づき、測定可能、実行可能で、期限付きの目標設定を求めるイニシアティブ。 |
生態系の十全性 | 生態系の構成、構造、機能が自然の変動範囲内にある度合い。 |
生物多様性重要地域 (KBA) |
Key Biodiversity Areaの略。国際基準により選定された、生物多様性の保全の鍵となる重要な地域。 |
Biodiversity Intactness Index | 自然界において、人間の土地利用とそれに付随する生物多様性に対する影響を考慮した際、土地改変前後の生物多様性の残存度合いを示す指標。 |
保全優先度 | 生物多様性の観点から、保全の優先度の高さを表す指標。 |
水ストレス | 流域の水供給量に対する水消費量の割合に基づき、流域における水のひっ迫度を表した指標。 |
エコロジカルネットワーク | 対象となる地域において優れた自然条件を有する場所を、生物多様性の拠点(コアエリア)として位置付けつつ、野生動物の移動・分散を可能とするため、コアエリア間を生態的回廊(コリドー)で相互に連結させる考え方。 |
文化的サービス | 人間が自然にふれることで得られる、審美的、精神的、心理的な面などで影響を受ける文化的なサービス。 |
調整サービス | 気候調整や局所災害の緩和、土壌侵食の抑制、有害生物や病気を生態系内で抑制する効果など、生物多様性により環境を制御するサービス。 |
生物多様性行動計画 (BAP) |
Biodiversity Action Planの略。生物多様性保全のための国家または企業等団体における行動計画。国家の場合、生物多様性条約(CBD)締結国は、第6条によりBAPの策定が求められている。 |
30by30 (サーティバイサーティ) |
2030年までに地球の陸・海それぞれの30%の面積を保全するという目標。2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明―モントリオール生物多様性世界枠組み」の目標3に記載された。 |
自然共生サイト (OECM) |
Other Effective area based Conservation Measuresの略。事業者、民間団体、個人、地方公共団体など様々な主体とその取り組みにより、本来の目的に関わらず生物多様性の保全が図られている区域として、環境省が認定するもの。 |
都市開発諸制度 | 公開空地の確保など公共的な貢献を行う建築計画に対して、容積率や斜線制限などの建築基準法に定める形態規制を緩和することにより、市街地環境の向上に寄与する良好な都市開発の誘導を図る東京都の制度。 |
気候変動を含む環境課題や人権・労働などのグローバルな社会課題は当社グループの事業活動に深く関わると認識し、2015年度、サステナビリティ各課題に対する...
投資プロセスでの目標 ① 電気設備 LED灯の導入、エレベータ制御機器や受電設備の更新等 ② 給排水衛生設備 ...
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不動産ポートフォリオにおける目標・実績 水使用 保有する不動産ポートフォリオにおける床面積あたりの水資源利用を、2030年度まで前年度比低減するこ...
従業員の環境意識やサステナビリティ意識を高めるためのプログラムの提供とトレーニング ステークホルダーへの環境意識浸透 従業員の環境意識やサ...
(株)東急Re・デザインはサプライヤーである施工会社に対し、毎年、経営者やスタッフに対して安全大会等での研修を実施しています。 (株)東急Re・...
東急不動産ホールディングス(株)では、運営管理しているオフィスビル、商業施設、住宅の賃貸借契約の一部にグリーンリース条項を導入しています。 テナ...
グリーンフィールド開発に関するコミットメント グリーンフィールド開発に関するコミットメント 東急不動産(株)は未利用地・低利用の農耕地・緑...
東急不動産ホールディングス(株)はサプライヤーである建設会社へサステナブル調達方針を配布すると同時にアンケートを実施し、2030年度の環境方針対応率1...
森林破壊ゼロへの取組み 森林破壊ゼロへの取組み 国内で建設時に使用されるコンクリート型枠用合板パネルの多くは、南洋材(マレーシア、インドネ...